表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/241

Episode 222 Naoya side 焦りはある

 やべぇな。俺はアップ中にもかかわらず、心の中で舌を出していた。

 いつまで経っても、去年みたいなタイムが出るわけでもなく、どこかが狂ってんのか、ダッシュメニューの時、ターン、フィニッシュがことごとく合わず、勢いが流れる。

 それさえなければ、ハーフ単位でコンマ2秒は変わるはずやねん。

 美咲も俺の調子が悪いことは薄々と勘付いてるんやろうから、どこがおかしいんか見てくれてるんやけど、その美咲でさえも原因がわからんと悩んでる。

 ほんまにどこが悪いんか……。

 そんなことを思いながら、かなり焦っているなって言う実感もある。それを無理に抑えつつ、アップを続けていく。とはいうものの、焦っているというのもあるせいか、このアップからいろいろ試しているところはある。

 フォームに原因はないと思うって言うてるし、さすがの美咲でも、周りからは“コーチ”と慕われているものの、同級生のマネージャーだ。

 プロのコーチやないし、わからんとなったら、それはそれでしょうがないんかなって思う。

 さて。こうなった以上、どうするか。さすがに今からフォームを変えることは相当なリスクがある。……とりあえず、アップを続けるか。美咲から次の指示来てるし。


「ワンフォー、ファーストハーフダッシュ、セカンドハーフイージーやってよ」

「オーライ」

「はい、わかりました」


 今日に限っては、場慣らしを兼ねてるのか、今日出る予定のない稲葉さんもいる。


「直ちゃん、なんか焦ってる?いつもよりアップのペースが速い気がするんやけど?」


 俺は、普段通りって思ってるんやけど、無意識にペースが速くなってたんか?俺を勝手にペースメーカーにしている大神が声をかけてくる。


「うん?そんなつもりはないんやけど、ちょっと焦ってるってところはあるかもしれん。中央であのタイムやったら、今年、勝たれへん気がしてな。正直、感覚が狂ってるって感じやねんな」

「あとで咲ちゃんに見てもらったらなんかわかるんちゃうん?」

「それがわかってるんやったら、練習中とか、今このタイミングで指摘されて直しにかかってるわ」

「あっ、そっか。そうやんな。咲ちゃんやったら一瞬で気づくよな。ほんなら、なんなんやろうな」

「俺が一番知りたいわ。こんなに長く苦しむんは久しぶりや。中学のときもいろいろあったけど、今が一番苦しいわ」


 そう言って、苦笑いを少し浮かべた後、美咲の指示通り泳ぎだす。

 最近では、このアップの時間とフォームチェックの時間が一番好きかもしれん。

 まぁ、そのことを美咲に言うと、「そんなアホなこと言うてんと、はよ練習しぃや」とかいわれるんやろうな。とか思いながら、練習のときと同じ力でダッシュをしっかりとこなし、50のターン。

 ……やっぱり、ここも少し流れるな。理想は、掻いたと同時にターンできれば、完璧やねんけどなぁ……。

 やっぱり、なんかおかしいのは明確。そのおかしいなにかがわかれば対処の使用がある。……我慢やな。


「原田先輩、遊菜先輩、お疲れさまです」

「お~っ、なっちゃん!どうしたん?」


 上から声をかけてきたのはマネージャーの大野さん。

 美咲からなんか言われたんやろうか?まぁ、近くで見てもらえるんやったらそれでええわ。なんて思いながら大神と大野さんの話を聞き流す。


「咲先輩から原田先輩と遊菜先輩、あと、沙良のアップの手伝いをお願いと言われまして~」


 どうやら、美咲の差し金みたいやな。それでもありがたいわ。今やったら、近くから見てもらえるだけでも全く違うとか感じるかもしれへん。


「とりあえず、美咲からなんか聞いてる?」

「今は、サブプールでやってもらうメニューを預かってるだけです。メインプール(ここ)でのアップはハンドサインでやるみたいです。ただ、咲先輩と連絡を取ることはできます」

「そうか。とりあえず、このアップが終わったらスタートになるやろうし、その待ってる間に聞いてみるわ。頼むな」


 善処します。そういうと、再度に移動して俺らのアップの様子を観察し始める。

 あいつがどういうつもりで大野さんをよこしたんかわからんけど、これはマジでありがたいよな。

 そんなことを思いながら、アップを続けて、美咲からもらったメニューが終わり、美咲の方を見る。

 さっきと同じようにハンドサインでメニューが伝えられる。


「大神、稲葉さん、上からダッシュやて」

「イーライ」


 正直、ここからやな。というのは薄々感じてる。

 なにがここまで足を引っ張ってんのかはわからへん。ここでわかってくれたらほんまにありがたいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