第九十八話 大正解ですわ!
「どうして気がついたんですか、クリスタロスさん?」
「なっ、、んのこと?ですわ」
ララが立ち去った後、突如として現れたネストさんに私は今詰められている。
「‥ですから、気づいてましたよね。私が演じていることを」
「演じる?‥わからないわーですわ」
露骨にネストさんはイラついた顔を見せる。
(あかん!誤魔化せてない!)
「そ、それじゃあもうすぐ昼休みも終わってしまいますし、ここらで失礼します。ですわ」
「まだ十分以上はあるじゃないですか」
そう言って立ちあがろうとした私の肩を抑えてきた。
「あっほっほんとやですわ‥うっかり‥ですわ」
するとネストさんは大きく舌打ちをした。
私はビク付き、固まってしまう。
「そろそろ話してほしいんですけど」
私はもう誤魔化しはきかないと察して、話してみる事にした。
「気がついたのはなんとなく‥です。なんか嘘っぽいなというか‥演技みたいだと思いまして‥ですわ」
流石にゲームで見た設定だから知っているなど言えるはずもなく、適当な理由をつけて自分は嘘に気がついたということだけを伝えた。
「何となくですか‥それで、何処で気がつきましたか?」
「えっと‥こけたところからですわ」
「こけたところって!‥一番最初じゃないですか。確かに最初からやり過ぎたとは思っていましたが‥」
ネストさんは驚いた様な顔を見せていた。
(しまった!最初から気づいてたみたいなこと言ったら、余計警戒されるやん!)
すると突如ネストさんは塩らしい態度を始める。
「貴方には本当のことをいいますね‥実はラリヤは前の学校では友達が1人もできなくて‥だからこの転校をきっかけに今度こそ友達を作ろうと思って、こんな演技をしたんです!」
ネストさんは涙ながらに、私にそう語る。
けれど、これもまた嘘だ。
ネストさんはここの前に通っていた学園では全校生徒と友達だったのだ。
(まぁ友達と言うなのしもべやけどな)
「へっへーそうなんですねですわ」
私は騙された演技をする。
「‥ダメですか。流石にもう貴方には演技は通じない様ですね」
(直ぐにバレてもうた!)
ネストさんは少し考えた様な顔を浮かべる。
けれどその表情は真剣というよりかは、何処か嬉しそうな顔になっていた。
「もう単刀直入に聞きます。何処まで気がついているんですか?」
私は意を決して、答える事にした。
「‥演じている理由は、皆を自分のしもべにしたいからって事くらいは気づいているで、ですわ」
するとネストさんは不気味なまでの、満面の笑みを浮かべながら「大正解だよ!!」と叫んだ。
そして興奮気味な状態で話し出す。
「やっぱり気がついてたかよ。不味いよぉ、どうやって切り抜けよう。まだあいつらとの信頼関係は薄いから、あーでもあいつとあいつはもうラリヤに惚れてるだろうし利用できるかもしれないよぉ」
途端にネストさんの口調は荒くなり、声も先程までのお淑やかなものではなく、とてもがならせた声となっている。
「言っとくけど、別に私は脅しのためにこのことを伝えたわけじゃないですから、ですわ」
「じゃあ何のためなんだよ?」
やはり勘違いしていたのかと思い、私は話したわけを語る。
「もう私には演じてる事バレてしまってんねんから、ありのままのネストさんの姿で話してやって言おうと思ってんですわ。まぁもう本性丸出しになってるけど、ですわ」
すると再びネストさんはニヤついた顔を見せる。
「ありのままで話して‥か‥なら話すよ。ありのままの姿で、どうせマスクの件も嘘だってバレてるだろうしだよ」
そう言ってネストさんはマスクを外す。
すると見えたのは、とても鋭利な歯と、とても可愛らしい笑顔だった。
「どうだ?これがラリヤのありのままの姿だよ!」
ネストさんは鋭利な歯を見せつけるかの様にしてそう言った。
「なんや。マスク外した方が可愛いやんですわ」
そんなネストさんの表情を見て、ふと思ったことが口から溢れた。
マスクを外しても、ネストさんは未だニヤけ面を浮かべていたのだが、その笑顔がとても愛らしいもので、歯の鋭利さなんて気にならなくなっていた。
ネストさんは思っていた返事と違った答えが返ってきたからか、ポカンと口を開けて立ち尽くしている。
「ん?」
(あっ!ていうか私何様やねん!可愛いやんとか上から目線で言って!恥ずかしい!)
「あっいやごめん。なんか上から目線で話しちゃって‥ですわ」
「いや、はは、ふはは‥ひぃはっはっはっはっはっ!!!!!」
ネストさんは大口を開けて、お腹を抑えながら、とても大きく笑い声を上げ始める。
「面白い!面白い!そんな事言ったのはクリスタロス!お前が初めてだよ」
「あっ‥そう‥」
私は戸惑いながら返事を返す。
するとチャイムの音が鳴り始める。
昼休みも終わりだ。
「あっ今度こそほんとに時間ですね。ですわ。それじゃあ私はこれで」
そう言って私は立ち上がり、にゃあ吉を抱える。
けれどまた、肩を抑えられて席に座らされる。
「いや、もう少し話そうよクリスタロス。いや、クリスタロスさん」
そう言ってネストさんは不気味な笑顔を向けた。




