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造形された空間 2

襲撃を受けたアルダート達を取り囲んだ道化師達は、突如吹き荒れた風と共に散り散りとなって消失した。

彼等を纏っていた不快な空気も同時に無くなり、流星石をしまいながら2人は助けにやって来た相手を見た。


「味方・・・みたいだな・・・ 助かっ」





「・・・あぁっ! アルダート!!」



その後お礼を言おうとしたストレンジャーの台詞を遮るかのように、新たにやって来た相手の声にかき消された。

誰がやって来たのかと思い声のした方角を見てみると、そこには別の生きた存在達がこちらに向かって多数駆けて来ていた。

見た限りでも大人数であり、狐に狼とさまざまな種族の存在達が居た。


「ソニルスさんっ!」


名前を呼ばれたアルダートは声の主であろう元へと向かい、やってきた1人の狐に捕まっていた。

そんな異様な光景に一瞬驚くも、彼の笑顔を見て同時に再開がやって来たのだとストレンジャーは悟るのだった。




「紹介しますね。 僕のお友達の、カツキさんにシップスさん。 クロさんに涼さん、ソニルスさんにハンメルさんです。」


再開の喜びを分かち合った後、アルダートはふと取り残されていたストレンジャーの元へと駆け出した。

出会った集団が味方である事を説明し、1人1人の顔を見ながら彼に紹介をしていた。

しかし人数が多い事もあってか、瞬時に覚える事は難しそうである。


「後、後ろに居るのがドリフトさんにアシュレーさん。 フェースさんにギラルドさんにスターライトさん。 ライトさんにトライムさんです。」

「・・・」


一通りの名前を聞き頷く彼であるが、やはりすぐには覚えられない様子で小声で復唱しながら聞いていた。

アルダートと同様に服を着る者達もいれば、何も着ずそのままの井出達で居る者達。

だが仲間である事は変わりがない様子で、皆の事を紹介していた。


「・・・たくさん居るんだな。 君の友人達は。」

「はいっ 皆さん、僕の大切なお友達なんです。」


とはいえ紹介してもらった際の彼の表情を見て、ストレンジャーは確実に解った事を口にした。

どんなに覚えられない相手が急に増えたと言っても、彼の友人には変わりはない。

1人だと言っていた相手に多数存在した友人達は、やはり彼にとっても嬉しい報告の様だ。


彼からの一言も貰い、再度アルダートは笑顔で言うのであった。



「そういやアルダート、その龍は誰なんだ?」


一通りの自己紹介を終えると、2人の様子を見ていたソニルスは声をかけた。

その場に居た皆が思っているであろう事を言われ、アルダートは軽く手を引きながら彼等の前にストレンジャーを連れて行った。


「改めて紹介します、龍のストレンジャーさんです。 僕が1人で逃げ出そうとした時から、ずっとこの場所に来るまで一緒に居てくれたんです。」


仮の名前ではあるが紹介をすると、紹介を受けたストレンジャーは軽くお辞儀をした。

そんな彼の行動を見て、皆はつられて頭を下げていた。


「でも、ストレンジャー・・・だっけ? 聞かない名前だな。」


つられて下げた頭を元に戻し、不意にシップスは違和感を覚えた様子で名前に疑問を思っていた。

元々彼等の過ごしていた街には多くても限られた存在達しかおらず、なおかつ親切にしてくれるであろう存在はその一部に限られる。

そんな親切な相手であれば名前も聞くであろうと思った様子で、疑問を抱いたようだ。


「ぁ・・・ えっと・・・」

「・・・アルダートが付けてくれた名前なんだ。 本来の俺の名前は、記憶が薄れていて思い出せないんだ・・・ 仮ではあるが、そう呼んでくれて構わない。」

「あぁ、それじゃあしょうがないな。 よろしくな、ストレンジャー!」


そんな質問に困るアルダートであったが、ストレンジャーは素直に事の成り行きを説明し受け入れてもらえればそれで良いと言った。

彼の意見を聞いて一瞬たじろぐ集団であったが、そんな雰囲気を気にせずクロが一言言った。

多少男染みた発言のある彼女であったが、それにつられて他の存在達はそれで良いと解釈し仮の名前を呼び合うのであった。



しかし、




ガタガタガタ・・・!!


