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そして捧げる月の夜に――  作者: あわき尊継
第五章(下)

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 頭の中が弾けそうなほどに加熱していた。

 遠巻きに見えた歪な魔術光、それを頼りに猛加速で駆け付けた俺が見たのは。


 あれほど求めたクレア=ウィンホールドが、死出の果てまで憎んですら足りないヴィレイ=クレアラインに犯されている姿だった。


 そうとしか思えなかった。

 早とちりも、あったのかもしれないが。

 およそこの世で最も彼女に触れさせたくない男が一対一で森の中……冷静で居ろという方が無理な話だ。


 一方で、頭の一部が猛烈に思考を回し、振り下ろすハルバードの角度を調整した。

 単にクレアへ、ソレの血が掛かることさえ厭うただけだ。

 気遣いもあったが、ほとんど自分が不愉快だったから。

 肩口から腰元までを切り離されたヴィレイが呻くより早く、無事な左側を蹴って少しでも彼女から引き剥がす。


 転がって、土に塗れて、それからようやく痛みを思い出したみたいに不快な悲鳴をあげる男を、俺はどこまでも褪めた目で見続ける。


「無事か」


 子どものように繰り返した。


「無事か……っ」


 膝を付き、背に庇い立つ。

 脅威が直近に居る最中で彼女の身を改めている訳にもいかなかった。

 義足が砕け、手指に土がこびり付き、爪からは一部軽い出血、それ以外には幾度か転んだような汚れを除けば栄養失調で唇が乾燥し、肌が荒れていることと、乱れた髪に長らく戦場へ留まったのなら当然の、けれど不思議と強く惹かれるクレアの香りがあることと、それからそれから――――まあつまり、パッと見て、即座に判断出来ることしか分からなくて焦っている。

 そんな俺の背中に触れてきたクレアが、まるで場違いな笑みを溢した。


「は……ははははは、無事だ。安心しろ。慌てるなんてらしくないな」


 彼女の頭が背中へ寄り掛かってくる。

 服を掴まれた。

 それだけで胸の内へ触れられたような気恥ずかしさがある。


「…………無事だよ。逢いたかった、ハイリア」

「俺も……いや、すまない。慌て過ぎていたか」

「そのようだな」


 とはいえ無理もないだろう。

 他の誰であろうとも大なり小なり慌てただろうが、ヴィレイ=クレアラインは度が過ぎている。


 奴がフロエ=ノル=アイラへしてきたことを思えば、俺にとってはある種のトラウマだ。


 それがあろうことか行方不明で必死に探してきたクレアを、今まさに襲っているかのような状態に見えたのだから。


 そして俺へ寄り掛かっていたクレアが一度頬擦りして離れていったのを感じたところで、

「落ち着いたか?」

 今ので少し落ち着かなくなった、などと言い出すのは危機感が無さ過ぎるな。

「問題無い」

「そうか」

「あぁ」


 ちょっとだけ笑われたが、意識的に気持ちを切り替えた。


 会話の間も蛆のように身をくねらせて呻いていたヴィレイは、ゆっくりとだが俺に斬り飛ばされた右腕を再生させつつあった。

 元々蛇じみていた奴だが、その様は本当に爬虫類じみている。


 ただ殊更に嘲ろうとしている自分が確かに居て、そっと身体の熱を抜きつつ冷静に見詰めるよう努めた。


 再生能力、と呼んで良いものかは分からないが、アレは聖女セイラムの力を一部流用している結果だろう。

 元々イレギュラーでもない『盾』の属性でしかなかったヴィレイは、以前にも…………クレアを襲った際に魔術を拡張していたと聞いている。

 加えて本来枠に入る筈もない低俗の術者でありながら、四柱の一つとして復活を遂げている。

 ある程度、根源的な力を理解しているからこそ、奴なりに掴み取った力だということだろう。

 観察していたら、うねっていたヴィレイが急に跳ね起き、俺の姿を捉えた。


「はへッ?」


 蛇のようでもあった瞳には狂気がある。

 激しい感情が底光りしているのでも、焦点を結ばず狂乱しているのでもない。

 ただ、極大の闇に呑まれたような、自分だけが世の中で唯一可哀そうで憐れな被害者であるかのような、媚び諂い、慈悲と慈愛を無制限に享受しようとする幼げな瞳。赤ん坊のようではあっても、無邪気なソレとはまるで違う。身勝手で視野狭窄、無垢でも純粋でもない、他者を何ら省みることのないが故の、ただの丸投げ。

 俺に――――あらんかぎりの理性を篭めて思考を切り分けるのだとしても、俺だけに絞ってすら、今まで何をしてきたのかすら一切考慮しない……救いを見付けたかのような瞳でこちらを見てくる。

