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Episode 14 大会会場の環境

 8時半を回るころには、全員が到着して、選手はみんなアップに。沙雪先輩は、やることがあるからと言って、プールの方に向かう。

 私も、やることが終わったから、直哉たちの様子を見に行こうと思って、愛那と荷物番を変わってもらい、っプールの方に向かう。

 屋内プールだけど、公共の場ではないことが幸いして、場内は、異様なくらいジメっとしていた。

 ほんのちょっとしかいないつもりだけど、すぐに汗をかくかも。

 まだ場内はそんなに混んでいない。まだ全員が集まっていない。そんな状況だ。

 その中で、直哉と遊菜を探そうとする。けどね。すぐにわかった。あのピンクのスイムキャップに、水色のスイムウェア。そんなことをするのは直哉しかいないと信じたい。


「調子はどうなん?」


 スタート側に戻ってきた直哉が顔を上げたとき、声をかけてみた。


「あぁ、美咲か。調子は悪くねぇよ。ただ、コース台がぬるっとしてて、めっちゃ滑る。記録はむずいかもしれん」


 そんなことはないだろうと思い、コース台の上で手を滑らせる。

 ……なにこれ。たしかに、ぬるっとしていてものすごい滑る。というか、滑り止めとかついていない。


「えぐいな、これ。ほんまにこんなところでレースするん?」

「やろ?ヤバいで。こんなところ。もう、タイムが出ぇへんのはわかったから、スタンディングで行ったろうか」


 半笑いしながら言う直哉。あんまりこのプールと相性が良くないみたい。

 でも、いずれかは、相性の悪い会場で泳がないといけなくなるはず。これ以上、劣悪な環境でレースをするときはすごいところなんだろうな。


「まっ、とりあえずは地区突破やな」

「あぁ、せやな。フライングとられへんかったら堅いやろうな」

「気負わんとな」

「あぁ、ほんなら、もう少し泳いで戻るわ」


 そういうと、直哉はまた泳ぎだした。

 さぁ、今度は遊菜だ。遊菜は直哉と違ってシンプルな恰好をしているから、どこにいるのかがわからない。ただ、泳ぎを見たらわかるかな。

 ……あっ、いた。なんでこんなにすぐに分かったんだろう。たぶん、フォームが綺麗だからかな。


「遊菜、調子はどう?」


 直哉の時と同じように、スタート側に戻ってきたときに声をかけてみる。


「あっ、咲ちゃんやん。調子?ばちぐ~」


 そういってケラケラ笑う遊菜。どうやら、会場に着いた時よりテンションは上がっているみたいだ。


「でも、やっぱり、このコース台がめっちゃ気になるわ。あんまり影響せんかったらええねんけど、そこがわからんわ」


 やっぱり、コース台のことは気になるみたい。


「直哉は、記録より、確実に次の中央大会の制限をクリアしていくって考えているみたいやで。遊菜は?」

「たぶん、うちもそうなると思うわ。ここで狙ってミスるより、滑り止めとか羽がついている次の中央で豪快に泳いだほうがええやろ」

「そう。オッケー。ほんなら、遊菜も記録より次の大会の制限タイムを狙うくらいやね」

「まぁ、そうなるよな。こんな劣悪な環境でミスってシーズンを棒に振るより、慎重に行って次に進みたいわ。欲を言うなら、地区トップで抜けたいけどな」


 そういうとまたケラケラ笑った。その様子を見ていると、大丈夫そうかな。遊菜のことだし心配することはないだろう。あとは、足を滑らせてフライング解かないように願うしかないかな。

 2人の調子を確認して、控室の踊ると、顧問の長浦先生が教室にいた。


「おっ、伊藤か。おはようさん」

「おはようございます」

「中山とかはまだアップ中か?」

「みたいですね。さっき、プールにいましたけど、見てないんで何とも言えませんけど」

「そうか。オッケー。ほんなら、俺は1日中プールの方で仕事してるよって、なんかあったら、引率で副顧問の早島先生にお願いしているんで、そっちに頼むわな」

「はーい」


 そういうと、長浦先生は教室から出て行った。それとほぼ入れ違いで直哉が教室に戻ってきた。


「もう上がってきたんや」

「あぁ、ええ感じで身体がほぐれたわ」


 直哉はただでさえ高い身長からさらに上に伸びて身体を動かす。


「そう。ほんなら、最初のレースは、しかも、アンカーで」

「というても、参考にしかならへんねんやろ?次の大会でリレーの制限タイムないんやろ?やる意味あんのか?」

「ええやん。どうせ、アップ感覚でしか泳がへんんえんやろ?1本多く泳げると思ったらええやろ?」

「無駄に疲れるわ。あっ、せや。プログラム見せてや。何にも目を通せてないし」

「はいはい。ほんならこれな。先に言うとくけど、知ってる人だれもおらへんで」

「わかってるわ。知ってるやつおったらやりにくぅてしゃあないわ」」


 まぁそうだなろうな。私だってやりにくいと感じるかもしれない。


「とりあえず、両方とも1組センターか。まぁまぁええ感じか。いつもお通りいくつもりやし、気にすることはないやろ」


 そういうと、渡したプログラムが私に手渡され、直哉は別の雑誌を読みだした。


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