第97話「鮮血とワルツ」
ヘルタースケルターが立ち上がり、エルザに襲いかかる。
ヘルタースケルター『何で…っ!!何でよ!!私、あなたの悪口は1回も言わなかった!!何でそんなに私の事が嫌いなの…っ?!あなたたちも、生きるために動物を殺して食べるじゃない!!人間同士で殺し合うじゃない…!!私の何が悪いの?!!私の何が悪なのよ…!!!』
素手で殴り掛かるヘルタースケルターを、ジャンヌ・ダルクでいなすエルザ。
エルザ「家畜だって食われそうになったら反撃くらいするさ!!そうだよ!!これは人間だけの身勝手な正義だ!!!だからもう黙れ!!!恨むなら恨みな!!憎むなら憎みな!!」
ヘルタースケルター『嫌いよ!!!あなたなんて!!!!』
ヘルタースケルターが、大きく飛び退って距離を取った。
ヘルタースケルターの左目から咲いている花が紅く光る。
ヘルタースケルター『死んじゃえ!!!!!』
ヘルタースケルターから伸びるツタが、槍のように形を成してエルザを襲う。
エルザはジャンヌ・ダルクで受けるが、受けきれず、大きく体勢を崩される。
そこへ、更にツタが振るわれる。
ツタをもろに喰らいそうになるが、咄嗟に、包帯で吊った左腕を肩ごとヘルタースケルターの方に向けて身体を庇う。
エルザ「うぐっ…!!!!」
エルザの身体が浮かされる。
空中で激しく打ち据えられ、ダンスホールの端まで吹き飛ばされるエルザ。
壁に背中から激突し、大きく咳き込む。
エルザ「ぐっ…!ゲホッ…!!!ゲホ…!!ッはぁ…、はぁ……!!」
左腕で攻撃を受けたせいで、包帯は破れ、ギプスは駄目になっていた。
エルザは立ち上がると、ジャンヌ・ダルクの柄柄でギプスの残骸を叩き壊し、左腕をだらりと下げる。
エルザ「あぁ…、吹っ飛ばされてばかりじゃ芸がないねぇ…!」
ヘルタースケルター『あぁあああぁぁああああああ!!!!』
右手を振りかぶり、エルザに追撃を仕掛けるべく肉薄するヘルタースケルター。
エルザも、真っ向からヘルタースケルターに向かって走り出した。
ジャンヌ・ダルクを高く掲げるエルザ。
エルザ「ッはぁあああああ!!!」
ヘルタースケルター『あああああ!!!!』
両者が交錯する瞬間、エルザが身を下に投げ出し、転がってヘルタースケルターの攻撃を躱した。
ヘルタースケルターの拳は空を切り、体勢を崩す。
エルザ「もらったぁあ!!!」
ヘルタースケルター『ッ!!』
ジャンヌ・ダルクでヘルタースケルターの背中に切りつけるエルザ。
ヘルタースケルターは咄嗟に、翼とツタを背後に向かって横なぎに振るう。
衝突するエルザの剣とヘルタースケルターの翼。
エルザ「ぐあっ…!!」
ヘルタースケルター『あァっ!!』
エルザは、ヘルタースケルターの翼を両断したものの、続けて振るわれるツタを受けきれず、ダンスホールの中央に向かって吹き飛ばされる。
床にもんどり打って転がるエルザと、痛みにうずくまるヘルタースケルター。
ヘルタースケルター『痛いッ…!!エルザぁあぁぁあ!!!』
エルザ「…おぉおおおおお!!!」
ヘルタースケルターが怒りに任せて突進してくる中、エルザは咄嗟に、近くに転がっていた燭台を左手で掴み、前に突き出す。
それは、ヘルタースケルターの胸に突き刺さった。
ヘルタースケルター『ッキャアアアアアアアアアアアア!!!!!』
甲高い悲鳴と共に、鮮血が迸った。
月明かりに照らされるダンスホールで、吹き出す血が紅く踊る。