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そして捧げる月の夜に――  作者: あわき尊継
第三章(下)

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96


   ハイリア


 突如として発現した魔術に俺自身が最も混乱していた。

 浮かび上がる『騎士』の紋章。けれどかつて繋がっていたものとは何かが違う。


「っ――!?」


 背後から心臓を掴まれたような怖気と、耳元を掠める何かの声。


 あぁ、これは。


「…………セイラム」


 世界の人々を愛する聖女の、妄執じみた手が伸びてきた。

 巫女の力によって拒絶されたのだと思っていた。

 だが魔術の全てがセイラムによる加護だとするのなら、これでは迷い子を見つけ出した母そのものだ。


 こちらへ集結しつつある仲間たちを見る。


「……邪魔をするな」


 導きに従うつもりなんてない。


「俺はここに居る……っ! ここにさえ居ない者が、いつまで自分の想いを押し付けるつもりだ!」


 振り払う。

 ただそれだけで紋章は砕け散り、青の魔術光は消え失せた。

 魔術を再び失ったことを悔いはしない。

 俺の力はそんなものじゃない。

 そんな程度に収められてたまるものか。

 ここへ集う彼らの姿を見れば、魔術程度を惜しむ理由などないのだから。


「ハ、ハイ、リア?」


 おっといけない。

 隣に居る陛下が俺の唐突な叫びに困惑している。


「たまに妙な声が聞こえるんです。いやはや、困ったものですよ、ははは」

「へ、へぇ…………」

「……詳しい理由については後ほどご説明しましょう」


 ともあれ陛下にもまだやってもらいたい事があるので、ここで長々と説明をする訳にはいかない。


 眼下は未だ戦場。

 フロエと交戦しているのはおそらくジークだろう。

 細かい所までは把握しきれないが、どうにもマグナスの軍勢は敗走状態にあるらしい。分断された部隊が各個撃破されていくのが見える。


 加えて、動き出す一団があった。


 王城の後背、凄まじい数の軍勢はおそらく、義父オラントの率いるウィンダーベル家の兵だ。

 どうして今まで動かずに居たのかは分からない。何か狙いか、約定でもあったのかとも思う。

 今の状態でぶつかれば、さしもの近衛兵団とて殲滅されかねない。


 だから言おう。


「我が名はハイリア!!」


 この戦況を縫い止める一矢を放つ。


「イルベール教団神父ジャック=ピエールに対し、決闘を申し込む!! この決闘は、ホルノス近衛兵団団長マグナス=ハーツバースと、ホルノス国王ルリカ=フェルノーブル=クレインハルト女王陛下の承認のもと行われるものであり、慣例により行われる五日間の大休止中、あらゆる戦闘行為を禁ずるものである!!」


 狼煙があがる。

 聞きつけた王都守備隊も、後方のウィンダーベル家の軍勢も、おそらくは必死に味方を守っているだろう兵団からも、次々と狼煙があがり、この宣言を受け入れたことを示してくる。


 蜂起したマグナスと、それを名目上は迎え撃っている陛下両名の承認となれば、両軍は名誉に懸けて戦闘継続など出来ない筈だ。

 俺の隣に陛下本人が居ることもそれを証明している。マグナスとは、少し前に別れたが、兵団には連絡が行くことだろう。


 古来より代表者同士の決闘は頻繁に行われてきた。

 最近はあまり見ないとも言われたが、義父の集めた目が彼らにそれを許さない。

 内輪揉めはともかく、ここで決闘を拒絶するということは、以降永遠にホルノスは戦場でのカードを失うことに繋がる。


 だが、


「止まらない……」

「あれは」


 静止しつつある戦場の中で、奴らの姿は酷く目に付いた。


「イルベール教団、決闘を受けるつもりはないということか……っ」


 俺の元へ集結しようと駆け上がってくる仲間たち、その一部へ横合いから強襲する一団がある。

 狼煙は見えている筈だが……ヴィレイはどうあっても俺の邪魔をしたいらしい。


 助けに入るか?

 いや駄目だ。ここで俺が自ら戦闘に加担すれば、止まった戦場が再び動き出しかねない。教団が陛下を狙うのを諦めたのかどうかも不確かだ。メルトに南方の抑えを頼んでいる以上、俺はここから動けない。