「ぇっ ま、またっ・・・!!」


和やかな雰囲気は束の間の様子で、再び彼等の周囲を轟音が包みだした。

音と共に再度現れる道化師達の大群を見て、彼等は軍を組むように周囲に立ちだし正面の敵に対抗出来るであろう流星石を手にしていた。

アルダートとストレンジャーも同様に流星石を掴み、再び戦闘に挑める体制を取った。


「コイツ等、消し飛ばしてもまだ湧き出るのか・・・ カッツの力で飛ばせたと思ってたのに、まだ来るんだな。」

「大丈夫なのだっ 少なくともこの量なら、我等が瞬時にやられるはずはないのだ!」

「そうだね。 ・・・怖くても、立ち向かう事くらい出来るから!」


互いに相手の事を気遣うように言葉をかけあいながら、ドリフト達は流星石を武器の形状へと変化させていた。

打撃で立ち向かう者達もいれば、石の力で立ち向かう者達も居た。

それぞれが出来る事をすると、何時来ても良いように構えた。



『さっきまでの雰囲気と違う・・・ ・・・本当に仲間だけど、それ以上の関係なんだな。』


敵の出現に気を配っていたストレンジャーは、不意に口々に言いだした言葉に一瞬驚いていた。

普通の仲間であっても信頼関係が無ければ交わされない事であり、友達だと言っていたアルダートの言葉も事実なのだろうと思った。

先ほどまでのやり取りは簡単であったが、素質のある者達の集いなのだろうと彼は思うのだった。


すると、


「でも、ちょっとは液量が減るのは抑えたいよな。 タカの奴は消費が多みたいだし、補給も下手したら出来ないしな。」

「打撃ならそれは気にしなくても良いけど、やっぱり体力も気にするべきか・・・?」

「かもしれないわね。 ・・・じゃあ、ちょっとは派手に出来て隙が大きいのは。 貴方じゃないのかしら、ハンメル。」


全員で応戦すると思われていた雰囲気は一変し、突如指名される声が上がった。

軽い会議で決定した方法は『一発派手にかました後、集団で移動しながら敵を振り切る』というものだ。

消費しない流星石を持つ者達は先導を切り、道を塞ぐ相手を退かす事も忘れていない様だ。

その一撃を任されたのは、1人の水色の青年だった。


「ハンメル、どうする。 指名かかっちまったけど。」

「それくらい良いよ。 ・・・それに、タカの時には何も出来なかったからさ。 この時くらい、何とかしないとな。」

「良いってよ。 じゃあ、同時にな! 遅れるなよ!!」



「おうっ!!」


使命のかかった彼は相方のトライムに一言言うと、流星石の栓を軽く弄びながら放つ方向を決めた。

その行動を見た集団は一言返事をすると、次の瞬間には行動に移されていた。


《キェエエエエエーーーー!!!》




「時間軸操作じゃないけど、爆破くらいだって甘く見ない事だな!!! いっけぇええーっ!!!」


一足前へと出たトライムを目がけて道化師達が動くと、彼は持っていた流星石を振り液体を出した。

すると液体は瞬時に小さい弾丸へと変わり、道化師達1人1人に目がけて狙いを定めながら飛んで行った。



ボカンボカンボカンッ!!!


触れると同時に液体は爆破し、道化師達の触れた箇所を吹き飛ばしていた。

爆風と同時にエフェクトと思われる時計版も浮き上がり、近くに居た道化師達を切り刻んでいた。

爆破する事に成功すると、集団は一斉に動きシップスが先導を切って跳び出した。


《キェエエエエエーーーー!!!》

「ヒャァアッッハー!!! 退きな退きなぁああ!!」


行動し出した彼等を見て道化師達は飛び交うも、先頭を走っていたシップスは造り出した流星石の短剣で彼等を切り飛ばした。

幾多の無数の剣で切ったり突き刺したりと華麗に戦い、場合によっては投擲し顔面に突き刺す事もあった。

だがそんな行動をしても彼の手元から剣はなくなる事は無く、場合によっては銃へと姿を変え遠距離で打つこともあった。


そんな彼の先導にドリフト達は続き、自らが持つ流星石で突破して行った。

槍で払い、杖からの風で撃ち落とし、チェンソーで切り刻んだりと、多種多様の攻撃手段を行って行った。

彼等の行動にアルダート達は続き、彼等の進撃と防衛を目の当たりにするのだった。


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