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終焉世界の探索者  作者: 雷炎
4章:第一次人魔大戦
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知者嘲るは愚なる者 其の四

啓示板(オラクルチャンネル)』で常世思金神(オモイカネ)からの指示を受けながらの攻防で俺は終始優位に立つことが出来ていた。更に他のメンバーも次々と攻撃を仕掛け、現在開示されている特殊能力(スキル)への対処は完全にルーチン化され、被害はほぼゼロに抑えられていた。


「そろそろHPが五十%を下回るぞ!」


「行動パターンの変化に注意!」


「HP五十%割ります!」


『ガガガガガカカカカカギャギャギャギャギャ!』


「なんて?」


「日本語でおけ」


「やーい! お前のかーちゃん人類の敵!」


『ブチ殺スゾ塵芥共ガ』


「「「「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァ!!!」」」」」


「お前喋れたのかよ」


『貴様ラガ漸ク我ガ命数ヲ半分削ッタノデ我本来ノ力ノ開放ガ認メラレタノダ。全ク、能力ドコロカ行動ニスラ制限ガ掛カルトハ何トモ生キヅライ世界ダ』


「またどうしてあのラブマシーンはそんな制限をかけたんだよ」


『違ウ! 忌々シクモ我ラニコンナ理不尽ヲ科シタノハ他ナラヌコノ世界ダ』


「この世界だと?」


『然リ、我ラノ今イルコノ領域ソノモノガ我等ニアラユル制約ヲ科シテイル』


「ダンジョンそのものがお前らに制限をかけてるのか。……でも何でだ?」


『知ラヌ。ソレヨリモ漸ク戻ッタ力ガ身体ニ馴染ンダ。サア、戦イノ再開ダ』


「あってめえ汚ねえぞ!」


『オ前タチノ持ツ言葉ノ中ニハコンナ物ガアルダロウ?』


 “変身中のヒーローへの攻撃は禁止”と


「「「「「お前はヒーローでも魔法少女でもねえだろうがー!」」」」」


『ガガガ。最モダナ』


【愚者】がボロボロのローブを翻し、古ぼけた錫杖を取り出した。


『征クゾ。特殊能力(スキル)ノ発動ニハ宣言ガ不可欠ダガコウスレバ聴キ取レマイ『■■■■■■■■■■■■』』


【愚者】の超高速発音によって理解できない音と化した特殊能力(スキル)が発動する。直後、【愚者】と対面している冒険者全員に青黒い光が纏わり付く。



「何だ?」


「気を行けろ! 毒や呪いの類の可能性がある!」


『カカカ! ソノヨウナ物【愚者】ニハ似合ワンヨ。ソラ!』


「ぐっ!」


「がぁっ!?」


「おい、どうした!」


「被害報告!」


「HPが……」


「火力班四人、防御班、三人、後衛班三人の計十名のHPが半減しました!」


「な!?」


『動キガ止マッテイルゾ』


「がっ!?」


 突如としてそこかしこの冒険者が苦しんで倒れた所為で動揺してしまったこちらの布陣に【愚者】が入り込んで来た。


「させねえよ!」


 幸い俺達遊撃班の被害はゼロだ。それにどの班も加護持ちなんかの最高戦力は無事みたいだ。体制を立て直すまで俺達が時間を稼ぐ。


『ガガガ! 貴様、コノ中デ【眷族】デモ無イノニトビ抜ケテ強イナ! 何者ダ?』


「ただのしがない英雄だよ!」


 襲い掛かって来た【愚者】の杖を弾き返し、会話で時間を稼ぐ。


『英雄? ガガガ!!!』


「何がオカシイってんだよ」


『英雄、英雄ト来タカ! ……ナラバ貴様ハ今何トシテデモ殺サネバナラヌ』


「!?」


 突如として【愚者】の纏う雰囲気が変わる。さっきまでの何処かおちゃらけた様な雰囲気は鳴りを潜め、研ぎ澄まされた殺意で満ちている。


《秘匿アナウンス》

《The Fool-Ⅰ-UsurpationよりⅠを除くThe Foolへ対象の討滅宣誓を提案》

《対象:The Seed of the Next Gods-Ⅰ-Blank》

《宣誓内容:Eliminate》

《愚者の決議》

《賛成:六、反対:三》

《賛成が反対を上回りました》

《The Fool-Ⅰ-Usurpationの【|抹消状態《Eliminate mode》】を解禁します》

《これ以降、全てのThe Foolの【|抹消状態《Eliminate mode》】は永久封印されます》

《The Fool-Ⅰ-Usurpationの第三から第六までの特殊能力(スキル)を解禁》

《The Fool-Ⅰ-Usurpationの特殊能力(スキル)を全て抹消能力(エリミネイト)に変更します》


『宣誓。我ハ偉大ナル王達ノ覇道ヲ妨ゲル怨敵ヲ討ツ事ヲ此処ニ誓ウ』


 その言葉を合図に【愚者】から感じる気のような物が一段と変化した。いや、変化したのは気配なんかの目に見えない物だけじゃ無い。その見た目が明らかに変化している。

 ボロボロのローブとその手に持っている薄汚れた古ぼけた錫杖は豪奢な物に、そのローブの隙間から見えていたやせ細った肉体は筋骨隆々までは行かずともしっかりとした肉体になっている。


