表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

第八章:入れ替わり(Day52)

 雨上がりの朝。窓ガラスが白く曇る。歯を磨き、顔を洗い、鏡に映る「同時」を確認した瞬間、背後の空気が動いた。


 像はすでに数日先を生きていた。

 僕がまだ椅子に座っているのに、像は立ち上がる。僕が息を吸う前に、像の胸が上下し、首筋の血管が脈打つ。


 「ようやく、順番だ」


 次の瞬間、僕はガラスのこちら側にいた。窓枠の内側。外の僕──新しい僕──は背を伸ばし、コーヒーを注ぎ、新聞をめくって微笑む。


 「返せ」「やめろ」喉は震えるが、声は出ない。外では数日遅れて、同じ口形が再生されるだけだ。視線が一瞬重なり、冷たい笑みが落とされる。


 僕は悟る。戻れない。ここは世界の表面から剝がれた、「僕」の保管庫だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