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Episode 131 Misaki side 優勝のご褒美

 そこから15分くらい、遊菜は、いろんな角度からツーショットだったり、賞状の写真を撮ってようやく落ち着いたのか、一息ついた。


「もう満足?」

「せやね。まだ夢見心地やねどな。でも、こう何枚も写真撮って、いろんな人からメッセージ来て、これで明日、全部消えてたらどうしようとか思ってまうよね」

「まぁ、大神が言いたいことはわかるわ。俺もこうして、冷静を保ってられてるけど、まだ実感がないって言うのが本音やし、ほんまに夢ちゃうんかなって思ってまうよね」


 現実的な直哉でもそんな感覚になるのか。なんておもいながら、なんとなく視線を降ろすと、本当に夢じゃないのか確かめたのだろうか、腕に何個か赤くなった痕が残っていた。

 直哉でもこんなことするんだ。なんて思った時でもあったけど、それほど、自分で現実を受け入れられていないのか。って思った。……かくいう私も、まったく受け入れられていないんだけどね。


「とりあえず、優勝祝いで長浦先生連れて、どっか食いに行くか。一応、先生には話は通してるからさ」

「あっ、そうなん?ほんなら行こうや。ってか、いつの間に話してたん?」

「部屋に戻ってきたらそう言われたわ。なんか、親父みたいでちょっとおもろかったけどな」


 なんだろう。なんとなく想像できてしまうのは。まぁ、それくらいの年齢差と思ってくれていたらいいよね。

 そして、その話を聞いた私と遊菜は、急いで準備をしてから、部屋を出て、集合場所になっているホテルのロビーに向かい、長浦先生から祝福をもらい、そのままご飯に行くことに。


「ごめん、お待たせ。先生もお待たせしました」

「ええよ。かまへんよ。俺らも今来たところやし。とりあえず行こうや。ビックリさせたるからな」


 どうやら、長浦先生は、自分が驚いたお返しというわけじゃないけど、驚かせたいみたい。

 ただ、その驚き方というのは、私の想像をはるか上に超えて行った。

 焼き肉の食べ放題かななんて思っていたけど、都内まで出たうえで、一度は耳にしたことがある有名ホテル。ここでディナー予約をしてくれたみたい。


「どうや、びっくりしたか?」

「ほんまに、ええんですか?こんな一生かかってもこられへんようなところ……」

「俺も驚かされたからな。正直言うて、ここまで行くとは思ってへんかったし、とりあえず、くれぐれもほかの部員には内緒な?」


 まぁ、そりゃそうか。部長や成海先輩にばれたらどうなるかわからない。

 それに、この話が広がって、ほかの部員にせがまれても先生が大変だろうし。

 そんなことを思いながら素敵な料理に舌鼓を打ち、私としては、忘れられない夜を過ごした。


 これで直哉も遊菜も出場する種目はすべて出た。そこに「インターハイ優勝」という最高の肩書きを2つも引っ提げて大阪に帰ることになる。

 たぶん、インターハイ後、初めて学校に行くのは、お盆休みが明けた部活になるだろう。

 まぁ、直哉も遊菜もいろんなところで引っ張りだこになるだろうから、休まらないだろうけど、まぁ、其れだけのことをやってきたってことになるかな。

 とりあえず、昨日と今日、私は直哉にも遊菜にもずっと驚かされた。さらにまさか宮武選手と顔なじみなるとは思ってもいなかったし、こんな豪勢なディナーに連れて行ってもらえるとは思っていなかった。

 驚きだけを残した大会は、私の記憶の中にずっと刻み込まれる形で幕を閉じた。


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