「…………すごい、ね」


 凄くなんて無い。


「きっと、ここで待つ事が、俺に出来る最大の役割なのだと、思っているだけです」


 待とう。

 犠牲を超えて、苦渋を超えて、空を仰いだ皆がここへ辿り着くのを。


 ここ('')に居るぞと、宣言したのだから。


 俺はじっと、待ち続けていた。


    ※   ※   ※


   クレア=ウィンホールド


 食い付かれた。

 戦闘が止まると油断していたつもりはなかった。

 だが駆け上がる横合いからの手は凄まじく早く、隊の一部が灰色の霧に飲まれたことで私は足を止めた。


「行け! 一人でも多く辿り着け!」


 相手は『盾』。

 相性の悪い『剣』は先に行かせて他の無防備で走らざるを得ない者たちの護衛を任せる。


「ジン!」

「あぁ! 『槍』を二人連れてきた!」


 ならば彼を含めて三名。

 この距離で『槍』三に『剣』が居るのなら十分戦える。

 『盾』は……流石にあの混乱からごく少数の術者を見つけ出すというのは難しいか。


 敵に『弓』は居ない。

 『剣』の術者としての目が、そして速攻へこちらへ食い付かざるを得なかった敵の事情を勘案するに罠の設置もない。守りが無いのは不安材料だが、手の遅れはより状況を不利にする。


「よしっ、魔術を使え! 私たちで守る!」


 素早く自分の役割だと集まってきた『弓』の術者が左右を固め、背後で青の魔術光が立ち昇ったのを感じる。『弓』の気配は、やはりない。発動まで時間の掛かる『槍』の魔術にヤキモキしながらも、敵の『盾』が不用意に接近しつつあることを感じてよしと思う。

 最悪一人でも残れば十分に詰められる。

 遠距離攻撃はない。

 切り込みがあるかと警戒するも灰色の霧は小揺るぎもしなかった。


 いけるか。



 ――――ダン、と。

 複数の爆音が重なり、私は手の痺れを感じると共に身を仰け反らせていた。



 なんだ!?


 後ろ足を踏んで、同時に、ジンを始め『槍』の術者が共に崩れ落ちていくのを見た。

 なんらかの攻撃? いや、確かに聞いたことはある。火薬を用いた鉄礫を飛ばす武器があると。だが聞き覚えただけの知識が目の前の現実に追いつかない。。


 足音がした。


「あぁ、これはこれはウィンホールド家ご令嬢、クレア様ではありませんか」


 霧の向こうから蛇が顔を出す。

 左右に侍らせている教団員数名が、何かの棒を持ち、膝をついてこちらを見ていた。


「……ヴィレイ=クレアライン」

「はい。いやはや、貴女にここでお会いできるとは、これほど喜ばしいことはありません」

「教団は戦場での作法すら知らんようだな。あの狼煙が見えないのか? 世の恥晒しもここまで来ると滑稽だ」

 言いつつ、後方の味方を確認する。

 元々分断されていた状況からの集結だ、全員がここを通過するまではまだまだ時間が掛かる。


 戦闘が事実上止まっているのだから、この場での集結を諦める、なんて考えは論外だ。

 それでは決闘を申し出たハイリア様の格を落とす。

 ここで教団が狼煙を無視して戦闘を継続しているのは、彼ではあの神父と立ち会うに足りないと宣言しているのと同義。

 奴を決闘の場へ引っ張り込むにはここで私たちが屈していてはいけない。

 集結を完了させ、阻みきれなかった彼らを眼下に、さあ受けろと見せ付けなければ。


 しかしこの状況は中々に困難だ。


 『盾』を相手に『槍』は戦闘不能。

 『弓』が二名と、『剣』が私一人。『盾』の守りはない。

 しかも相手にはあの棒だか筒だかがある。咄嗟に反応して弾くことは出来たが、予想以上の衝撃で姿勢を維持出来なかった。こちらでも火薬を用いた武器は開発がされていたと聞いているが、未だ威力不足としてほぼ実用化はされていない。

 それを教団が、聖女セイラムの導きだのと騙る彼らが用いてくるとは……。


 ヴィレイは私の皮肉も何処吹く風と、薄ら笑いを浮かべて歩を進めた。


「ご安心下さい。先の攻撃はちょっとした余興ですとも。ここからは私一人が、貴女方をお相手しましょう。クレア=ウィンホールド、貴女が私の射程外へ逃げない限り、他の者に手出しはさせませんよ?」


