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30億だけ持たされた私の異世界生活。  作者: 夢寺ゆう
第1章 異世界転移
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18.凄腕冒険者


『ギャアアアアアアア!!!!!!』


 ドラゴンは馬車を停めた私達を確認すると、大きく旋回して戻ってくる。

 そしてこちらに向かいながらブレスを撃つ。

 さっきまでの炎の柱のようなブレスとは違い、巨大な炎の塊を3発放ってくる。


「うわっ!」


 こちらに向かってくる巨大な火の玉に恐怖を覚える。なにあれ怖い!

 ロイドと呼ばれた少年が軽く杖を構えて呪文を高速で唱えると、大きな水の膜が現れて火の玉の攻撃を防ぐ。


 恐らく私達を覆っているこの膜と同じものであることからこの膜もかなり丈夫で、安全なのだろう。


 しかし、人間が魔法を使うのは初めて見る。

 まだユニーの肉を凍らせるブレスとあのドラゴンのブレスしか見たことがなかった。


「ちょっと眩しいよ」


「え?」


 ロイドが何かを呟いたかと思うと、先程とは違う呪文を唱える。


『スパーク!』


『ギャアアアアアアア!!!!!!』


「ギャアアアアアアア!!!!!! 目が! 目が!」


「いや、眩しいって言われたじゃねぇか」


 だってそんなこといきなり言われたって何が起こるかもわからないんだから対策も取れないじゃん! 何でカイはそんなすぐに反応できるの!?


 物凄い光が私とドラゴンの目を襲い、ドラゴンはその動きを鈍らせる。

 ちなみに私は両目を押さえてゴロゴロ転げ回っている。


「あーあ、何やってんだか。ま、いっか」


 よくないよロイドくん! よくないです!


 ロイドは動きの鈍ったドラゴンに追撃を加える。


 数10個の水の玉がロイドの周りに発現したと思ったら、それらが一斉にドラゴンに向かっていく。


 その水の玉はドラゴンの身体に当たった瞬間、物凄い爆発音と衝撃と共に弾け飛んだ。

 水爆弾が何10発も連続でドラゴンに直撃する。


 水爆弾が全て爆発した後、爆発の影響で発生した水蒸気の中からドラゴンが地面に落下していくのが確認された。


「カナタ、あとはよろしく」


「ああ」


 カナタと呼ばれたロイドの相方が背中の大剣を抜き、落下しているドラゴンの元へ走り出す。


 あんな美人があんな大剣を持ってあんなドラゴンにトドメを刺しに行くなんて、やっぱ勿体ないよなぁ。

 可愛い服着て街を歩いていればモテモテだろうに、実際は剣持って鎧着てモンスター相手に暴れてるんだもんなぁ。悪いけどありゃモテないわ。だって男より格好いいんだもん。

 

 カナタがほぼ瀕死状態で落下したドラゴンにトドメを刺し、私達は無事無傷でピンチを乗り越えた。





        ×  ×  ×





「怪我とかなかった?」


 私達を覆っていた水の膜を解除しながらロイドとカナタが戻ってくる。


「うん、大丈夫だよ。本当に助かったよ、ありがと」


「いやー、僕達が巻き込んじゃったようなもんだし、お礼はいらないよ」


「ん? どういうこと?」


「森の中でアイツと戦ってたんだけど、視界が悪くて戦いづらかったから見晴らしのいいところまでテレポートしたら、たまたまこの馬車の屋根に移動しちゃったんだよね。それで案の定あのドラゴンが追ってきて君達は巻き込まれちゃった、みたいな?」


 ……これはキレていいのかな?

 

 つまりあの最初のブレスも私達やスピードリザード達を狙ったわけではなく、この2人に向けてのブレスだったということだ。その直線上にたまたま私達がいたというだけで。


 とはいえ、彼らも私達がいるなんて当然知らなかった訳だし、それで怒るっていうのも違うか。

 それに今重要なのは彼らに助けられ、皆無事だったということだ。


「それにしても、この森にはあんなのがゴロゴロいるの?」


 森の木々を越える大きさのドラゴン。あんなのがそこら中にいたらちょっと外に出るだけでも命懸けである。


「あんな大きいのは滅多にいないよ。ただ、もう1回りくらい小さいのだったらいるかもね」


「「」」


 私とカイは絶句する。

 カイもドラゴンを見たのは初めてだったのだろう。


 キサラギまではあと2日くらいかかる。

 

「……カイ、私達だけでキサラギまで辿り着けると思う?」


 小声でカイに訊ねる。

 それにカイも小声で返してきた。


「いや無理だろ。スピードリザードでてこずってたのに、次あんなドラゴンに遭ったら今度こそ死ぬぞオレ達」


「だよねぇ……」


 まさか街の外がここまで危険だとは思いもしなかった。

 行商人は毎回必ず冒険者を雇うとロンドンさんは言っていたが、その理由がよくわかった。

 

「じゃあ、僕達はもう行くよ」


 ……! まずいっ。


「待った待ったちょっと待った」


「……? 何?」


「あ、えっと……」


 つい引き止めてしまった。

 しかし、私達だけで残りの道のりを行くのは不安過ぎる。


「君達の冒険者としての腕を見込んで頼みがあるんだけど。私達の護衛を頼まれてみないかなぁ、なんて」


「……護衛?」


 あのドラゴンを平気な顔して屠れるこの2人なら物凄く心強い。


「そう。『キサラギ』に行くまでの道中、私達の護衛をしてくれたら嬉しいなと。またさっきみたいなモンスターに襲われるとも限らないし」


「…………悪いけど、僕達も暇じゃないから」


「ちょっとロイド。さっきのは完全に私達が巻き込んだ訳だし、護衛くらいいいじゃん」


「さっきのは確かに僕達がこの人達を巻き込んだと言っていい。だから助けた。それでもう終わったはずだけど?」


 ロイドはどうやら乗り気じゃなさそうだ……それなら。

 

「もちろんタダでとは言わないよ。無事キサラギまで送ってくれたらそれなりの報酬は払うよ」


「報酬?」


 ロイドが肩がピクリと動く。

 よし、反応あり。


 私は懐から、1000G札をチラリと覗かせる。


「引き受けましょう」

「ロイドっ!」


 あー、冒険者が基本貧乏っていうのは本当なんだ。

 あんなモンスターと命懸けで戦っているのに貧乏なんて、そりゃあ冒険者の数も減るよ。





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