第20話「女の勘」
黒の街から離れた、ライムライト輸送路。
アドリエンヌ、セバスチャンを含むライムライト輸送隊が、黒いローブに身を包んだ一団に襲われていた。
アドリエンヌが構える巨大な対物ライフル型の魔具、「スカルシュレッダー」が火を吹き、直線上の、襲撃者の集団を消し飛ばす。
煙草をふかしながら、ボルトアクション機構を操作し、排莢を行うアドリエンヌ。
アドリエンヌ「…ったく、どんだけ出てくんのよ。多いだけで雑魚ばっかだからつまんないんですけど」
セバスチャン「7時方向、敵接近」
アドリエンヌ「はいはい。誘導はお願いね」
敵前に機敏な動きで飛び出し、注意を惹き付けながら最適な位置に敵を誘導するセバスチャン。
敵が一直線に並ぶ瞬間を狙って、アドリエンヌが引き金に指をかける。
アドリエンヌ「仕留めた」
引き金を引き、大口径の弾丸で敵を鏖殺するアドリエンヌ。
マズルフラッシュから少し遅れて、轟音と突風が、辺りに吹き荒れる。
アドリエンヌ「リロード。任せるわ」
セバスチャン「承知致しました」
群がる刺客たちを、次々と切り捨てるセバスチャン。
その後も、戦闘は、まるでビデオか何かのように同じ光景が繰り返しだった。
やがて…。
セバスチャン「終わりましたな」
アドリエンヌ「そのようね。はぁー…。しょうもな」
アドリエンヌは、巨大なライフルを担ぎ上げる。
セバスチャン「どうやら、賭けは私の負けのようですな」
アドリエンヌ「賭け?……あぁ。今回の輸送、面白いことになるわよってやつ?別に…。まぁでも、賭けの報酬をくれるってんならもらってもいいわよ」
セバスチャン「ええ。是非とも。接近戦の手ほどきのお約束でしたな」
アドリエンヌ「ええ。…よっと」
高台から降り、刺客の死体を改めるアドリエンヌ。
アドリエンヌ「…あら。これはこれは」
黒ずくめの刺客たちの装備を外すと、刺客たちの身体からは、花が咲いていた。
セバスチャン「………。ドライフラワー病罹患者のようですな」
アドリエンヌ「統制がとれてたわね。こいつら。ドライフラワー患者のくせに。……ふふ。ボスの言ったとおり、面白いわ」
セバスチャン「早々に、エルザ様にこの事をお伝えしなくては」
アドリエンヌ「黒の街まではもうしばらくあるわ。焦らずいきましょ」
セバスチャン「ええ。…ところでアドリエンヌ様」
アドリエンヌ「……何かしら?」
セバスチャン「今回の賭け、もしや、どちらに賭ければ勝てるか、お分かりになっていたのでは?」
アドリエンヌ「……ぷっ。あっはっはっはっは!!嘘でしょ?疑ってるの?あたしのこと」
セバスチャン「いえいえ、まさか。勝負事の秘訣でも教わろうかと思っただけでございます」
アドリエンヌ「んっふふふ……。秘訣?そうねぇ…」
アドリエンヌとセバスチャンの二人が、輸送隊の元へと向かって歩を進める。
アドリエンヌが、煙草を投げ捨てた。
アドリエンヌ「女の勘よ」
硝煙を、風がどこかに運んで行く。