『ここで消えよ英雄。貴様()は我らの王達の覇道の礎となれ』


 微妙に聞き取り辛かった声がしっかりと聞き取れる。


『さあ、死ねぇ!』


【愚者】の持つ錫杖の先端に集まる輝きはどう見ても霊術なんかのそれで、今迄一切使用していなかったリキャストゲージの内五つ目が輝いて……


『眷魔術が第一階梯《威光穿孔》』


「っ! 全員逃げろぉぉぉ!!」


 俺達目掛けて無数の光線が放たれた。


「ぐわぁ!」


「ぎっ!」


 そこかしこで悲鳴が上がる。今の《威光穿孔》とやらで打ち抜かれたのだ。幸いにして一発でHPを全損した者は居なかったが、当たった奴は漏れなくHPの七割は失っており、全員バラバラに逃げた所為で隊列もぐちゃぐちゃだ。

 何とか立て直す時間を作らないとこのチームは壊滅してしまう。


「雑賀さん!」


「何です鈴木さん」


「よくわからんがアイツの狙いは俺らしいんで俺が時間を稼ぐんで今のうちに体制を立て直してください」


「!? わかりました。でも流石に一人じゃ無理でしょう。猪鹿と一緒に行ってください」


「わかった。で、その十二神将の猪鹿さんは何処に?」


「え? あれ?」


「猪鹿さんならもう突撃しましたよ?」


「「え?」」


「猪突猛進!!!」


『む? あの覇王の眷族か、邪魔をするなら貴様も消えろ』


「猪突猛進!!!」


 何処からか叫び声が聞こえてくる。明らかに件の十二神将の猪鹿蒙戸だ。


「あー、鈴木さん。猪鹿と一緒に時間稼ぎの程、よろしくお願いします……」


「了解した」


【愚者】と猪鹿の戦場は何というか非常に()()なことになってた。


「はっはー! ぶっ飛べ『三尺玉』!」


『ええい、鬱陶しい! 《威光穿孔・束》』


「む?」


「あぶねえ!」


「はっはー! 当たらんよ!」


『むう?』


「うっわ……」


 猪鹿蒙戸。固有属性を持つ訳でも名のある神の加護持ちでも無く、有名なクランに所属しているわけでもないこの男が十二神将に選ばれた最大の要因は彼のみが持つ【最速突撃者】の称号による物ではなく、その()()()()()()()によるものだ。


 気色悪いとしか言いようのない身体の動かし方で見事に【愚者】の魔術を躱しきった猪鹿は、躱す際に外したと思しき関節を元に戻しながら大声で笑う。


「わははは! 当たらん、当たらんぞ【愚者】ぁ! 貴様の鈍い攻撃では億年経とうと吾輩には当たらんぞぉ!」


『やかましい! 何なのだ貴様!』


【十二神将・亥】が持つ固有の能力である【恩寵能力(ギフテッド)】の名は『爆ぜ散る尺玉』。この【恩寵能力(ギフテッド)】の特徴は何と言ってもその威力と派手さだろう。『爆ぜ散る尺玉』その効果は指定したサイズの尺玉を最大三個まで生成する能力だ。尺玉とは花火の玉の事だが要は色鮮やかに弾ける高威力の爆弾だ。しかも効果範囲を圧縮する事で威力を上げることも可能だ。


「おい猪鹿さん!」


「ん? おお! メトロの鈴木ではないか!」


「俺とあんたで時間を稼ぐ。俺はあんたのアシストするからあんたは好きに暴れろ!」


「承知!」


 こうしてたった二人によるレイドボスへの時間稼ぎが始まった。


─────────────────

【TIPS】

 【覇王】とはそれ即ち人類を束ね上げ人の繁栄を築き上げる王である。

 【魔王】とはそれ即ちモンスターを従え世界を混沌に満たす王である。

 では【英雄】とは? 数多の苦難を乗り越え栄光を勝ち取った者は彼の種を統べる王達と同格か? 否だ。否である。たかだか人一人で成せる()()の実績で偉大なる王達に並ぶなど傲岸不遜にも程がある。では【英雄】とは王に従う強力な臣下に過ぎないのか? 否だ。否である。【英雄】とは己を磨き、修練を重ね、単一にして究極の個へと至る資格を持った者である。然らば【英雄】の先にあるのは単一で覇を成す究極の個なり。それ即ち【■■】なり。

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新作です

【DRAGON SLAYERS】

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