表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/105

第10話「八咫烏神社」

黒の街の一角、そこには、幾重にも連なる鳥居を構えた社が、森の中に潜むように佇んでいた。

鴉の本拠地、「八咫烏(やたがらす)神社」である。


黒の街も正午に差し掛かり、午前から降っていた雨が強くなろうという頃、神社に満身創痍の人影がよろよろと現れた。

拝殿から、暮雨が姿を現す。



暮雨「…如何(いか)なことだ」



神社の参道へ歩みを進める暮雨。

満身創痍で暮雨の前へと急ぐ人影は、鴉に属する暮雨の部下であり、スマイルの動向を見張っていた人員だった。



忍び1「ご…ご報告…。『茨』の者が…スマイルに……ぅ……」



暮雨の前に(ひざまづ)くも、そのまま崩れ落ちる忍び。



暮雨「小雨丸」


小雨丸「はっ」



暮雨の傍らに、もう一人、跪いた人影が音もなく現れる。

彼は暮雨の腹心、小雨丸である。



暮雨「手当を」


小雨丸「はっ」



忍びを連れ、拝殿に向かう小雨丸。

肩を貸され、連れて行かれながらも、暮雨へ報告を続ける忍び。



忍び1「警告を……!エルザ殿に………うっ……!!ぐっ……!!エルザ殿に………!!ごほっ……ごほっ………!!」


暮雨「下がって休め。よく報せを持ち帰った」


忍び1「ぐ……ぅ……」



気を失う忍び。



暮雨「…ジョナサン」


ジョナサン「はいデース!」



更に、音もなく暮雨の(かたわ)らに現れた男は、ジョナサン。

暮雨の部下である。



暮雨「エルザ殿に言伝(ことづて)を。急あり、キツネの巣にネズミが落ちた、と。エルザ殿に確実に伝えよ」


ジョナサン「承知デース!!」



音もなく消えるジョナサン。



暮雨「…雲行きが怪しくなってきたな…。黒の街で、何が起きている…?」



愛刀、舞牡丹(まいぼたん)の石突きを地面につけ、柄に手をやり佇んでいた暮雨だが、刀を携えると、そのまま神社の拝殿へと上がっていく。

拝殿の戸を開き、中へと入る暮雨。



暮雨「小雨丸」


小雨丸「はっ」


暮雨「どうだ」


小雨丸「命に別状は有りません。しかし、酷い怪我です。大口径の弾丸を受けた傷がありました。それから、脇腹を抉られています」


暮雨「…………。弾は摘出したか?」


小雨丸「いえ、体内に弾丸はありませんでした。魔力にて生成された物かと」


暮雨「……。意識はあるか?」


小雨丸「いえ、しばらく意識を取り戻せそうにはありません。いつ目が覚めるかも…、申し訳ございませぬ」


暮雨「いや、よくやった。命を取り留めただけでも良しとしよう。…小雨丸」


小雨丸「はっ」


暮雨「お前に任を授ける」


小雨丸「なんなりと」


暮雨「この者に代わり、しばらくスマイルを見張れ。怪しい動きがあれば逐一、知らせよ」


小雨丸「はっ」


暮雨「行け」



音もなく消える小雨丸。

暮雨は、小雨丸に代わって忍びの手当てを続ける。



暮雨「……。生きて帰れよ」



雨が、激しく降り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