表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/145

百四十一話 付与術士


 簡易クラス強化。種族昇華。

 それは、クラスが『種族名』の者だけに許される隠された真価の解放。


 異なる二つの種族を拡大させる要素を組み合わせる事で、双方がその力量を向上させる。

 例えば、龍の血は飲む事で一時的に対象を【龍化】の強化状態にする。

 例えば、吸血鬼の吸血は対象を眷属化し、種族をヴァンパイアに変化させる効果がある。


 その二つの要素が混ざり合い、彼らは一時的にクラスの名を変える。


『モード:吸血龍』

『モード:ドラキュリア』


 けれど、それは一度魔王に敗北した戦術。

 Aランクギルドを率いる者として、彼らは常に進歩を求めて来た。


「やっと僕の出番だ」


 名を言葉(ことのは)(りん)

 クラスを【付与術士】。


 付与術士は本来、様々な強化魔法に置いて味方を強化するクラスだ。

 しかし、彼の最大の特徴と言えるスキルは、普通の付与術士が持つそれとは少し異なる。



 ◆



 黒峰さんとセブンさん、それに追従する鮮血の偶像とパープルミストの面々。

 彼らが居れば、ここの戦線も押し戻す事ができるかもしれない。


 俺の剣は魔王に届かなったが、それでも戦線さえ押し返せれば戦力が空いて魔王に回せる探索者が増える。

 そもそもこの戦いは人数で有利を取った方が勝つ。双方とも、この戦線を一撃で破壊できるような駒は無い。

 ならば、総力的に勝っている方が勝つ。


「あんたが天空秀?」


 黒峰さんでも無く、セブンさんでもない。

 中学生ぐらいの少年だ。それが俺が居る最前線にいた。

 魔王を倒せばこの戦いはほぼ勝利と言える。だが、それができる探索者は最低でもAランク以上だ。

 なぜ、この少年は単身でこんな最前線にいる? いや来た?


「静香さんに言われてさ、あんたを援護してやれって」


 無意識的に俺は鑑定を発動させる。



―――

言葉鈴ことのはりん 15歳 男

状態『上位吸血鬼化』『竜人化』

クラス『付与術士』

レベル『74』


体内魔力量2290(15480)

身体強化率2290(15480)


スキル【付与魔法lv15】【自己強化率増加lv13】【強化耐性lv11】【感覚強化lv9】【筋力強化lv7】【浮遊魔法lv5】【速度強化lv3】【魔力強化lv1】


付与スキル【身体強化】【魔力強化】【血液操作】【竜之息吹】

―――



 なんだこのステータス。

 新藤に強化されてたロランスだって、ここまで壊れた数値はしてなかったぞ。

 しかも、付与スキルなんて初めて見た。


 こいつのスキルの効果?

 いや違う。これは黒峰さんとセブンさんの力だ。


「お前、何者だ?」


「静香さんの直属の部下だよ。まぁ、ギルドに入ったのは最近だけどね」


 歳は中学生だが、このステータスなら多少強引にでもギルドに引き入れるメリットがある。

 鑑定を深く発動させれば、こいつのステータスがどうしてこうなってるのかが理解できる。


「それで? あの踏ん反り返ってる奴を倒せばいい訳?」


 魔王を見据えて、言葉鈴はそう言った。


「まぁそうだが、人型の骸骨がガードしてるから一筋縄ではいかないぞ」


「任せてよ。あんた戦闘職じゃ無いんだから僕に任せなって」


 そう言って、鈴は自己強化を発動させる。

 って、今はまだ自己強化前だったのかよ。


「筋力強化、速度強化、魔力強化、感覚強化」


 四つの強化魔法が、追加で鈴の身体に宿った。


 俺の知っている『付与術士』は、本来味方を強化するクラスだ。

 しかし、こいつはその強化を自分一人に集中させる事で他クラスでは絶対に確保できない身体能力を実現している。


 肝心なスキルは二つ。

 【自己強化率向上】と【強化耐性】だ。

 前者は自分が対象になった『強化系スキル』の倍率を向上させる物。

 本来ではあり得ない強化率を可能として、身体能力と魔力量の上限値を跳ね上げる。


 後者のスキルは本来、強化を過剰に施された場合に発生する身体組織の破壊を防ぐ物だ。

 極端な話、付与術士を百人集めて一人を強化してもそいつの身体が耐えきれない。

 しかし、強化耐性のスキルは強化可能な上限を拡張する。


 おまけに感覚強化で、身体能力と意識のズレを修正する事も可能と。

 そんな鈴が、黒峰さんやセブンさんの種族スキル『ドラゴンブラッド』と『眷属化』によって強化されている。

 その結果は、見ての通りという訳か。


「よいしょっっと!」


 そんな軽い掛け声と同時に、目のも留まらぬ速度に加速した鈴が魔王が立つドラゴンに迫った。


「速いな。マエストリア」


死屍外壁スケルトンウォール!」


 拳を振り上げ、そのまま何の戦略も無く叩き込む。


 同時に現れた骨の盾が、拳を阻む。

 がしかし、拳一発で暴風が発生し魔王の立って居る竜が暴風に当てられる。

 拳圧だけでこの威力か……


 スキルでも無く、戦術でもなく、単純なパラメータの暴力。


棘骨屍(ボーンスパイク)


「なんの!」


 放たれた骨の弾丸を、動体視力で見切って叩き落していく。

 その様は戦い方は全く違っても、リオンを見ている様だった。


「強い……」


 無意識にそう口から言葉が漏れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