幾度も同じ朝を
よく晴れた冬の朝、何度も通り慣れた道をふわぁ、とあくびをしながら歩く。
周囲では同じ学校に通う生徒たちがお喋りをしたり、スマホを見たり、はたまた本を読んだりしながら通学していた。
僕は足元で落ち葉がかさかさと軽い音を立てるのを聞きながらもう一度あくびをしかけて、ふと小さく首を傾げた。
なんだか前にもこんな日があったような気がする。
そんな風に考えかけたそのとき、後ろから「オハヨー」と声をかけられた。
その気の抜けたような挨拶の仕方と声は、小学校からの付き合いである、いわゆる幼馴染と呼べるような存在である青柳結月だった。
以前「名前だけだと男か女か分かんないよねー」と言われたときはなんと答えれば良いかも分からなかったことをふと思い出す。
そんな結月は「そういえばさ」と楽しそうに話しかけてくる。再び強烈な既視感を感じた僕は、結月の言葉に先んじて言ってみた。
「今日さ」
「転校生が来る?」
「おお……なんで分かったの? つ、ついにきっくんにも予知能力が……」
僕は当てずっぽうだよ、と笑いながら答える。
「ていうかついにってなんだよついにって」
「いや、きっくんなら予知くらい出来るかなって」
「僕をなんだと思ってんだ。というか、前にもこんなことなかったか」
そこまで話したところで、不意に意識が途絶えた。
いまにも雨か雪でも降りそうな冬の朝、僕はあくびをしながら歩きながら通学路を歩いていた。
周囲では同じ高校に通う生徒たちが思い思いにお喋りをしたり、スマホをいじったり、本を読んだりしている。
足元では落ち葉が乾いた音を立てていた。
僕はおやと首を傾げる。なんだか、前にもこんな朝があったような気がする。
もう少ししたら幼馴染の青柳結月が後ろから来て、今日は転校生が来るということを話す、そんな気がする。
そんなことを考えていると、後ろから「オハヨー」というのんびりとした挨拶が投げかけられた。
僕は振り返ると、挨拶もそこそこに尋ねる。
「なあ、前にもこんなことなかったか?」
答えを聞く前に僕の意識は途絶えた。
雪の降る朝、僕は通学路を歩いていた。
眠気から来たあくびを噛み殺そうとしたそのとき、僕は強烈な既視感に襲われる。
「あれ、なんか前にもあったような気が……」
ふと傘をずらして空を見上げた僕の目に、空いっぱいに広がった手が世界をクシャリと押しつぶそうとしているのが見えた。
原稿用紙を握り潰したその若い作家は、ガリガリと頭を掻くと「プロローグすらまともに書けない」と絶望したような声をあげるが、すぐにまたペンを手にとって原稿用紙と向かい合った。
彼の周りにはクシャクシャに丸められた原稿用紙が散らばっていた。
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