五十一話 レベルアップの秘密
AAランクの魔石剣 ランク4
スキルスロット 『風刃』『器用』『充填』『魔力吸収』
Bランクの魔石剣 ランク3
スキルスロット 『器用』『充填』
AAランクの剣が俺の専用武器。
Bランクの剣が他のギルドメンバーの武器となった。
この魔石剣に導入するスキルとして、現在最適と思われるのは『器用』というスキルだ。
ゴブリンの魔石から手に入れる事ができるこのスキルは、武器の取り回しや手先の器用さが向上し、更に副次効果としてその武器の熟練度の上昇速度が上がる。
これは、体感でしか無いが、この武器を使って戦えば戦うほど、剣術に関する造詣が深まっていく感じがする。これは俺だけではなく、全員が感じていた事だし鑑定結果もそれらしい効果が記載されている。
充填は次の一撃の攻撃力を充填時間に比例して向上させるという物だ。
最大チャージは3分で、武器の魔力量が4倍へ膨れ上がる。
魔力吸収に関しては俺の魔眼と同じ原理で、魔法を取り込む事ができる。
素材に俺の涙をくれと言われたときは何事かと思ったが、このスキルはかなり有用なスキルだった。
なんせ剣で受けた魔法攻撃を刀身に吸い込んで次の一撃の威力を上げるのだから。
「凄いですね鍛冶師」
「やべえっすよこの剣、使うごとにどんどん俺自身が強くなっていってる気がするっす!」
「私の錫杖もです。これで少しは自衛の手段が持てました」
リオンさんや秋渡、耶散もこの剣には満足いっている様だ。
Aランク以上の魔石はダークエルフの物しかないので、俺以外の武器はBランク魔石を使って作った物だが市販しているCランク魔石剣に比べてはその性能差は倍違う。
「ありがとうございます。俺がこんなに感謝される日が来るなんて……!」
「何言ってるんだ、これはお前の力だぞ紅蓮」
「社長~!」
また泣き出してしまった紅蓮は、ずっと感謝を吐き出し続けた。
性格は良い奴なんだろう。今まで見下されて来たのに、その相手に対して何をするでもなく、ただ自分の成功を喜んでいる。
やはり、俺の目は間違えないという事の証明だ。
「それで、アナライズアーツの今後の展望について話て行きたいから一度全員で会議するとしよう」
「それで今日はギルドに集まったんすね?」
「そうだ秋渡、勿論その武器の使用感を聞くためでもあるけどな」
「今後の展望…… それって私たち一ギルド員が聞いてもいいんですか?」
「勿論だよ耶散、今回世間に明かす事実はまだ皆にも伝えてない事が含まれるから」
「秀君、私も知らない隠し事ですか?」
「そうだね、この中で知ってるのは紅蓮だけだ。その秘密を、そろそろ世間に公表する時期だと判断した」
レベルアップの秘密。
本気でSランクダンジョンの攻略を目指すのなら、それは俺だけが独占していていい情報じゃない。
情報の独占に拘るつもりもない。
俺の目的はずっと、一人の女の子を目覚めさせることだ。
力も金もある程度手に入れた。そして、これから必要になるのは仲間だ。
Sランクダンジョンを攻略するための仲間である世界中の探索者が、弱いままじゃ困る。
これからの時代、必要になって来るのは『鍛冶師』や『鑑定士』『錬金術師』や『召像画家』の様な生産職や支援職の協力だ。
魔石武器は全ての探索者の力量を底上げしたように。
鑑定情報が全ての探索者の教育に重宝されたように。
俺が動画を上げ始めて半年ほど時間が経った。
長い様で短い時間だった。得た物も失った物も多分にあった。
エリクサーを手に入れる方法は潰えたが、Sランクダンジョンという可能性も同時に現れた。
それを攻略するには、もう俺たちギルドの力だけでは恐らく全く足りていない。
「俺や紅蓮のレベルアップに関する話を少ししようか」
「面白そう!」
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