Infinity Online
このゲームの名前は『Infinity Online』ネット上で話される際の名称は“フィニオン”だ。
謳い文句は『ムゲンの世界でムゲンの可能性を』
タイトルにあるように自由度の高いゲームとなっているらしい。
そして最も注目すべき所は、このゲームがただのMMOでなく、VRMMOであるということ。VRMMOのVRとは、バーチャルリアリティ、を表している。
つまり、バーチャルの世界を現実のように感じることができるのである。
それを可能にしたのがこのフィニオンの開発において最も重要な人物となった“奇跡の天才”と呼ばれる蒼羽竜登。
彼は天才と呼ばれるにふさわしい人物だった。まず挙げられるのは小学二年生にして既に大人の知能指数を超える数値を示していたという点。
その数値実に243!
そして彼の知能指数はとどまることなく伸び続け、今に至っては300に近い数字になっているのだとか。
そしてその頭脳をかわれてスカウトされて入った研究所で新たな元素、新たな素材・・・様々なものを生み出した。そんな彼に訪れた不幸は、彼の愛する妹の事故であった。
その事故のせいで彼女は重い後遺症を患ったという。それは全身麻痺、常に誰かがそばにいなければその命をつなぐことはできなくなったのである。
彼は悲しんだ。そして考えた。体を動かすことが大好きな彼女のために何かできないだろうかと。
凡人とは違う彼の頭に浮かんだのは仮想空間の存在だった。
そして驚異的な彼の頭脳はその技術を造ることが可能だと示した。幾度もの失敗を重ね、ようやく完成したのである。
それは、
『夢の空間』
もう体を動かせないと考えていた患者たちは泣いて喜んだ。
そしてその技術を利用して作られたのが、フィニオンだ。多くのゲーマーが夢にまで見たVRMMO、それは、たったひとりの天才によって成し遂げられてしまった。
そして2週間前、β版の配信が決定した。そのテストプレイのテスターも同時に募集する。
今までにないほどの数の応募者がはがきを送った。ゲーマーならば誰でも持つであろう、誰よりも先に、誰よりも強くなりたいという願望の表れであった。
もちろん誰よりも先にVRMMOをプレイしたいという理由もあるだろう。
そんな様々な願望を携えて、はがきは次々に送られた。