第18話「お茶会」
天蓋付きのベッド、ふわふわとした華美なクッション、そして、無数のぬいぐるみ。
それらに埋もれるようにして、ヘルタースケルターが座り込んでいた。
ヘルタースケルター「〜♪。お友達…。みんなお友達……。うふふ……」
そこへ、ドアを開いてフィガロが入ってくる。
フィガロ「同志よ。スマイルが来ていますが」
ヘルタースケルター「…あら。素敵。すぐに行くわ…待っててもらって」
フィガロ「分かりました」
フィガロが部屋を去る。
ヘルタースケルター「うふふ…。良い子にしてお留守番してるのよ…?良いわね…」
抱えていたぬいぐるみをそっとベッドに横たえると、立てかけていた日傘を持ってヘルタースケルターは部屋を出た。
蝋燭の明かりだけがゴシック調の内装を照らす中で、ヘルタースケルターは、軽い足取りで螺旋階段を降りていく。
階下のドアの前に、スマイルと、その相手をするフィガロの姿があった。
ヘルタースケルターが、階段を降り切り、スマイルの前に立つ。
スマイル「やあ。ご機嫌麗しゅう。お姫様」
ヘルタースケルター「あら、道化師さん。よく来てくれたわね…。ウフフ…。何のご用?」
スマイル「いや、ね。ほら、前に話した計画の事さ」
ヘルタースケルター「まあ…素敵。素敵だわ…。お茶でもいかが?」
ヘルタースケルターは踵を返してしばらく歩くと、両開きの扉を開き、薄暗い西洋風の食堂へとスマイルを招き入れた。
スマイル「じゃあ、お邪魔しようかな」
食堂の椅子には、数席の空席以外、全てにぬいぐるみが座っていた。
長く、大きな食卓の上には、子供の落書きのような物も散らばっている。
ヘルタースケルターは、ぬいぐるみを抱いて上座に座り、スマイルはその近くの適当な席に座った。
フィガロが、何処からかティーセットと菓子を乗せたカートを押してくる。
ヘルタースケルター「素敵だわ…。お友達がいーっぱい。今日は道化師さんもいるわ」
スマイル「いやいや。光栄だね。お招き頂き感謝の極み。さて、お姫様。例のアレだけど…。近々実行に移そうと思う。温室での実験で、十分データがとれたからね…」
ヘルタースケルター「まぁ…!お友達が増えるのね…?ウフフ…」
スマイル「ハハッ…。上手くいけばね。今のところ、手筈通りで問題はないはずだ…けど」
ヘルタースケルター「けど…?」
スマイル「エルザ君に勘付かれたかもしれない。彼女はとっても…ほら、魅力的な女性だからね。頭も回るのさ」
ヘルタースケルター「エルザ…。ウフフ…。素敵な人…。お友達になってくれるかしら?」
スマイル「あぁ…。君が誘えば、すぐにだって仲良くなれるさ。…しまったなぁ。今日、お茶会に招いてもらえるとわかってたなら彼女も呼んできたのに。ハハッ」
ヘルタースケルター「そうね…。そうだわ…。素敵…。うふふ」
スマイル「ともかく、そんなエルザ君が、何か手を打って来るかもしれない。…しくじらないようにね?」
ヘルタースケルター「……。分かっているわ。新しいお友達を作るのだもの。ちゃあんと、おめかししていくわ」
スマイル「……………。頼んだよ。ハハッ。…んん。このマドレーヌ良いね。うちで売ろうかな」
ヘルタースケルター「素敵ね。きっとみんな喜ぶわ」
スマイル「間違いないね…。みんなハッピーだ。ハハッ」
ヘルタースケルター「ウフフフ…。うふふ。楽しいわ…。お友達がいっぱい…。いーっぱい。ウフフフフフフ…」
お茶会は続く。




