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転校初日のクラス転移

まぁ…親父の仕事だからしょうがないけどさ。


転勤が多い親父について行くように俺は小学校の頃から

転校を繰り返していた。


今回で何度目だ?


流石に慣れたけど、前の学校に落ち着くんだと思っていた。


初めて仲の良い友達と呼べる奴らができたんだけどなぁ

俺はまたいちから友達を作り直しだ。

ボッチでも構わないが、それ相応の…青春くらいは味わう資格はあるだろう…


「ハルト君。2年B組よ。ここが貴方のクラスよ!」


元気な先生だな。


でもね先生…知らない環境に放り込まれて、一番最初の挨拶が一番緊張するんだよ…


「あ、赤月ハルトです!本日から皆さんと同じクラスで共に学んでいきます。ハルトって呼んでくさい!」


(だめだ…かんじゃったよ…)


「臭うな…」


え?俺?


かんだうえで深々と頭を下げた俺は、恐る恐る頭を上げた。窓ぎわの金髪君が言ったのかな?


「確かに臭うな…」


そんなに臭うの俺?


たぶん、今言ったのは金髪君の隣りの金髪君だ。

いきなり目をつけられたのだろうか?


金髪2人組は机に足を上げながら教壇にいる俺を睨みつけている。


ここは…いきなり媚ってパシリになるほうが、ここの学園生活が穏便にすむかも?


暴力は嫌だし…


「元気な挨拶ねハルト君!君の席は…」



「お前ら来るぞ!」


何を言っているんだ最初の金髪君は?

俺が席につくのが、そんなに騒ぐ事なのか?


………………



たぶん教壇から一歩しか踏み出していないんだ。


それなのに、


何で俺は知らないおじさんの上に座っているんだ。


「ちょっと異世界の方…よけてくれないか?」


「あ、あ!すみません。」


だから…これは何なんだ。


「は〜い!出席をとるから王様の前に周番順にならんでね!」


座り込む俺の数メートル先で大きな声で俺達を呼ぶ女性


クラス担任の…たしか若菜先生だ。


「まぁそろそろだと思っていたんだけどさ!」


「ですね!」


「もう今日のドラマ見たかったのに〜!」


クラスメイトは各々に愚痴りながら先生が指示した場所へ2列に整列している。


「皆〜流石ね!」


「聖女ワカナ様。我々の召喚に応えて頂き誠にありがとうございます」


ちょっと遠くて良く見えないが誰かが先生の前で片膝をつき感謝を示しているようだ。


「おう!エレナさん。こっちだと…120年ぶりか?」


片膝をついている人が金髪君に近寄る。


……バチン!


ビンタだ。あれは間違いなくビンタだ。


「カ、カズマ!!よくもこの前はわたしの…裸を…」


「何だよエレナさん!120年前の事を愚痴愚痴言うなよ!」


「う、うるさーーい!」


うわぁ、金髪君がまたビンタされてる。

でも、どうしてこんな知らない場所にきて皆、落ち着いているんだ?


普通におかしいだろ?


「フォフォフォ…異界の皆様。初めましてじゃな。余が現国王アラザベル・ステイラー11世じゃ。よろしくの〜」


「うわぁ〜前の王様そっくりだし!ウケる〜」


たぶんクラスの女子達が国王と名乗る男性を指差し笑っている。


「フォフォフォ…前か。前と言うと恐らく曾祖父さんかのう。余は会った事がないからのう。そんなに似ておるか?それは余も嬉しいのじゃ。」


「似てるし!声も似てる。マジウケる!」


だから、何故この女子達は王と名乗る人にこんなに親しげにできるんだ。


落ち着け…まずは状況を把握しないと完全に孤立する。

遠目に見ても恐らく状況把握ができていないのは、俺だけだ。他のクラスメイトには明らかに落ち着きがある。

普通ならいきなり知らない場所にきたら動揺くらいするものだろう。


「じゃあいつもの鑑定いくよ!まずは…4周組からね!」


先生の指示で4人のクラスメイトが王と言っていた人の前に置かれた水晶玉に手を触れた。


「うげ!今回は俺…ハズレだ【斧使い】だぜ」


ちょっと眩しくて良く見えないが今の声は金髪君の隣りに居た金髪君だ。


「いやハズレでも今回で4つ目のスキルだろ?しかも他3つはレベル40超えてんだし…」


「まぁ良いけど…【斧使い剣豪火雷魔法使い】で今回は魔王倒すかな?」


「てか、お前の今回のスキル【会計士】って…良かったなお前あっちじゃ数学…ってか全教科ヤバいもんな?」


何か…金髪君達が組み合いながら揉めている。いやじゃれているのか?


「良いんだよ!俺は【勇者】スキルがあるから別に追加スキルがハズレでも!」


「勇者会計士爆誕でござる!」


「おいオタクの相川!お前はいつも一言余計なんだよ!」


違うクラスメイトが金髪君に絡まれた。でもやっぱりじゃれてるだけで仲は良さそうだ。


「4周組はオッケーね。じゃあ次は3周組の番よ。どんどんいきましょう!」


若菜先生の指示でどんどん鑑定が進んだ。


まだ説明は受けていないが、これはクラス転移ってやつだ。ゲームやアニメであるあれだ。実際にあるとは思っていなかったし、ましてや自分がそれに巻き込まれるなんて考えもしなかった。


30人程のクラスメイトの鑑定が終わった。


残るは俺を含めて2人だ。


「ナナミは2周組ね。1周目はしょうがないとして…前回は体調不良だから、久しぶりにこっちに来たことになるよね?大丈夫!泣かないの。他の生徒達が何とかしてくれるから。」


若菜先生の前で背中を丸くして震えているクラスメイトきっと怖いのだろう。

でもこれが普通の反応だ。


女子生徒は若菜先生に付き添われながら水晶玉に手をかざした。


「良いじゃんナナミ。【盾使い】だよ!前は【回復魔法】だったんだから組み合わせたらしっかり自衛できるわよ。だから泣かないの!」


きっと面倒見の良い担任なんだろう。

ナナミと呼ばれた生徒はまだ泣いているが、涙を見せながらも少し笑顔が見えた。


「良し!皆終わった?じゃあ王様から今回のお話しをしっかり聴いてまた平和を取り戻すのよ!」


「ちょ、先生!俺は?」


完全なアウェーだ。当然だ。転校初日のしかも挨拶後にいきなり異世界転移だ。誰も転校生に興味なんか持たないだろう。


いやあったとしても、この転移で吹っ飛んでいるだろう。


現に若菜先生も少し困った表情をしている。しかもクラスメイトに関しては誰も俺を見ていない。新しく授かったスキルとやらに興味津々なのだろう。


「あ、赤月くんだよね?いきなり転移で驚いてるよね。

とりあえず鑑定してもらいましょう」


…………先生もやっぱり忘れていたんだ。


最初くらい、いや物語の主人公じゃなくていい。でも

本当に最初くらいはクラスメイトに馴染めるように、少しでも良いスキルがほしかったです。


若菜先生は笑う事もなく固まっていた。


詳しくはわからないけど、この世界を救うのが目的なんだよね?


鑑定結果


赤月ハルト


スキル【ローキック(左)】レベル1


俺は、この世界で何をすれば良いのか?


                   つづく








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