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「帰りましたか」
「うん、ちょうど出て行ったところ。三上悪いけど、塩撒いといて。それからコップも」
「洗っときます」
「捨てといて」
彼女が口をつけたモノを洗って使うなんてなんとおぞましいことを言うのだろう。彼女が寄りかかったと思っただけで、受付のカウンターを全て取り替えたいと願ってしまうぐらいなのに。なんとなく、空気が汚染された気がして、消臭剤を撒き散らした。
「呼びつけたの、あなたですよね?」
「そうだよ、三上。わたしがアレを呼びつけたのさ。アレは、将来入局するヤツだからね」
「厭、なんですか」
「アレを好きになれる訳ないでしょ。だって……まあいいけど」
これは例の件を知らない。知らないというよりは教えていない。だからこれを責めることはわたしのポリシーに反する。
「あと市長からメールが来てました」
「なんて?」
「ラボに来い、だそうです」
「りょーかい」