 蛇の毒か。


 約束を守りきるかどうかはさておき、あの手の男は優勢である限りは言った通りにするだろう。

 最後の最後で手のひらを返されるのは仕方ないとして、時間稼ぎを考えるなら十分ありだ。


「いいだろう。貴女方と言ったな。こちらはキサマの提案通り、この三名で相手をさせてもらう。キサマはさっさと他を下がらせろ」


 吊り上がる口の端の歪なこと。

 元々目の奥に何を隠しているのかわからない男だったが、今は更に酷い。

 本性などと呼ぶのも煩わしい。


 ヴィレイが私の言に素直に指を鳴らすと、周囲に満ちていた魔術光が消える。


()から私の加護は聞いていますね?」


「いかさまじみた力のことか」


 狂信者にとっては許しがたい侮辱だろうに、アレはただ愉しげに嗤うだけ。

 いいだろう。


「紛い物のイレギュラー。『盾』の射程範囲内でただ自由に動けるだけという、薄っぺらなキサマに相応しいおまけだな」


 『盾』の術者は魔術を発動させれば歩く以上の速度は出せなくなる。

 だが彼は一度発動させた場所から魔術の範囲が移動しない代わりに、その範囲内で自由に動き回ることが出来る。

 得物は刀剣、そうハイリア様から聞いている。フーリア人らから収奪した逸品だとか。


「よろしい」


 地面を踏み鳴らす。


 浮かび上がる『盾』の紋章。

 灰色の魔術光は霧を模して広がり、奴の背後に十字天秤が建ち上がる。

 教団のシンボルとも言えるソレは『盾』の加護を受け、触れれば同様に致命的な攻撃を受けてしまうのだろう。不用意に動き回るのは危険。『盾』の具現化速度は全魔術で最速だ、動く先へアレを生み出されればそれだけで死ぬ。

 冷たい風が吹き抜けて、熱くなった頭を少しだけ覚ましてくれた。

 風で、この霧も晴らしてくれたのならどれだけ戦いやすいことか。だがあくまでコレは魔術光、風に揺蕩っているように見えても同じ魔術光でなければ払う事も出来ない。膨大に撒き散らされる『槍』の魔術光なら……風、また風が吹く。向こうが風上になっているのか、甘ったるい香水がここまで漂ってきた。花のような香り。

 香水に罪はないが、あんなのが使っていると思えば不快感が沸いてくる。


 ヴィレイは手にしていた刀剣を抜き放ち、鞘を投げ捨てる。

 『盾』の術者に対し、『剣』と『弓』では決め手に欠けるが。

 