 不快感と言うのならこれほどのものは中々無い。


 ハルバードの矛先を浮かせた。


 切り落としたのは俺だぞと、示されて尚も理解を拒絶し、見てくるが。

 先端槍を向けた途端に奴は明確な怯えを見せた。


 今まさに捻り潰されているかのようにうねった、瞬間瞬間に別の感情が湧き上がっているかのような悲鳴をあげる。


 だが構わない。

 不快。

 ただそれだけがある。


 今の行動を慈悲とは言うまい。


 何も知らぬまま戦斧を叩き付けて息の根を止め、そのまま封じてしまうことも確かにできた。

 それを放り捨ててまで示したのは、

 単に、


 俺がこの手でコイツを殺してやりたいと思っていることに他ならない。


「一度目は法に照らしてお前を裁いた」


 ホルノスの内乱で、暗躍したイルベール教団側の首謀者として。

 後ろ盾となるクレアライン家の当主も、その親族も、俺にハイリアという名を委ねてくれた義父オラント=フィン=ウィンダーベルの放った刺客が始末した。

 ピエール神父を討ち取られ、武力も政治力も失ったヴィレイは投獄され、その果てに狂い死にしたと聞いていたが。


「二度は無い」


 例えその死で罪が雪がれていたのだとしても。

 罪人も死なば仏と、そう考える民族の記憶を俺が持っているのだとしても。


 二度目の生で、既にこの男は私刑に足るだけの行為を重ねている。

 コレが言い訳にすぎないのだとしても、法に属する者として敢えて言おう。


「ホルノス王国が騎士、ハイリアの名に於いて」


 立ち上がり、理解を拒む瞳へ矛先を突き付けた。


「今この場でヴィレイ=クレアラインを処刑する」


「ああ――――あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」


 世界の全てに裏切られたような顔をして、(けだもの)はわめき散らす。

 そんな男にすら魔術の光は分け与えられ、セイラムの慈悲は盾を成す。


 けれどホルノスに吹く青い風は。

 騎馬の嘶きを伴い、駆けた『騎士』の力は。


 漂う霧を吹き飛ばし、展開された盾の悉くを打ち砕いた。


    ※   ※   ※


 歩いていく。

 醒めていた。

 冷え切っていた。

 クレアを庇い立った時の熱はどこへやら、ただただ立ちはだかる盾を砕いてヴィレイを追い続ける。


 鎖鎌が側面から襲い来る。


 防いだ武器との接触点を支えとし、更なるひねりを加えて相手へ鎖を巻き付け、盾の発する衝撃を直に当て続けるという奴のイレギュラー。

 いや、こんなのはイレギュラーとすら呼べない。

 ただの拡張、長所を得た代わりに短所も得た、劣化上位能力とも言うべき力だ。

 それは初見殺しとしての意味もあり、例えば『剣』や『弓』の術者相手ならば一定の効果を上げただろうが。


 防いだハルバードの発した打撃の加護が、鎖も鎌も諸共に弾き飛ばす。


 支点になどしようがないほどの衝撃。

 せめてそれが一定方向にしか打ち出せないのであれば利用する手もあっただろうが、俺は『槍』の持つ加護の力を自在に変化させるし、持ち手の捻りで打ち合わせる角度などどうとでもなる。

 そもそも。


「あああああああッ、ふざけるなああああ!!」


 鎖程度が砕けないとでも思うのか。

 軽く触れた程度であろうと、小石を弾く程度の衝撃であろうと、『槍』の魔術は特大の打撃を発することが出来る。

 それこそ、極めれば都市一つをひっくり返すほどの威力にだって出来るのだろう。


 相性が悪い。


 『剣』は『弓』に強く、

 『弓』は『槍』に強く、

 『槍』は『盾』に強い。

 相手が『剣』であったのであれば、奴もまた『盾』として上手を取れたのかもしれないが、セイラムの規定する誰しもが何者かに成れる魔術を扱う以上、この法則性から完全に逃れることは出来ない。

