表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

第三章:日常の延長

 生活は続く。金属臭のする蛇口の最初の一滴、鏡に映る同時の自分、惣菜パンの粉っぽさ、神社の鳥居に心の中で「おはよう」。


 講義室では教授の声が抑揚なく流れ、黒板の数式は僕の視界を埋めていく。ペンを握っても、ノートの余白に「像」という字を繰り返すばかりだ。

 「お前、また単位落とすぞ」

 隣の席の友人が冗談まじりに囁いた。僕は肩をすくめて笑い返したが、胸の奥には図星の痛みが広がっていた。


 昼は学食のカレー。夜はコンビニのバイト。レジの電子音は一定のリズムで鳴り、客は無言で商品を置き、無言で去っていく。社員の「また廃棄多いな」の声を背に、レジ横の小さな鏡を見る。そこには同時に動く僕がいる──はずなのに、いまは「遅れていない」という一点しか支えにならない。


 日常は続く。だが、どこかで裂け目が広がり続けている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