表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/145

百四十五話 龍と剣の激突


 俺の鑑定に移る景色。

 それは恐怖よりも、美しさとか芸術的とかそんな感情を想起させる。


 【龍気命中(アークドライブ)】。

 それは龍の王だけが使える必殺の魔法にして、命を削る自傷の魔法。

 体内の魔力を龍気と呼ぶ特殊なエネルギーに変換。

 それを全身から一気に放出し、相手に突撃する。

 純粋故に、強力無比な命を賭けた奥義。


 そして、その背中に一体の悪魔が乗る。

 悪魔の名はヴァルキュリア。

 その力は強化魔法を越えた概念武装の召喚術。


 魔鎧全装。

 魔力その物を纏うのではなく、魔力で形成した武装を装備する魔法。

 魔力を纏うのに比べて、召喚した武装の性能は高い。

 それは、効果時間を絞るほどに強化される術式が組み込まれているからだ。


 更に後方から、禍々しい黒い光が龍王マリアに宿る。

 死霊王ノーライフキングマエストリア。


 使用されたスキルの名は『生命流転の法』。

 生命力を犠牲にし対象に死の力を宿し、その対象の生命力が低下する程に宿るエネルギーの量が増大する。


 マリアは龍気命中の効果で、限りなく死期に近づいている。

 恐らく、強化量は考え得る最大値に至るだろう。


 魔鎧全装が広がっていく。

 最初は人より少しだけ大きな悪魔の身体に宿っているだけだった。

 しかし、悪魔が龍の背に乗った瞬間魔法が広がった。


 龍が鎧を纏う。


「魔剣イグニドラ」


 そう呟く。

 それは、悪魔が持つ大剣の名前だ。

 一薙ぎで探索者数十人を吹き飛ばした魔剣。


 しかし今回のそれは、先のそれはとは規模が全く違う。

 その剣はビルの様に巨大だった。

 それをドラゴンが口に咥える


『行くぞ』


 龍の瞳が、そう語っている様に見えた。


「来いよ」


 俺たちに既に負けは無い。

 いざとなればこの都市を放棄してゼニクルスに全員脱出させればいいだけだ。

 しかし、負けは無いとは言え、勝ちを捨てる気もさらさらない。


 ――勝ってこの戦いを終わらせる。


 この戦力を、いやこんな戦力を創り出せる魔王マビトを放置する事はあり得ない。


「お前はここで倒す」


 俺は魔王マビトを見据えてそう言った。


 迷宮都市は渡さない。

 魔王という存在を生かしておく気は無い。


 それに俺にはもう見えている。

 天からの視界。

 遠距離を見通す瞳。


 俺の眼が教えてくれる。

 それは剣聖の誕生だ。


「玲十郎、任せていいのか?」


「【称号授与クラスチェンジ剣聖ザ・ソードマスター】」


「御意」


 聖女が発したのは、英雄を英雄たらしめる証明の魔法。

 それは、俺や新藤の持つ半端な力とは違う。

 完全な称号の力。


 剣聖の力。

 剣技創成(ソードクリエイト)

 己が描いた剣の技を、スキルとして会得する妙技。

 スキルという枠組みにとらわれず、自ら生み出した技術をスキルとして昇華させるスキル。


「剣聖は選ばれた。その条件は最強の剣を有している事だった。けれど、最強の剣とは武器の話では無かったのですね」


「そう言うこった」


 千宮司剣が、聖名守の言葉にそう返す。

 聖名守の聖女としての役割は、勇者以外にも剣聖や賢者と言った特殊な称号を与える事だ。


 聖名守は始め、剣の強さとは『武器』としての物だと思っていた。

 千宮司はそれを聞いて、武器ではなく技量の話だと解釈し直した。


 けれど、それはどちらも間違い。

 いや、どちらも正しい。


 剣聖への転職条件は、振るう刃の強さ。

 答えは単純な話だ。

 千宮司剣のスキルで作られた剣よりも、玲十郎が持つ剣の技量の方が『強かった』。


 ただそれだけの単純な解答。


 しかも、玲十郎と剣聖の称号の力の相性は頗る良い。


 俺は玲十郎の剣術を知っている。

 俺の目で見て、何より剣を習う上で経験した。


 玲十郎の剣術の中に在るのは無数の剣術の集合だ。

 様々な武術や剣術の持ち主と貪欲に戦ってきた生涯。


 それが生み出した技の数々は、レベルによる驚異的な身体能力を以てして既にスキルと呼んで差支えの無い領域にある。


 剣聖の力でそれが更に昇華するのだ。

 弱い訳が無い。


龍滅剣オールドソウル


天誓テンセイ


 二つのスキルが。

 いや、スキルという領分を超越した力がぶつかり合う。


 巨体全てを最大限使った突進。


 ――対して。


 ぶつかり合うは全霊を一刀に乗せた神剣。


 この場に彼らに匹敵する技やスキルや魔法を持つ存在は誰も居ない。

 故に、行われるは単純で純粋な一騎打ち。


 圧倒的な力の激突は、それ故に一瞬で決着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