 揺りかごの中でどれだけ親を欺き悪戯を成功させたとて、赤ん坊は自らそこを出ることが出来ないし、まして親を養う方法などありはしない。


 立ち塞がった大盾を打ち砕く。

 その裏から鎖鎌が真っ直ぐ飛んできた。

 青い風を噴出させる。

 甲冑としての力もある『槍』の魔術光は、それだけで奴の攻撃を浮かし、無力化した。


「ズルだろ!! チーターが!! 正々堂々勝負しろよお!!」


 浮いた鎖鎌をハルバードの矛先で捉え、奴を引き摺り込む。

 加護は発動しない。

 自らの意思で魔術を使うのならば、その発動そのものを制御するのは難しくない。


 単なる鍛え抜いた膂力で以って、他者を陥れることでしか勝利してこなかった痩せた蛇を平伏させる。


 それでも身をくねらせ逃げるのだから、生き汚さだけは一級品だ。

 だとしても追う。

 この劣化上位能力の欠点も、とうに仲間が分析済みだ。


 本来歩く程度の速度でしか移動の出来ない『盾』が、何の制限もなく走り回ることが出来るという利点。

 近接戦闘に於いて、自在に、瞬間的に反射効果のある盾を設置出来るのは強みだろう。

 その代償に、奴は魔術の発動中は効果範囲内から出ることが出来ない。

 展開そのものは早くとも、魔術を消すのに時間が掛かる。

 つまり、一度不利に陥ってしまえば、戦う為の力そのものが奴を捉える檻となる。


 どれだけ逃げても逃げ切れない。


 自ら首輪を付け、繋がれることで箱庭での自由を謳歌すると決めたのだから。


「クソがああ!!」


 破れかぶれの攻撃を間合いの外から打ち払う。

 右腕が飛んだ。

 汚い悲鳴と臭い血が飛ぶ。


「あああああああ……っ。なんで、っ、なんでだよおおおっ。なんで俺ばっかり! ばっかり!! 不公平だ!!」


 傷と共に壊れた心まで再生されるらしい。

 無差別に過ぎる慈悲は、いっそ残酷ですらあった。


「お前は皆から愛されるハイリアで!! 俺は誰からも嫌われるヴィレイだぞ!! ふざけるなあ!! 何の努力もせずに才能も地位も名誉も人気も手に入れやがってェ……!! 何もかもハイリアのものだ!! お前のじゃない!! 俺にも寄越せよ卑怯者ぉぉ……!!」


「そうか」


 別に、これまで考えないでもなかったことだ。

 確かにヴィレイ=クレアラインとしての生は過酷だろう。

 狂信者たるピエール神父が傍らに居て、いずれ死を賭して聖女復活を成し遂げる、贄として扱われる日々だ。


 俺はゲーム内ですら登場しなかったヴィレイの父などさして知りもしないが、義父曰く、肉親の情など持たない信仰する獣だそうだ。


 不憫だな。

 憐れだな。

 始まりからして詰んでいる。


 けれど。


「それでも。フロエを傷付けたのはお前自身だ」


 どんな絶望が奴を襲っていたとして、自ら決めて行動したのであれば、その罪から逃れることは出来ない。

 本当の本当に、ヴィレイとして生まれ、何の知識も経験も無いまま幼子として家庭環境に苛まれ、はけ口を求めたのであれば、被害者さえ考慮しなければ責任の大きな部分を父母へ向けても良かっただろう。

 けれど奴は、俺と同じく別の生を送った記憶がある。

 ゲームとしての『幻影緋弾のカウボーイ』を知っている。

 見た目そのままの幼子ではなかった。

 まして、被害者の受けた苦しみを思えば、ヴィレイが為したのは極めつけに計画的で、一方的で、人権を無視した人に(あら)ざる獣の行いだ。


「救われたかもしれない未来を自ら閉ざしたのはお前自身だ。フロエも、ジークも、父すらも。お前が心の底から助けを求めたのであれば手を差し伸べた筈だ。そこに困難があったとして、知識と経験を以って、お前自身が自制と努力を重ねれば拓ける道は確実にあった。なのに」


