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幼馴染との恋

作者: もち

俺には幼馴染みがいる。名前はナツキ。幼稚園の頃からの幼馴染みだ。

ここ数年は険悪な仲が続いている。しかも、俺が何かしたわけではなくあいつから一方的に突き放してくるので、俺は何もすることが出来ない。


今日もあいつにめっちゃくちゃに暴言を吐かれたりすると思うと気分が重いが、自分の教室に入る。

「おーっす」

クラスメイト達に挨拶をしながら自分の席に鞄を置く。

「おっす」

俺のとなりの席に座っているのは、誰あろうナツキだ。

「、、話しかけないでくれる?」

今日もナツキの態度は冷たい。

「そんなこと言うなよ、俺とお前の仲だろ?」

「は?知ったようなこと言わないでくれる?

あんたとは何の仲でもない」

「、、そうですか」

たぶんこれでナツキとの今日の会話は終わりだ。こんな感じのことを毎日続けている。何でこんな風になっちまったんだろうな。

今日は珍しく、そんなことを考えて一日を過ごした。

家に帰ってからもその事を考えていたからか、その日の夜、夢を見た。子どもの時にした約束の夢だ。

「このストラップ、私と正人が結婚するまで持っててね、約束だよ?」

そうして渡されたのは可愛らしい猫のストラップ、二つで一組の色違いで、俺が青色、ナツキが赤色だ。

だが、俺はそのストラップを半年後ぐらいに無くしてしまった。

「正人、信じらんない!!」

「こんなものいらない!」そして、ナツキは自分のストラップを地面に投げつけた。

「もうどっか行って!」

あの時のナツキの怒りようは相当だった。

今思うと、暴言を吐かれ始めたのはその出来事からだったのかもしれない。

「はっ、はぁ、はぁ」ひどい汗だ。

時計を見る、まだ四時頃だったが、二度寝をしようとは思えなかった。

もう自分でも忘れてたようなことが夢で出てくるとか、なんかあるのか?


朝の支度をぱぱっとして、登校する。自分の教室へ入る。

「おっす」俺の席の隣の幼馴染みに挨拶をする。

「、、」

今日は反応も無しか。いつものように、鞄を机の横に掛けようと体勢を変える。その時見えた、いや、見えてしまったのだ、ナツキは昔、俺にもくれたストラップを今でも自分の鞄に付けていた。

(こいつ、もしかしてずっと、、!)


その日の帰りの会の時間

「えー、静かに。急な話だが、上条(ナツキの名字)が明日から、海外へ留学することになった。」

「は?」俺は耳を疑った。

「急な話だという事は先生も分かる。今からだともう話せる時間は少ないだろうが、最後に話をしてあげてくれ。」

帰りの会が終わった後、ナツキの周りには泣きじゃくるもの、励ますもの、ナツキと親しい関係な人達がいたが、俺はその輪の中には入ることは出来なかった。


帰り道

でも、俺にだってしてやれることはあるはずだ。

ストラップは無くしてしまったが、それは家の中での話だ。なら、まだ家の中にある可能性が高い、!

速効で家に帰り、いつもならば見ないような自分の部屋の引き出しの奥の方を探す。

「頼む、あってくれ!」

その時、こつん、と何かに当たる感触があった。

「!」取り出してみるとそれは昔ナツキがくれた、青色の猫のストラップだった。

速く行かなきゃ、ナツキがいつ家を出発するのかも分からない。はやる気持ちを抑え、ナツキの家の近くまで来る。!ナツキが丁度学校から帰ってきている姿が見えた。ここで伝えなかったら、俺は一生後悔する!

「ナツキ!」

ナツキは驚いて、歩くのを止めた。

「なに?」

「これ、昔お前と約束しただろ?」ストラップを取り出すと、ナツキが、信じられないとでも言うような顔になった。

「無くしたんじゃ、なかったの?」

「お前が海外に行くって言ったから、急いで家の中探して持ってきたんだよ。、もう会えねーだろうけどさ、もし会えたら、また、一緒に遊んだりしようぜ?」

「もう、、!ちゃんと話ができると思ったらもう会えなくなる時なんて遅いよ、」うつむいて、今にも泣きそうな顔になっている。

「でもありがとう」俺はその時のナツキの言葉を生涯忘れる事は無いだろう。




数年後

信じられないことだが、俺はナツキと結婚した。ナツキは外資系企業に勤め、世界を飛び回っている。俺は結婚式で互いに交換しあった指輪と、昔もらったストラップをいつであっても、一生無くさない。


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