喪女の恩返し
むかしむかし、夏の盛りの頃。とある田舎町に、日焼けした元気な少年が住んでいました。
ある日の午後、少年が山道で虫捕りをしていると、おねショタよけの罠に足を取られてうずくまっている、一人の女性を見つけました。
「だ、大丈夫ですか!?」
少年が駆け寄ると、彼女はもじもじと顔を赤らめ、小さな声で言いました。
「あ、あの…このエロ本、なかなかどうして、いや、え、ぬへへ…あ、りがとう、ございます…しょ、いや、少年…いい、ですね(笑)」
彼女は、ふくよかな体つきに、サイズの合っていない服が張り裂けんばかりの胸、そして長く伸びた前髪で顔を隠した、見るからに陰キャな喪女でした。
少年は親切心から罠を外し、彼女を助けてあげました。彼女は何度も頭を下げると、おぼつかない足取りで去っていきました。
その日の夜、少年が家で宿題をしていると、戸を「こつ、こつ…」と遠慮がちに叩く音がしました。出てみると、昼間助けたあの女性が立っていました。
「あっいや、ちがくて、いや、ご恩返しに参りました。あ、えーっと、この家に置いてください!」
彼女はそう言うと、大きなボストンバッグを抱きしめました。少年は戸惑いましたが、断り切れずに彼女を家に泊めてあげることにしました。
次の日、彼女は少年に向かって宣言しました。
「これから、最高の『お礼』をします。その準備のために、三時間だけ、この部屋を使わせてください。そして…お願いです。私が『いいですよ』と言うまで、絶対に、絶対に部屋の中を覗かないでください。約束です」
そう言うと、彼女は部屋にこもり、中から鍵をかけてしまいました。少年は「一体何が始まるんだろう?」と首をかしげながらも、彼女との約束を守ることにしました。
しかし、一時間、二時間と経つにつれて、部屋の中から「ふんぬっ!」「うぐぐ…」「あと少しなのに…!」という、奇妙なうめき声が聞こえてきます。
心配と好奇心が入り混じった少年は、ついに我慢できなくなり、固く約束したにもかかわらず、部屋の引き戸にほんの少しだけ隙間を開けて、中を覗いてしまいました。
部屋の中を見て、少年は息をのみました。
そこにいたのは、昼間の彼女ではありませんでした。彼女は、フリルがたくさんついた可愛らしいメイド服を着ようと、一人で四苦八苦していたのです。しかし、服は明らかに小さすぎました。彼女が必死に背中のファスナーを上げようと体をひねったその瞬間、ぎゅうぎゅうに締め付けられたウエストの部分から、むにゅっと、見事なおなかの贅肉がはみ出してしまったのです。
少年がその贅肉から目を離せずにいると、隙間から覗く視線に気づいた彼女が、ゆっくりと振り返りました。
二人の目が、合いました。
「いやあああああああああああああああ!!!」
部屋中に絶叫が響き渡ります。彼女は顔を真っ赤にして、その場でしゃがみ込みました。
「み、見られた…!一番見られたくなかった私のおなかを…!」
彼女はニヤニヤしながら、着替えもそこそこにボストンバッグを掴むと
「あじゃ、えーっと、いや、さようなら!」
と叫びながら家を飛び出し、走り去っていきました。
部屋には、主を失ったパツパツのメイド服だけが、ぽつんと残されていました。