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七話 スカイフォートレス


 そこは正しく浮島だった。


 広いとは言い難いが、それでも広めのスタジアムやドームほどのサイズがある島。

 空を飛行しているそれは、どんな力による物かは全く不明でありながら、確かに空に浮いていた。


 転移魔法でその場へやって来た俺たちは、周りの景色を見て唖然としてしまう。


「はいはい。見入ってないでやる事やりなさい。風魔法使い、さっさと結界作成。同時進行で物資組はテント立てて、土魔法使って一気に仕上げなさい」


 映像でしか見た事が無かった有名人も、今は俺と同じ空気を吸っている。

 彼女の威厳がモニターで見るそれ以上の物を感じる。圧力にも似た迫力だ。


「なんか、場違い感が半端ないですね」


「そうだね。でも、俺たちもする事しないと。言われたでしょ、荷物持ちの何人かは、先遣隊に着いて行く可能性があるって」


「はい。なんか、全然緊張してなくて凄いですね」


「十分してるよ。けど、別にやる事はただの迷宮攻略だから」


 そう、そのダンジョンがどれほど強大な物であったとしても、俺たち探索者の使命はそれを攻略する事だ。

 A級ダンジョンは未だ誰にも攻略されていないなんて知ったことか、それでも食らいつける人間だけが成功の可能性を持てる。


 きっと、黒峰静香にはそれがある。

 深淵の様な眼に、俺はそんな意思を見た。


「俺たちも行こう」


「はい、そうですね」


 俺たちも物資の整理に加わる。

 転移魔法で俺たちと同時に送り込まれているが、それはまだ組み立てられていない物だ。

 建物の資材は組み立てる必要があるから、それが一刻も早く終わる様に俺たちもそれに参加した。


 一時間程かけて工事は終わり、魔法も使ったお陰かかなり規模の大きな拠点を完成させる事に成功した。

 小さめの城みたいだ。城壁もあるし。


 それら全てを複数人の風魔法使いの結界が囲んでおり、高所による空気の薄さという問題は解決された。

 高山病になる事も無いだろう。


「それじゃあ、先遣隊のメンバーを発表するわ」


 外から見ると立派だし防御力もありそうだけど、中から見ると巨大な会議室と後は何人かの偉い人の私室しか無いからハリボテ感が凄い。

 その会議室で風魔法で結界を張ってる人以外の探索者全員を集めて、最初に出発するパーティーのメンバーが発表された。


 黒峰静香は自分を含めた複数の鮮血の偶像メンバーを指名していく。


 そして、第一先遣隊のメンバーの最後の二人に意外な人間が指名される。


「リオン・エヴァ。天空秀」


「え?」


「私、ですか?」


 そこに指名されたのは俺とリオンさんだった。


「えぇ、貴方達よ。これは私がここに居る全てのメンバーのデータを見て決定した事よ。あぁ、アルバイト代は上乗せして置くわ」


「そういう問題じゃ無くて」


 俺は咄嗟に声を出してしまう。

 彼女の意図を読み取れないから。


「なんで俺たちなんですか。言っちゃ何ですけど、まだ全然新人ですよ?」


「関係ないわ。A級ダンジョンにC級以下の戦力は大して違いが無いから」


 なんだよそれ。

 それに、俺以外の誰もこの決定に文句を言わないのが不思議だ。

 皆、何処かほっとしたような感じ。


 あぁ、A級ダンジョンになんて誰も行きたくないからって事か。


「勿論、拒否権はあるわ。嫌ならそれでもいい」


 正直、A級ダンジョンに挑むなんて思ってなかった。

 そして、A級ダンジョンに来ると分かっても、安全の確認された道だけの荷物持ちだけだと思ってた。

 けど、これは見方によって良い事もある。

 日本最高の探索者と一緒に探索ができる。


 それは、俺が命を賭けるに値する話だ。


「分かりました俺は行きます」


「え、天空さん?」


「秀でいいよリオンさん。俺は行くけど、君は好きな様にしたらいい。正直命を賭けるなんてアホのする事だから」


 俺がそう言うと、リオンさんは考え込んだ。

 そして、覚悟の決まった表情をして俺へ言った。


「私も行きます」


 その眼にはちゃんとした覚悟があったから、俺はそれ以上彼女を止めようとは思わなかった。


「2人とも来てくれるのね。助かるわ」


 黒峰静香は淡々とそう言った。

「面白そう!」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の気持ちが冒険に振り切れ過ぎてる気が・・・ 幼馴染のためにも簡単に命かけちゃダメなのでは?
[一言] 同時進行で物資組はテントと立てて →同時進行で物資組はテントを立てて
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