「下らない夢を語るからこうなる。空など眺めず地に伏していればよかったと、教育して差し上げましょう」


 だから(''')、駆ける。


「生憎キサマは礼儀知らずの無作法者だ。開始の宣言を待ってやるつもりはないぞ!」


 急制動を掛け、方向を転換し、具現化された十字天秤の下をすり抜ける。

 所詮は人の意識によって制御されているのだから、ここだと思う狙いを尽く外してやればそれでいい。


 肉薄する。


 そして、詰め寄る私の背後から打ち込まれた『弓』の攻撃が奴を強襲し、


「ふふふふっ」


 弾く。

 あんな細い刀剣でどうしてと、思うのは最早どうでもいい。


 余裕の表情を見せてはいるが、弾くのに両手を使い、動く気配も見せないのでは踏み込んだこのレイピアで貫くまでだ。


 ヴィレイが、振り上げた両手から、冗談のように刀剣を手放した。

 口元には未だ笑み。


 何かが擦れ合う音――


「避けろ!!」


 声に身体が反応した。

 訳も分からずただ横合いに転がる。

 立ち上がろうとするのをなんとか堪え、地に這い蹲るようにしてヴィレイを見た。


「一時距離を取れ! 下がれ!」


 横合いから重たい打撃音がした。

 私は確認するのも後回しに飛び退いて、息も荒く再び矢を番える『弓』の術者と並び、視線を送った。

 頑固者のクラウド=ディスタンスは、剛弓を引き絞りつつ言う。


「得物の刀剣は誘いだ。本命は別の武器。長い長い鎖、その先端に農具のような刃物がついていた」


「鎖鎌」


 自らの武器をそう呼んだヴィレイが、手元へ飛んでくるソレを軽々受け止め、落とし、足元で揺らす。


「確かにこちらでは馴染みのないモノでしょうが、農具などと言われては困る」


「で? それで何をするつもりだ。庭草を刈るなら自宅へ帰ってやるんだな」


「雑草の刈り取りという意味でなら、えぇ、間違いではありませんが」


 しかし飛び退く前に聞いたあの音は、ただあれに矢を当てたというだけでは足りないように思える。

「あれも魔術なのか」

「見れば分かる」

 言って、クラウドが再び矢を放つと、ヴィレイは手元を軽く振って鎖鎌とやらで弾いた。


 ズン――腹に響く衝撃は、やはり魔術。

「打撃の加護? いや違うな。『槍』の性質にあの武器の形状は合わないし、重さの質が違う」

「『盾』だ」

「『盾』……そうか、『盾』に触れた時の衝撃波か。一方向への打撃ではなく、撒き散らされる破壊の加護。それをあの鎖で振り回してくるということか」


「それだけでは認識が甘い」


 未だ中空に浮いた鎌に繋がる鎖が、ヴィレイの手元の動きに応じて大きく捻れる。

 振り回すには足りない、たわんだ鉄鎖に張りが出来る。

 ぐるり、と。

 そこにもう一つの手があるかのように、鎌が振り回された。


「っ――!!」

「下が、いや動くな!!」


 背後に十字天秤が建ち上がる。

 まさしく眼前を通り過ぎていく軌跡を目で追っている余裕はなかった。寸での所で耐えた私とクラウドだったが、頬から冷や汗が垂れるのを止められはしなかった。


「ふふふ、はははははっ――――まずは一人」 


 反応の遅れたもう一人の『弓』が、背後の十字天秤へ自らぶつかり、衝撃によって倒れ伏していた。


 再び手元に鎖鎌を戻したヴィレイは舌なめずりをしながらこちらを見る。

 足元からじっくり舐るように。

 不快感しか湧かない視線だ。


「この俺がっ! アレに力を知られていること知りつつそのままで居る訳がないだろおお!? さあああああどぉぉおおうするぅぅ!? 逃げて味方を危険に晒すかっ! ここで俺に思う存分嬲られ続けるか!」


 来る。


 クラウドが矢を放った。

 鎌そのものではなく、中ほどの鎖を狙った一矢だ。


 良い考えだ。アレなら軌道を大きくずらせる。

 鎖鎌は今までの攻撃を見る限り、ああして振り回すことで相手へ届かせる武器なのだろう。その性質上、どうしたって軌道は見切られやすい。だからこそ背後に十字天秤を置き、そこでの撃破を狙った。


 狙い通り、矢を受けて鎌の動きは大きく乱された。

 これなら、


「下がれ」


 身体をぐいと引かれる。

「っ!?」

 反応が遅れた。

 鎖鎌へ目が行き過ぎた。

 鎌が付いているのとは逆側、重りのようなモノがこちらへ向けて真っ直ぐ飛んできていた。幼児の手の大きさしかないが、何の守りも無く頭部や急所へ当たれば確かに十分致命傷となる。大きく円を描く鎌ばかり見ていると、コレを見失う訳か。加えて『盾』本来の力もある。厄介だな。


 クラウドは重りを、番えようとした矢を捨て、弓本体で弾こうとした。衝撃波はあるだろうが、今の鎖に対する攻撃でそうだったように、この鎖鎌の放つ加護の力は『盾』本来のものよりずっと弱い。離れていれば、直撃しなければ軽傷で済むだろう。


 実際、クラウドの守りは思った以上に機能して、重りは呆気なく止まった。


 だが、


 ふわりと、たわんだ鎖が、まるで草むらからいつの間にか這い寄ってきた蛇のように、クラウドの左腕へ巻き付き締め上げる。


「っっっ!!!」


 ズン、ズン、ズン、と一つ一つは弱い筈の衝撃が立て続けに巻きついた彼の腕を襲う。

 血が飛沫となって撒き散らされ、肉が削げ、骨を歪ませる。


「くそったれが!!」


 彼の判断は早かった。

 残る右手で締め上げてくる鎖を掴み、手のひらが同じく血塗れになるのも構わず巻きついた鎖を外す。


「っ――ぁぁあああああ!!!」


 重りごと鎖を放り投げ、同時にクラウドが膝をついた。

 滴り落ちる血は、彼の左腕と、右手から。あまりにも惨い傷の在り様に怒りが湧き上がってきた。これではもう矢を番えることは出来ない。


「負傷者を連れて下がっていろ」

「あぁ……そうさせて貰う。だが一つ、アレを受け止めることはするな。矢ならともかく、剣で触れればそこを基点に鎖を振って巻きつけや他の動きに発展させてくる」

「分かっている。無理はしない。逃げ切ればこちらの勝ちだ」

「それなら、精々兎を演じてやることだ」


 そうすれば奴の性格上、即座に殺しに掛かってはこないということか。

 同時にやはり、相性を考えれば私に勝ちの目は薄いと。

 ヴィレイへ目をやれば、まるで観劇でもするように薄笑いを浮かべてこちらを見ていた。

 相性が悪いというだけじゃない。最初にも感じたが、あまりに不躾で品の無い、下卑た視線。私を敵とすら見ていないのかもしれない。兎狩りとクラウドも称したし、この場の勝敗程度に拘泥するつもりは毛頭ない。が、


 不快だな。


 目に物見せてやると、そう思う自分が居る。


 私を取るに足らない、餌食になるだけの相手だという認識を覆してやりたい。


 だからこそ、


「聞いてみたいことがある」


 そんな自分を過去にしようと思える。

 第一私が意地を張るべき所はそこじゃない。

 私たちの長はハイリア様。すっごく好きだ。そうじゃない。いやそうだけど。とりあえず本気で意地を張り通すのだとするなら、それはこんな程度の男を相手にする場面ではないだろう。

 時間を稼がせて貰う。

 ヴィレイは言ってみろとばかりに視線を向けてきた。


「お前、どうやってそんな魔術を身に付けたんだ?」


「っは……何を言うかと思えば」


 手元からずり落ちた鎖鎌が揺れる。私から見て左へ。


「貴女方程度では到底想像もつかない方法ですよ」


 早い。

 先ほど見せてきた攻撃よりもずっと早く、鎌がこちらへ襲い来る。


 受けてはいけない。

 クラウドの助言を思い出し、同時にヴィレイへの注意も忘れない。

 背後に十字天秤。下がる位置はない。なら前か。踏み出しかけたすぐ前にもう一つ濃密な霧が立ち上がり十字天秤が姿を現す。鎌がくる。右? 左? 違う。


 正面!


