恋ワズライとルームシェア①
幼馴染全年齢BLです。
お好みの方がいらっしゃいますように。
これは恋にまつわる病気をめぐる、俺と幼馴染のルームシェアの話。
「樹! オレ、【恋ワズライ】になった!」
ある朝、教室の隅の席で本を読んでいた俺のもとに高瀬颯真がすっ飛んできた。普通科からわざわざ棟が違う特進科クラスに走ってやって来たらしく、肩で息をしている。
突然な幼馴染のイケメンの登場に、心の準備ができていなかった俺は「へ……?」と裏声が出てしまう。
颯真は髪色が昨日と違っていて、なんだか明るくて淡い感じの茶髪になっている。ワイシャツの上に着ているニットのカーディガンも新しいブランドものに変わっており、胸元にはシルバーのお洒落なネックレスが光っている。頭の上から黒一色の地味な俺、柊木樹とは大違い。
ってか俺の名前、「木」多すぎ……というのはさておいて。
「日本語おかしいだろ。恋煩いしてるって言えよ」
「違う違う。奇病の方。ホラ、百万人に一人がなるってやつ」
知らねぇの? とニヤニヤしながら茶化してくる颯真は、病院でもらったらしい診断書と、恋ワズライの定義を検索したスマートフォンの画面を誇らしげに見せつけて来た。
「これ! 【恋ワズライ】。……発病時に初めに認知した人間を愛してしまう病気。胸部の痛みや動悸の悪化、過緊張、興奮など、日常に支障をきたす身体・精神状態に陥りやすい。二週間以内に自然治癒するが、暴走を避けるため公休が認められている。被恋者による定期的なケアによるストレス管理が望ましい。だってさ」
それくらい俺だって知っていた。
その病名が世界公認のものとなってから、まだ二十年程度だが、テレビやネットで定期的に話題になる有名な病気だ。
ある人はロマンティックだと言い、ある人は人生が終わると言う。俺はどちからというと後者の認識をしていた。
「え……。学校来て平気なのか? 早く家帰れよ」
診断書とスマートフォンをのぞき込みながら、俺が淡々と感想を述べていると、颯真は「リアクション薄っ!」と、たいそう不満そうに口を尖らせた。ついでに動きがうるさい。
だがその後、気を取り直した様子で俺の肩にポンと手を置き、俺の耳元で囁くようにして言った。
「じゃ、行こっかなー。被恋者の家に。……というわけで、樹。オレとルームシェアしてくんね?」
「は?」
思いも寄らない発言に、俺の顔は引き攣ってしまう。
「颯真、俺に惚れたの……?」




