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Episode 137 ようやくレーススタート。

「ただいまより、大阪市立高等学校競技大会、競泳大会を行います。まずはじめに、開会の言葉を鶴橋商業高等学校、早川勇夫先生よりいただきます」


 こりゃ、長く開会式が続きそうだな~。なんて思いながら、話しを聞き流しつつ、プログラムを眺めていた。

 それは、ただただ、知り合いがいないかどうか確認するだけで、まぁ、案の定、誰もいないわけで、ちょっと安心するのと同時に、誰かいたなら、ちょっかいかけに行くのになぁ。なんて思っていた。

 そして、プログラムを眺めた後、ケータイを触っていたら、気付けば、開会式が終わっていた。

 招集されていた各校の代表が散り散りになっているのを見て、そろそろレースが始まるな。なんて思いながら、私の膝の上に、スプリットブックとペン、スマホを準備して、私もレースに備える。


「お知らせします。次の予選種目につきましては、棄権者が出たため、組の解体が発生しています。スタートリストについては、場内入り口付近の掲示板に掲示しますので、ご確認ください。また次の予選種目につきましては、予選競技を行わず、タイム決勝へと変更します。……」


 いろいろ発生している予選レースの組解体。早めに教えてくれないといろいろ大変だからありがたい。

 予選競技がなくなったのは、開幕レースを飾るはずだった女子の200メートルメドレーリレーに女子の1バタ、1バック、4フリの4種目。いずれも女子の種目だということが少し皮肉のように感じる。

 プログラムを見ていても、すべて元々予選2組しかないレースなうえ、エントリーも11人か12人、もしくはチームしかいないレース。

 この中から1発決勝になってしまうほどの棄権者が出たということか。

 まぁ、もともと女子の選手が少ないこともあるから仕方ないかな。なんて思いつつ、該当するレースに出る予定だったスプリットブックに書き込んでいく。

 これで予選のレースもせずに決勝へコマを進めたのが4人プラス、女子のメドレーリレーか。

 これも後で追加しておかなきゃなぁ。なんて思いながら、男子のリレーの準備を始める。

 まさか、こういう形で、男子のレースが先に来るとは思わなかっただろうな。

 もしかしたら、3年の先輩たちはこうなることを予想していたのかもしれないけど、私たち1年からしたら、急に1決になるとはちょっと困りもの。

 感覚を確かめたかった人もいるだろうし、緊張を解きたかった人もいただろう。

 私の感覚では、7月にあった八商大会とはわけが違う。これだけ立派なプールでちゃんとしたレースができるんだから、緊張する人は緊張する。

 とくに、長水路に慣れていない香奈ちゃんはより緊張するだろうな。なんて思いながら、たまたま近くにいた香奈ちゃんに声をかける。


「まさかの予選を泳がずに決勝やってね」

「変に緊張すること言わないでよ~。私だってハラハラしているって言うのに。こんなことを言うのはなんだけど、棚橋先輩とビリ争いしてるかもしれないのにさ」


 たぶん、プログラムを見たのだろう。1バックにエントリーした2組中、2組の3人でレースうするうちの両端で泳ぐ2人。

 まぁ、エントリータイムに関しては、少し色を付けて、遅めのタイムで提出しているから。もちろん、予選レースの中で下剋上はありえた。

 ただ、予選が解体され、1発決勝になれば、話が別だ。

 少しでも本人たちの気持ちが紛れていればいいと思っていたんだけど、まさか決勝に行くなんて考えていないから、これがあだになったりしないよね。なんて思い始めている。

 まぁ、そうなったらそうなったで、気楽に楽しんでおいでって声をかけるだろうな。なんて思いつつ、プログラムをペラペラとめくる。


「咲ちゃん、あれやったら、スタートリスト見てこよか?」


 開会式も終わり、私がプログラムを持ち、沙雪先輩が時間管理をしていることで、愛那はどうしても手持ち無沙汰になっているようだ。


「う~ん。ちょっと待ってくれへん?たぶん、まだ出てへんと思うわ」

「あぁ、そうか。ほんなら、ちょっと時間空けてみてくるわ。あと、どうする?結果見てくる?」

「せやな。スタートリストと決勝出る選手の予選タイムだけは欲しいかな。全選手はさすがにいらんけど」

「了解。とりあえず、レースが始まってからやね」


 たぶん、それまでやることはないんだろうけど、まぁ、マネージャーが3人もいれば、誰か暇になってしまうか。

 ただ、いつもテンションが高い愛那にはチームのムードメーカーとして、ちょっと緊張するだろう空気を取っ払ってほしいかな。なんて思いつつ、男子のメドレーリレーのレースを待つ。

 ただ、その中で、招集場所から出てきた人数が少ないな。なんて思いながら、プログラムを見る。

 ……あっ、そうか。そうだった。この大会、いつもの400mじゃなくて、200mのレースだった。

 いつもの半分で、一人ワンウェイで終わるんだから、そりゃ、スタート側、ターン側に分かれてスタンバイするよね。なんて思いつつも、今までの感覚とは全く違うな。なんて思った。

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