 『剣』の魔術には行動に際し多くの加護がある。

 普段より身体操作に余裕が持てるし、動きの速度や精度もあがる。

 だからこの十字天秤などという隙間だらけの大盾をすり抜けることも可能になる。一度やったことだ、苦労はない。


 踏み出した足をそのまま支えにし、膝を屈し、跳ぶ。


「飛んで火に入るとはこの事でしょうねぇえ?」


 抜けた先、重りが飛んで来ている。


「見え見えの誘導に引っかかる。所詮その程度」

「お前がな」


 見え見えの抜け道だからこそ攻撃も読みやすい。

 逃げ場なら背後にもあった。同じ抜けるというのなら、後ろの十字天秤を抜けたほうがずっといいのは明らかだ。それを敢えて前へ出た理由に思い至っていないのは奴のほうだろう。


 重りの後ろ、鎖の部分へレイピアの先端を差し込み止める。

 思っていた通り、確かに反射の攻撃はあるが、鎌や重りに輪をかけて威力が落ちている。そうでなければ、クラウドはとうに腕をもがれていたに違いない。


「回避しないので?」

「すれば背後の盾に重りがぶつかり、反射の攻撃を受けるだけだ」


 再びあの、絡みつく鎖が周囲を覆う。腕だけでなく、身体ごと拘束するつもりか。


「遅いな」


 『剣』を相手にそんな悠長な手が通用するか!

 重りを投げ捨て、先端部の軌道をずらす。全ての鎖をどうにかすることは出来ないが、足先で地面を踏む余裕は出来た。それで十分。靴の先端で地面を引っかくようにして身体を引き寄せ、低く伏せる。


 鎖による攻撃は回避した。

 腕だけならともかく、身体ごととなれば描く円も大きくなり、余裕はずっと増える。欲張りすぎだ。


 背後、十字天秤を支点に大きく迂回してきた鎌も、鎖の部分へレイピアを差し込んでそのまま地面へ縫い止める。


「どうしたコレで終わりか!」


 言いつつ周囲を注意深く観察した。

 奴の得物は一つがここにあり、重りは手元に、十字天秤も今見えているのが二つ。

 平均的な限度数は幾つだったか。手練れは十は出すというが、あまり乱立させてこないのが気になる。加護故の制限か、それとも遊んでいるからか。


 レイピアの柄尻を踏みつけ深く地面へ差し込んでやった。

 動く時にはもう一本掴んでから動けば加護は切れないし、向こうは一手遅れる。


 まずは詰め終わりらしい。

 またあの視線が送られてくる。

 余裕ぶっているのはいいが、随分と距離も短くなってきたぞ?


 右手に新たなレイピアを。

 赤の魔術光が燃え上がり、身を沈め、だが――視界が歪む。なんだ!?


「っっっくそ!」


 重りが飛んで来る。

 それだけは分かった。だが目標をしっかり見定められない。


 回避? いや、不用意に動けば自ら大盾にぶつかるだけだ。防御を、身体、が…………、動けぇ!!


 でたらめにレイピアを振るう。

 偶然か、なんとか重りを弾くことは出来た。

 代わりにそこから撒き散らされる爆発的な衝撃に晒され、腕に熱が奔る。


 倒れるな!


 なんとか地を踏んだ。

 次の一歩を。

 思い、けれど、その足に冷たい鎖が巻きついていくのを感じた。衝撃が、破壊が、来る。


「~~~~~~~~~~っっっっ!!!!」


 ぼとり、と何かがごっそり抉り取られたような気がした。


 痛みが止まらない。巻きつく鎖から幾千本もの針が生えて触れた足へ出鱈目に突き刺されているようだった。外さないと、そう思ってのろのろと手を伸ばした。攻撃が続いていないことへの不審を感じ取れない。けれども手が伸びきるより早く鎖を引かれ、また姿勢を崩して倒れ伏した。


