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Infinity Online  作者:
6/20

ログアウト不能

そしてついに、カウンターの数字が0に変わる。


ヴゥン・・・


大きな機械が起動するときに聞く音に似た音が響く。

その音と共にカウンターのあったところに巨大なモニターが出現した。そのモニターに映るのは、明るい茶髪で、不健康そうな男。

目の下には隈が浮かび、体も骨と皮だけのようにガリガリで、羽織る白衣がさらに怪しさを増加させる要素となる。

しかしその開いた目だけはキラキラと好奇心旺盛の子供のように輝き、その点だけは不快感を与えない。


男が、薄い唇を開く、



『・・・ようこそ、むげんの世界へ』



「(この声、どこかで聞いたような?)」



自分の記憶を掘り起こすクオン。しかし、クオンが思い出すより早くに男は名を名乗る。



『僕は蒼羽竜登・・・この世界の開発者だ。君たちには是非僕の実験に協力してもらいたい・・・人間の感情や秘めている力について・・・。君たちの協力はこれからのVRMMOの発展・・・そして、僕の妹の為にもなる。そのためには君たちがこの世界から消えることを許可したくない・・・。だから、僕の実験データが完成するまでこの世界にずっと居て貰う事になる』



このあたりで非難の声が上がり始めた。

彼・・・蒼羽竜登が言う言葉が示す意味はつまり、ログアウト不能。

しかし、その非難の声を無視して彼は話を続ける。



『僕の満足いくデータを取れるまで君たちの冒険は終わらない。でもちゃんと明確な目標は用意してあるんだ・・・。君たちにわかりやすいように・・・この世界の魔王の討伐という形でね・・・。その魔王・・・それが君たちに課せられた課題だ・・・。魔王は、僕の研究が満足のいく形で終わるようにプログラムを組み込んである。だから君たちはその魔王を倒すことだけ考えていればいいよ。魔王を倒すまでは決してログアウトはできないようになっている。でも君たちはこんなゲームがしたくてテスターに応募したんだろう?それを考えればこれは寧ろ君たちの理にかなっているはず・・・。それに、デスゲームとは違って死に戻りもある。掲示板もゲーム内に用意した。・・・まぁ、それでも意見や批判はあると思うよ。でも・・・。僕は一切それを受け付けない。・・・有用なデータが集められることを期待しているよ』



その言葉を最後にモニターが瞬時に消えた。

唖然としていたプレイヤー達がざわざわと騒ぎ始める。

そして、街に行けることが発覚。戸惑いながらも街へと向かうプレイヤーたちであった。



「・・・クオン、うちらも行くで」



「うん・・・でも、学校とか、親とかどうしよ・・・」



「ほら! そういうのは気にしない! 私たちを実験に使うんだからそれくらい何とかしてくれてるでしょ!」



ぐいぐい、リノンに背を押されながらむむむ、と考えつつ尻尾を揺らして考える。いつの間にやら人にはない部分の操作を心得ているクオン。


そんなクオンも覚悟を決めたのか、頷いて足を進めた。




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