 自分だけが苦しいのだと。

 そんなクソ下らない自己愛にしがみ付いて肉欲にしがみ付いた。

 刹那的な優越感と快楽の為に一人の少女の生涯を苦しみに満ちたものへと変えていった。


「フロエを傷付けた時点で、お前は罪人の側なんだよ」

「そんなことあるか!! エヌピーシーをどれだけ壊そうが知ったことか!! お前だ! お前がッ!! 恵まれた立場から偉そうに言いやがって!!」

「そうか」


 正直、どうでもよかった。

 心の底から腹が立っていた筈なのに、覆い隠されていた霧が晴れた途端、余りの底の浅さに呆れる。


 こんな奴に彼女が、多くのフーリア人が傷付けられていたという事実、それを止められなかった自分へ怒りを覚えるだけで。


 なので投げ捨てた一言は皮肉ですら無く、目の前に転がっていた当たり前のものでしかない。


「運が悪かったな」


「………………………………………………………………は?」


「ヴィレイにとして生まれるなんて、運が悪かったな」


 それは確かに事実であり、事実でしかない。

 けれど獣へ与えるには言葉は上等過ぎて意味がない。


 だからもう、ソレだけで十分だ。


 ヴィレイは俺へ何かを言おうとした。

 その前に、俺の振るった矛先が喉元を切り裂いて、奴は血に溺れて呻きながら死んだ。


    ※   ※   ※


 再生する。

 喉を斬られ、死に伏して尚も生き返り続ける。

 もしかすると何度も死を経験したことで掴んだ力なのかも知れなかった。

 ただ死んで、再召喚されるのであれば良かっただろうに、死にたくないと願うヴィレイに応じて、セイラムの慈悲は蘇生を成す。


 やがて再び生を取り戻して、言葉発するのだろうことを思い……本来であればすぐに封印すべきなのだが。


「…………止めなかったか、神父」


「いえいえ。貴方とソレの会話に興味があったのですよ、ハイリア様」


 長身の老爺、両腕を失って尚も戦場へ立ち続ける狂信者、ジャック=ピエール神父が森の奥から現れた。

 それと同じくして味方である、後続の部隊が森の外から到着し、最大限の警戒を以って武器を握るが。


 神父は諸手をあげて降参を示した。

 すでに無い筈が、所作一つでそれを感じさせる『剣』の術者。

 それでも警戒を解かないと見て、会話の猶予を作るべく男は言葉を作った。


「とうに決着は付いています。私はもう、ハイリア様に勝つことは出来ないでしょう」


「では聞く。何をしに来た」


「異端審問を」


 じっと、その瞳を見据えた。


 そうして俺の内から出てきたのは、やや話のズレた、当てつけのような言葉だ。


「血の臭いが戻っているな……フィオーラを刺したと聞いたが」

「言い訳はしません。彼が気に食わなかったので」


 告げられたのは動機だけ。

 起きた変化も結果も、この男が誇るべきものじゃない。


 メルトの姉を害されたんだ。俺にとっても親族と呼べる人を。

 だから私怨というのであれば十分過ぎるほどにある。


 ただ。


 向き合ったその場から、ありもしなかった緊張感が像を結んだのは、共にヴィレイ=クレアラインを見た時だった。


「奴は封印しなければならない。この戦場を終わらせる為にも、柱となった術者は例外無く」

「問うてみてはいかがでしょうか」


 息を落とす。

 そういえばお前は……。


 僅かな間の後で、俺は神父へ言葉を向けた。


「…………可能だそうだ」

「ははは。ならば後はこちらで引き受けましょう。懺悔を聞くのも、罪と向き合わせるのも、共に神父たる者の務めです」


 敢えてヴィレイへ矛先を向けた。

 ピエール神父もまた無言で俺を見る。


 いっそ、どうぞと言われているような気さえした。


 そうして俺はハルバードの先端槍をヴィレイの胸元へ沈み込ませ、引き抜いた。


 変化はない。

 今までの様な痛みも、血が流れることもない。

 けれど決定的に変わった。


「は、へ……?」


「これで」

「あぁ」

「そうですか」


 これでもう二度と、ヴィレイ=クレアラインが魔術を扱うことも、聖女の加護を受けることも無くなった。

 この大陸西方に座した一つの法則から、完全に切り離されたのだ。


 それはある意味で俺や、俺達が目指す場所でもあったが、ヴィレイにとっては致命的だったらしい。


「やぁ、ぁ、やめろっ、なんだ!? ちがう! ちがう違うチガう!! どおして!! なんで応えない!? 俺はっ、俺はここに居るぞ!! 助けてくれっ、助けて!! お前の子が、愛すべき子が、ここに居るんだぞ!! 俺はああ!! セイラム!! ふざけるなああああ!!」


 西方地域、セイラムの魔術の支配域で生まれ育った者であるのなら誰もが享受可能な聖女の慈悲は、もうヴィレイには与えられない。

 どこまでいっても被害者であり続けようとした男は、唯一にして絶対的な庇護者に思えた者からさえも、見捨てられたのだ。


 汚い悲鳴が木霊する。


 それを背を向け、俺はクレアの手を取って奴から興味を失った。


 残るのは異端審問官たる神父のみ。

 ただ奴の罪を見詰めて、見詰めさせて、向き合うその日まで決して赦されることのない時間が始まる。


 一つの事実を置いていこう。


 奴ら狂信者は異教徒を無論のこと、外敵として認識するが、時として悪しき神の教えに染まった憐れな者として見ることもある。

 洗礼を受けていないのであれば、それによって雪がれ改宗する目もあるだろうと。


 だから。


 ピエール神父のような男にとって最も許せないのは、洗礼を受けておきながら愛に背いた異端者なのだと。


 両腕を失い、戦う力を減じて尚も戦場に佇む、血塗れ神父は。

 これからもずっと、その異端者と共に在り、見続ける。

 終わらない限り、永遠に。


 最早誰一人として、聖女からも見捨てられたヴィレイは、永遠にも思える時間を生き続けるのだろう。


 ――――なに、俺も一度は歩いてみた道だ。途方もなく長いが、己を見詰め、懸命に歩き続ければいずれ辿り着けるだろう。


 虐殺神父として名を馳せて、前近衛兵団団長の若かりし頃から老爺として生きていた男が傍らからソレを見定め続ける。

 それだけだ。











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