「ふ――ははははははははは、あぁ~~いい気分だ。実に良い」


 頭を何者かに踏まれ、泥に顔が埋まる。

 二度目となるとどこか冷静になるもので、何かを感じるより先に未だ足を痛めつける鎖を外そうとした。ぐい、とまた引かれる。


「誰が! 動いて! いいと! 言った!?」


 言葉の度に踏みつけられ、かかとで肩を押し蹴り、顔を覗き込んでくる。


「なんだ? まだなんとかなると思っているのか? オイオイ状況を見ろよ。俺がそんなミスをする訳がないだろ? 援軍はまだ遠い。時間はたっぷりある。その間お前はただっ、俺に嬲られ続けるだけなんだよぉおお!!!」


 腹を踏まれ、くの字に折れ曲がった所で髪を捕まれ、叩き付けられる。

 それでもまだ、私はのろのろと足の鎖を何とかしようと手を伸ばしていた。


 これを外さなければ。

 このままだと、足が使い物にならなくなってしまう。

 それはいけない。

 ようやくなんだ。

 ようやく自分の足で立って、前を見て、進めるようになったんだ。

 ここに居るぞと言ってくれた。そこへ辿り着く為の足が必要だ。そうしてあの人の隣で、今度こそ胸を張って並び立――


「そんなに(ソレ)が大切か」


 何かが、足に触れた。

 鋭利なもののように思えた。


「これは霧の魔術光に紛れて漂わせていた麻痺毒と同じものだ。濃度は数百倍だがな。あーーーーーー…………あぁそうかそうか、これは面白い。あぁ、このくらいだ。このくらいがちょうどいい」


 毒。そう言われてももう、思考が上手く回らない。

 身体の感覚も、意識も、ずっと、遠い。


「何分実験用の材料には困らなかったからな、絶妙な量を調節してやれる。いいか、良く聞け('''''''')


 周囲の魔術光が消える。

 霧の晴れた中、ヴィレイは心から愉しそうに笑い、言う。



「今お前の両足に毒を流し込んだ。全身に回り切れば死ぬより辛い未来が待っている。だが安心しろ('''''')、コイツは原液では中々回りが遅い、すぐに脚を締め上げれば毒が回ることは無い。だが、一度でも吸収されれば周囲の細胞をぼろぼろにし、二度と再生などしない。よぉぉぉおおくアイツに伝えてやってくれぇ?


 お前が切り落とせ('''''''')


 大事な大事な仲間の、大事なだぁいじな脚を自らの手で切り落とす。ははははははっ! 愉快で愉快で仕方が無い、所詮あの男に守れるものなどない。この事実が何よりの証明となるだろう」



 満足げに言い残して奴は去っていった。

 拙いと、思うことすらままならず、


 くそったれが……。


 思い、遠のく意識の中、駆け寄ってくる誰かの気配を感じていた。


    ※   ※   ※


   ヨハン=クロスハイト


 担ぎ上げていたクレアをそっと横たえる。

 意識しないようにしてきたものを改めて見せ付けられる。

 周囲にいるのは同じ小隊の連中ばかり。

 野晒しで、天幕なんてないから、誰かが大慌てで集めてきた上着を重ねてあるだけの上で、こいつは尚も何かを呟き続けている。


 両脚は、もう駄目だ。

 片方はずたぼろ、もう片方は傷こそ浅かったが、共に紫色に変色して冗談みてえに膨らんでやがる。


 一人手を握ることに意味はねえ。


 血の気を失いつつある顔を見れば、状況の拙さが誰が見ても明らかだ。


 人の気配が変わる。

 視線が、自然とそちらへ向いた。


「隊長……」

「詳しく説明できるか」

「っ!!」


 言われ、下らねえ感傷に浸りかけていた自分を恥じる。

 間に合わなかっただの、力不足だのとへこんでる場合なんかじゃねえだろ!


「両脚に毒を流し込まれたらしい。ずっと背中でぶつぶつ呟いてやがった……」

「誰か毒物を判断出来る者は!」


「あ、あの……」


 声をあげたのは、セレーネか。

 いつもアンナやオフィーリアと群れてる時にはぎゃあぎゃあとやかましいが、たしかここ最近、罠の開発やってる連中ともよく絡んでた筈だ。仕込み刃の毒、なるほど、アイツが。


