表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/105

第19話「暮雨の過去」

八咫烏(やたがらす)神社。

その境内(けいだい)で、暮雨(くらさめ)は一人、思いを馳せていた。



5年前。


雨の降る夜、暮雨が、許嫁(いいなずけ)燕春(えんしゅん)と居るところを、刺客たちに囲まれている。

刺客たちの中で一際大柄な男、ジ・エンターテイナーと名前を変える前の東雲玄冬(しののめげんとう)に、暮雨が吼える。



暮雨「玄冬!貴様!!」


ジ・エンターテイナー「悪く思うな。久慈八条(くじはじょう)家の因果が報いただけだ」


燕春「暮雨様と私の縁談を破談にすれば良いだけではありませんか。東雲家の家名に傷をつけるおつもりですか?」


ジ・エンターテイナー「お前が言えたことか!!東雲家が味わった雪辱(せつじょく)を、よもや忘れたとは言わせまいぞ!!」


燕春「その禍根(かこん)を断つための縁談だったはず。兄様は、我欲に溺れているだけです。目をお覚ましになって下さい」


暮雨「下がれ燕春。奴に通ずる言の葉など無い…!」


ジ・エンターテイナー「そうだ!!刀を抜け!!もはやそれでしか分かり合えぬ!!」


燕春「兄様!」



斬り結ぶ、暮雨とジ・エンターテイナー、その刺客たち。


刺客を次々と倒すものの、次第に傷を負い劣勢に追い込まれる暮雨。



暮雨「くっ……。ハァ…!ハァ…!」


ジ・エンターテイナー「終わりだ。因縁も…貴様も…!!」


暮雨「舐めるな…!!まだ終わらぬ…!!終わる事などできぬ…!!!」



暮雨がジ・エンターテイナーに斬りかかる。

鍔迫(つばぜ)り合いを演じ、弾かれるように距離を取る二人。


間へ、燕春が割って入った。



ジ・エンターテイナー「そこをどけ!!燕春!!!」


燕春「退きませぬ」


暮雨「下がれ燕春!!」


燕春「下がりませぬ」



無理やり燕春を下がらせ、刀を構える暮雨と、それに応じるジ・エンターテイナー。


しかし、暮雨が下段に構えた刀に、燕春が自ら貫かれる。



ジ・エンターテイナー「ッ!!?」


暮雨「燕春…?馬鹿な…!!燕春!!!」


燕春「……どうか…、私の命一つで…。収めて下さいませ…」


暮雨「駄目だ燕春…!!何故…!!燕春!!燕春!!」


燕春「暮雨様……。どうか……」



そこで、回想は途切れる。


いつの間にか、八咫烏神社の境内に小雨丸と、ジョナサンが戻って来ていた。

暮雨がゆっくりと(まぶた)を開く。



暮雨「報せを」


ジョナサン「ハッ!!エルザ殿に、言伝をバッチリ届けて参りマーシタ!!そして、エルザ殿からも言伝を預かってマース!!近々会いに来る…ト!!」


暮雨「大義だ。下がれ」


ジョナサン「イエス!!」



消えるジョナサン。



暮雨「…小雨丸」


小雨丸「…はっ。面目次第もございませぬ。スマイルを見失いました。…奴が温室に潜り込むところまでは追えたのですが…」


暮雨「…大義だった。お前は、引き続きスマイルの動向を追え。スマイルの手下もだ。失敗は許さぬ」


小雨丸「…はっ!!必ずや!!」



小雨丸も、その場から消える。



暮雨 (………。お前の命一つで…。何が変わったと言うのだ…。燕春………。この黒の街の……。何が…)



いつの間にか、雨は上がりきっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