事象の地平面の向こう側
『事象の地平面』みなさんはこの言葉を知っていますか?
あらゆる物理現象の常識が通用しなくなる境目、とでも言いましょうか。それが何を意味するのかこれから説明していきましょう。
まず、この宇宙がビックバンにより誕生し、その膨大なエネルギーにより陽子や中性子が結合し原子核が作られ、それが電子とくっつく事で様々な物質が構成されるに至りました。 寄り集まった物質はその質量で重力を持ち、さらにほかの物質を引き寄せる事で、始めはガスの様な物が次第に寄り集まり、巨大な恒星やその周囲を回る惑星までも作り出していったのです。
大きな重力でより多くの物質を引き寄せた恒星は、中心に引き寄せられる物質同士が互いに衝突しあい核融合を起こし再び外へと物質をはじき出す力とその重さで引き合う力によってバランスがとられているのですが、やがて、核融合で中心部に集まった物質が消費されて行くと、押し出す力が弱まり、自らの重力で押しつぶされてしまうのです。
それは、まさに一瞬の出来事です。
一瞬にして巨大な高背は小さく萎んで終い、そこのは巨大な質量だけが残り、光りさえも逃げ出す事の出来ないブラックホールの誕生です。それは、特異点の重さによって、無限に引き延ばされ続ける空間のためどれほどの速さであってもそこから出ることは出来なくなるためで、私たちの住む通常の空間とは異なる物理法則が支配する空間となるのです。ええ、計算式の一つが無限となる訳ですから。その境目を『事象の地平面』と呼んでいるのです。
では、その中では一体何が起こっているのでしょうか?
事象の地平面の外側の物質は、強大な引き寄せる力によってブラックホールへと吸い込まれていきますが、その中では特異点に膨大な物質が寄せ集められ、中性子や陽子さえも押し固められ膨大なエネルギーが外へと出ようとします。だが、無限大にも等しい力で引き寄せられそれお押さえ続けられてしまうのですが、それも限界があり、その形さえなくなるほどに押さえられた力は、一気に弾け飛びそれは、クエーサーとなって事象の地平面さえ越えて観測できるほどの爆発力を持ちます。
そう、それがビックバンなのです。事象の地平面の内側の空間に集められた物質は解放され外へ飛び出そうとしますが、クエーサーのエネルギーとは違い無限に引き延ばされた空間を渡ることは出来ず、永遠に広がり続ける事となり、そこで寄り集まった物質が恒星やその周りをまわる惑星を作り出し、やがて、自壊した恒星が再びブラックホールを作り出しては、『事象の地平面』によって隔絶された宇宙を作り出すのです。
私達の宇宙でさえその恒星の数、そこから生まれるブラックホールの数はそれこそ星の数ほどあり、その一つ一つが、また星の数ほどの宇宙を作り出していくのです。その無限に繰り返される営みの中、その空間同士が事象の地平面を越えて重なり合う事が、いや、既に重なり合っているとしても、それを否定することは出来ないのです。そこでどのようなことが起こるとしても、それをあなたが認識できるかは別の問題ではありますが。
例え、あなたの前に異世界が広がったとしても、そこに神は必要ないのですよ。