「話せ。不確定でもいい。要点だけ分かればいい」

「はい」

 言われ、少しだけ考えたセレーネは、言葉にすることさえ痛むように顔をしかめていた。

「性質上、これだけ締め上げていれば、毒は脚から出ていないと思います。外見からも侵入している様子はありません。」

「他の部位は無事だということだな」

「はい。ただ、両脚は……もう」


 重い沈黙が落ちる。

 そう思ったのも束の間、隊長殿は静かに言った。


「切り落とす」


 視線を感じた。

 だが俺は、こんな時だってのに手が震えて、向き合うことが出来ずに、


「縛り上げたのはヨハン、お前だな」

「……あぁ」

「いい判断だ」


 なにがだよ、なんて言えずに、けれどようやく顔を上げた。


「アレは持ってきているな」

「あぁ……、妹さんと別れて出る時に荷物は取り上げたりはされなかったからな」

「今すぐ持ってきてくれ」

「分かった。ああ……!」


 振り返って、駆け出そうとした肩を押さえる手があった。

 なんだ、と思うのすら遅い。

 しわがれた、浅黒い手の主は、木枯らしみたいに冷たく、乾いた声で言った。


「ちょうど良い。持ってきてやったところだ」

「オスロ!?」


 知らねえ名だ。

 だが、その爺さん、フーリア人の男は手にしていたハルバードを器用に担ぎあげ、刃を陽に照らして見せた。

 フーリア人、そして今武器を所持している。クレアの件に気持ちが持っていかれすぎて入り込まれたのかと、つい警戒が奔る。


「全員待て。知った顔だ。オスロ=ドル=ブレーメン、マグナスに捕らわれているとばかり思っていたが」


 隊長殿の声にジジイは応じず、片方の眉を上げて吐息する。

 まるで出来の悪い子どもを見たような顔に苛立ちが募る。


「所詮は白き者の仕業か。ヌシらの鍛えし武器があるからと興味が出たが、ワレらには遠く及ばぬ出来損ないよ」


「嫌味なら後で聞く。邪魔をするなら切る」


「コレでか?」


 クソジジイは笑い、しかし堪えきれず動き出そうとした奴の鼻先にハルバードの先端をピタリと向けて、静止する。

 気付けば、その表情はじっとクレアを見詰めていた。


「話は聞かせてもらった。小僧、まずはコレをワレに預けよ。不出来なものだが、研ぎ一つで変わるものよ」

「悠長にしている時間があるのか」

「そこな娘が受けた毒は、ヌシらの中でもとりわけ下等な者共が好んで使っていたものであろう。ワレならば見れば具合もよく分かる。加えて、このような所で無闇に切断すれば傷口が腐り落ちてしまうわ。まずは場を整えよ。助けたいと、そう願うのならばな」


「よし。すぐに天幕を用意しろ。清潔な布と、消毒用のアルコールをありったけ集めて来い! それと火の用意をっ、湯を沸かしておいてくれ!」


 迷いの時間も邪魔だと言わんばかりだった。

 俺たちからすればフーリア人の爺さんが急に現れ、何かを言われてもと困惑してるってのに。だが。


「動くなら『剣』だ! とにかく素早く! 死ぬ気で動け!」


 言いつつサーベルを握った。

 今は少しでも早く動くこと。

 それくらいは分かってるつもりなんだ!


 けれど駆け出す直前、確かに聞いた。

 オスロ、と呼ばれたフーリア人の爺さんが、隊長殿へ静かに語りかけるのを。


「その間にヌシは、その震えた手をなんとかせい」


 分かってる。

 分かってる!!

 本当は俺がやるべきだった!

 切り落とすなら『剣』だ。切断の加護なら、あんなものより遥かに綺麗に切ってやれる。俺はただ自分で仲間の脚を切ることに怯えただけだ。そいつを隊長殿にも見透かされた。剣であろうと思っていた癖に!

 今俺がやると言い出すのは、隊長殿の覚悟に泥を塗るようなもの。


 だったらやっぱり、走るしかねえ……!


    ※   ※   ※


   ルリカ=フェルノーブル=クレインハルト


 目まぐるしく変わっていく状況に何も出来ず、皆が駆けずり回っている中、私はぽつんと女の人のすぐ傍で立ち尽くしていた。

 ハイリアは、一言断って離れていってしまった。私のことを誰にも説明している間が無かったから、皆は彼の連れていた女の子として、とりあえず気に掛けながらも放置している。


