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初授業は異世界でした。

完全なぼっちだ。

それはそうだ。転校初日にクラス転移でしかも、授かったスキルが【ローキック(左)】レベル1だ。


そして何よりも、この世界の知識が足りない。


「ハルト君?ちょっと来て」


王様の話しを聞いたあとクラスメイト達は何組かのグループにわかれた。たぶん仲良しグループだろう。そして各グループごとに城を出て行った。


まるで修学旅行の自由行動だな。


最後尾でしかもぼっちだった俺には王様の話しが全て聴こえたわけではないけど少し理解した事がある。


やっぱり俺達はクラス転移で異世界に召喚されている。

召喚された理由は魔王討伐。

ラノベなら良くある話しだけど実際言われたら無理だろって思うよ。でも他のクラスメイトは朝礼の教頭の話しくらい聞き流していたな。


そして衝撃的だったのは、このクラス転移は今回で4回目。初めての召喚は約300年前だと言うから驚いた。

たぶん地球とこの世界の時間軸が違うのだろ。そうじゃないと若菜先生達が人間の寿命で生存しているのがおかしい。


色々疑問があるのだが、若菜先生が今から説明してくれるらしい。さすがクラス担任だ。


「え?」


先生が城の一部屋の扉を開けると転移前の教室だった。


「はい!これが私が2回目に授かった【想像魔法】です。私は教員としてお部屋は教室に変えさせてもらいました。はい拍手!」


たぶん若菜先生は明るくて良い人なのだろう。

でもなんだろう。俺は少し苦手かも知れない。


先生と教室もどき?に入ると女子生徒が座っていた。

確か2周組って言われていたナナミさんだ。

そうか彼女はお城に残ったんだ。


「ナナミ!今日の日直は貴女よ。それでは〜挨拶よろしくね〜!」


「は、はいです。起立…礼です。……ちゃ着席です!」


「はい!良くできました!」


…………………何だこれは?


いきなり授業?が始まった。これは流れに任せるべきなのか?


「赤月くん。わたしは木田ナナミで、です!お隣り同士よろしくね!」


「あ、ああ木田さん。よろしくね」


(いや、お隣りって言われても2人しか生徒がいないんだが?この娘は天然系か?)


先生は自分のスキルを黒板に書いた。

【聖女】レベル45

【想像魔法】レベル15

【結界師】レベル22

【音響士】レベル1←NEW


そして木田さんと俺のスキルも黒板に書いた。


ナナミ

【回復魔法】レベル4

【盾使い】レベル1←NEW


ハルト

【ローキック(左)】レベル1←ぷっ


あ!やっぱり…俺、この先生嫌いかも!


「この通り、この世界では15歳を過ぎると女神さまからスキルを必ず1つ授かる事ができます。しかし私達はこちら側から見ると召喚された異世界人となります。

そして召喚される度にスキルを授かる事ができます。」


なるほど、生涯で1度きりのスキルが俺達は複数得る事ができるのか?


チートだな…


「先生。魔王を倒すと日本に帰れるんですか?」


いい質問だと褒められたけど…たぶん初転移者は皆思うだろう。


若菜先生が言うには、魔王を倒すと再び日本に帰れる。そしてあちらの時間ではこちらの5年ぶんが1時間ほどの時間経過だと教えてくれた。

だとすれば120年前と言っていた金髪君をビンタした女性はこちらでは長寿の種族になるのだろうか?

先生はこちら側の人も地球の人間と同じくらいの寿命だと言っていたし。


そして地球に戻るとこちら側で過ごした記憶とスキルは残ったままだそうだ。しかしスキルは地球では使えない。先生は地球では魔力回路が開く事はなく、イメージは出来ても発動はしないらしい。


俺は地球では常にMP0何だと無理やり納得してみた。

実際あっちで魔法なんか使っていたら恐らく良い事はないだろう。


平和が一番だ。


そして若菜先生は教壇でいきなり黒板に腕を打ち込んだ…良く見ると黒板が歪んでいるような気がする。そしてその歪みの中からネックレスを取り出して俺に渡した。ヘッドには2Bと彫られている。


それを見た木田さんは胸元から同じネックレスを取り出して「お揃いです!」と言いながらこちらに見せてくれた。


「ハルト!これはね私が造ったネックレスよ。生徒達は皆つけてるの!ハルト君で2-Bは38人になりました。」


若菜先生はネックレスを【想像魔法】で造ったらしく、生徒全員につけさせているらしい。

そして黒板の右上に38と書いていた。


「ハルト!もしこの世界で事故や事件に巻き込まれて命を落としても、魔物に襲われて命を落としても、絶対に生き返れない。怪我は、魔法で回復できる。でも蘇生だけはできないの。そして一番悲しいのは、あっちに戻ると誰が亡くなったか思い出せないの。記憶そのもの…存在した痕跡が無くなるの。」


やはり世の中甘くはない。なんか現実を突きつけられた感じがする。クラスメイトは軽い気持ちで…

いや違うな怖いのを出さないように振る舞っていたんだ。

きっとそうに違いない。


若菜先生は話しを続けた。

亡くなった人は戻ると思い出せない。だから数字を書いて生徒の人数を忘れないようにしているらしい。


あっちに戻っても数字だけは忘れないように…

顔や声、名前が記憶から無くなっても、数字で遺しておきたい。それが先生の努めなんだと…



             つづく


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