第八十二話 笑顔ですわ!
「それにしても、まさか本当に可能だとわな」
王様は自身に描かれた紋章を見て、そう呟く。
「なっ!やってみるもんやろ?これで助かってんで!やったー!」
私は愛も変わらずに喜んでいた。
「落ち着けはしゃぎすぎだ。‥まぁでも良かったなリア」
にゃあ吉は舞い上がる私を止めながら、そう言った。
「けれどまさか、僕様が従者になるとはな」
すると王様はその様な事を言い出した。
そして続けてこう話す。
「まぁリアは、僕様にとって命の恩人になったわけだから、恩人が主人と言うだけで、別に悪い気はしないな」
ナギアはそう口にする。
私はこれを聞いて、真剣にある事を伝えようとするため、ナギアの前に立つ。
「ナギア!さっきもにゃあ吉に同じ主人になることの確認とか、今も恩人が主人になるとか言ってたけどな。私たちにそんな上下関係はないで!第一、契約の際に友である事を認めたやろ?」
突如として、真剣に話し出した私に驚きを見せながらナギアも言葉を返す。
「それは契約の際に必要な条件であって、そもそも契約魔法とは、主人とそれに使える者を決める魔法のはずだろ?」
「‥でも!私たちはそんな関係にしたないねん!」
私がナギアの目を見てそう話すと、「じゃあどう言った関係がいいんだ」と聞き返してきた。
私はそれに答える。
「私たちは!ト!モ!ダ!チ!‥になりたいねん!」
私がそういうと、少し戸惑った顔をナギア見せた。
そんなナギアに、にゃあ吉は笑みを浮かべながらこう言った。
「ナギア。リアは対等な関係を望んでいるんだ」
その言葉を聞いて理解したのか、ナギアもまた笑みを浮かべる。
「なるほど‥そう言えばお前らも、そう言った関係の様だったな」
ナギアは立ち上がり、私に手を差し出した。
「お前がそう言ってくれるのであれば、友として、改めてよろしく頼む。リア」
「うん!魔法とか関係なく、対等な関係‥友達でいよな!ナギア!」
そう言って私とナギアは握手を交わした。
「それじゃあナギアも回復したし、2人とも!早速やけどノットさんの様子を見に行こ!」
私は2人に声をかける。
「そうだな。‥あの場を離れて少し経つ。ナギアの様に追い詰められていなければいいのだがな‥」
「むしろ僕様であのあり様だったんだ。もっと酷いことになっているかもしれない」
にゃあ吉とナギアなりには、一応心配はしている見たいだ。
「じゃあ2人ともいそご!」
私たちは急いで玉座の間へ向かう。
ナギアはまだ回復しきっていない様子で、少し走り方がぎこちなかったが、「気にするな」と言って目的の場所まで共に走った。
そして私たちは扉の前に立ち、それを急いで開ける。
すると香ってくるのは鉄の匂いと、生暖かい熱気。
何処か不快感を感じる場にそこは変わり果てており、私はこの場を確認するのに、少し戸惑いを感じてしまう。
けれどノットさんが心配で、恐る恐るながら、その場を確認する。
すると中央に2人の人影があった。
片方の影は膝をついて、何とか息をしている状態だ。
それは紛れもなく、『黒薔薇の最後』のボス、カースだ。
先程の酷い怪我を負っていたナギアと同じほどの出血をしており、今にでも意識を失ってその場に倒れ込んでしまいそうだ。
そしてそれを、上から見下す様にして立っている人物がいる。
それがノットさんだ。
まだ殆ど傷を負っておらず、あると言っても擦り傷程度で倒れる気配はさらさらなく、力強く立っているが私はそれを見て、安心の次に恐怖と言った感情が押し寄せてくる。
血塗られた惨状の中、未だ無傷で敵と対峙し、そしてその相手を見下す様に立ち尽くすその姿は、いつものノットさんを知るからこそ、その違いに恐怖を感じざるを得なかった。
ノットさんが無事かどうかなんて会話が馬鹿らしかったと思えるほどの光景に、私たち3人はただ衝撃を噛み締めるしかなかった。
するとノットさんは私たちに気がついたのか、こちらに顔を向けてくる。
「おっ。リア君達じゃないか。王様の怪我治ったの?良かったね」
そう言ったノットさんは手を振りながら、いつもの笑顔を浮かべていた。