「ごめんなさいっ、よかったらコレで汗を拭いてあげて!?」


 誰かが、偶然近くに居るからと私に濡れた手拭いを渡してきた。


「わ、わかっ、わかっ……!」


 上手く言えなかったけど、相手は察してくれたようで、少し表情を緩めてまた駆けていく。


 ぐっと手拭いを握り、女の人を見る。

 誰かが、クレアと呼んでいた。クレア、と口の中で呟き、震える手で額に手拭いを当てる。

 荒い吐息が少しだけ落ち着いたように思えた。

 トン、トン、と触れるだけの動きで額と、耳元と、首元を拭く。


 クレアは、ずっと何かを呟いていた。

 言葉を発している自覚がないのかもしれない。

 夢か幻か、そういうものの中でずっと訴えを続けているのだと、そう思う。


 どうしてなどとは思わない。

 けれど、こうなって欲しくはなかったのだと思う。


 ハイリア……。


 首を振る。

 たとえどんな理由があろうと、この彼女の姿を前に、だからなどという言葉を使ってはいけない。


「っ!?」


 不意に腕が燃え上がったのかと思った。


 熱い。


 掴まれた腕が蝋燭に灯した火よりずっと熱く、握りこまれる。


「だ、だいじょう、ぶ……だよ」


 何が言いたいのかも分からず言葉が出ていた。


「大丈夫。大丈夫。きっと、大丈夫だから」


 大丈夫、それを魔法の言葉みたいに繰り返して、彼女の手からゆっくりと何かが私の中へ沁み込んで来るのを感じていた。

 熱い。すごく、熱い、気持ち。


「…………嫌だ……」


 呟きが聞こえた。


「嫌だ……嫌だ……っ、この脚を失うなんて嘘だ……、私はまだ、やりたいことが、いっぱい、いっぱい、あるのに……っ、こんなところで…………」


 涙が溢れ出していた。

 頬を、口元を、涙が流れ落ちて、洟を啜って、拭っても拭っても流れ出る涙を堪えるなんて出来なかった。


 この脚を彼女にあげられるなら、なにも惜しくなんてないっ。

 そんな馬鹿げた考えが浮かんでしまう。


 きっと、


 はじめて、


 何かをしたいと思った。


 けれどそれはどうしようもなくて、私には知識も力も足りなくて、都合のいい願いは届かない。


「こんな、惨めな終わりは……嫌だ…………」



「惨めなんかじゃない!!」



 これは一時の衝動なんだろうか。


「貴女は立派に戦った……! 戦い抜いた! その結末が敗北であっても、絶対に、絶対に惨めなんかじゃない!! 私が知ってるっ! 私が、貴女の頑張りを見届けた! だから胸を張って! 貴女は私の誇りだからっ!」


 燃え上がるような彼女の手を両手で握り、本当に心から尊敬の念を以って胸に抱いた。


「…………誰、だ……?」


 問い掛けに、周囲で私の声を聞いて動きを止めていた者たちが注目するのを感じた。

 それでも、躊躇は無くて、


「私は、ホルノス国王ルリカ=フェルノーブル=クレインハルト。貴女の戦いは、ホルノスの王が見届けた。絶対に、誰にも穢させたりなんかしない」


 彼女から、ゆっくりと力が抜けていくのを感じた。


「陛下……でした、か」

「うん。うんっ、私が、見てたよ……!」

「ありがとう、ございます……」


 それから用意された天幕へ彼女が運び込まれる間、私が握った手を離そうとしなかったせいで、運ぶ人たちはとても苦労したのだと思う。それでも誰も、文句は言わなかった。


「着たか小僧。ワレ自ら研ぎ澄ませ、清めておいたわ。使うが良い」

「感謝する」


 少し遅れてやってきたハイリアへ大きな槍を渡すフーリア人のお爺さん。

 たしかに、その刃は少し前に見た時とは全くの別物になっていて、無骨に感じられた武器が急に芸術品のような風格を持ち始めたように思えた。

 お爺さん、オスロと呼ばれていた人が差し出した槍をハイリアが受け取る。


「ヌ……」

「陛下?」


 気付けば、その横から、大きな槍を掴んでいた。

 二人が持っていた状態なのに、私なんかじゃ持ち上げられないくらい――


「…………重い、ね」


 オスロが何かを言おうとして、けれど口を噤んだ。

 先に、ハイリアが言葉を発しようとしていたからだ。



「人を殺す為の道具です。軽くていい筈がない」



 あぁ、きっと。


「ハッ! 小僧が吹きおるわ!」


 私たちはずっと忘れていた。

 聖女に、私たちを助けてくれるセイラムの揺りかごの中で、自分たちが振るっているモノの重みを、ずっと、忘れていたんだ。


 そして彼だけは知っていたのだと思う。


 武器の重みを。

 重みの意味を。


 だからこの殺人道具は、時に仲間の両脚を切り落とすこともある。


 私はこの日聞いた彼女の悲鳴を忘れない。

 握っていた手が暴れ、こちらの手の甲を引っかき、出来た傷を、ぐっと握る。


    ※   ※   ※


   ハイリア


 火があった。

 星空の元、周囲に集う者たちの顔を赤く照らす焚き火を前に、俺は腰掛けた丸太の束の上から改めて皆の様子を見る。


 ぼろぼろだった。


 負傷の無い者など居ない。

 ここへ来ることもままならない者も居た。

 ここへ、辿り着けなかった者も、居る。


「五日後、イルベール教団神父ジャック=ブラッディ=ピエールとの決闘が行われることが両軍の合意を得て正式に決定した」


 ただ静かに言う。


「始めよう。奴を討つ為の、作戦会議だ」





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