第七十六話 命ですわ!
私が頭をひねらしている間に、王様とカースは戦いを再開する。
カースは身に、ドス黒い霧の様なもの大く纏い、それを自在に操りながら王様に攻撃を仕掛け、自身は殆ど動かないでいる。
そして王様は傷まみれでありながら、それを意図も容易く避けていく。
その中で王様も魔法で攻撃を仕掛ける。
手をカースに向けると、その向けた先に魔法陣が生成され、そこから光のレーザーの様なものが飛び出し、カースを襲う。
カースはそれを、見に纏う霧で簡単に防ぎ、再び攻撃を仕掛ける。
そして遂に、王様にその攻撃が僅かだが掠ってしまう。
その後、王様はその場に倒れ込んでしまった。
相手を睨みつけ踏ん張りながら再び立ち上がろうとする。
にゃあ吉とノットさんはそれを心配そうに見守っている。
何かアドバイスを考えているのか、にゃあ吉は悩んでいる様な顔をしていた。
「頑張れー!ですわ!」
私はそう叫んだ。
突如として大声で応援を始めた私に、王様は驚いた様な顔を見せる。
考えに考えぬいたが、私が今出来る事で大した事は何一つとして浮かばず、代わりに私は、ただ精一杯の思いを叫んだ。
「ここで負けたらまた踏んづけるでー!ですわ!」
「勝たんかったら何後、私はナギアは弱いんやなーって思いながら過ごすことになるでー!ですわ!」
「いろんな人にナギア負けたらしいでーって言いふらすで!ですわー!」
「リアそれは殆ど脅しじゃ‥」
「絶対に負けるなナギア王ー!」
そんないくつも応援を繰り返しているうちに、王様はふと笑顔を見せた。
「馬鹿みたいに叫ぶな。声が枯れてきるぞ」
王様は私の方へ振り返り、そんないつもの様な嫌味を交えて話し出し、笑顔向けた。
そしてゆっくり立ち上がりながら、話を続ける。
「まぁでも、国民の期待に応えるのが王としての役目だからな。そこで見ているがいい王として相応しい僕様の姿を」
そう言った王様の後ろ姿は、正しく王としての器を感じさせた。
「終わりましたか?茶番は?」
「茶番よりも酷いものだった。けれどそんなものでも案外嬉しいものだな。応援とは‥こうもやる気が出るものだと思ったよ」
そして王様は、自分の周りに魔法陣を生成し始める。
その魔法陣から発せられる光は太陽よりも眩しく、そして暖かく、この場を包み込んだ。
王様はその光に包まれながら少しずつ容姿に変化をもたらしていく。
真っ白な髪は伸び、衣装はより豪華になっていく。
光が弱まると、まるで伝説の勇者の様なオーラを漂わせた王様の姿がはっきりと姿を現した。
まだ戦いを始めてすらいないのに私は、この戦い勝てるのではないかと思うほどのもので、王様のその姿には迫力があり、カースの不気味さなどを簡単に飲み込むほどのものだ。
「それを使ったか‥」
そんな中、にゃあ吉少し険しい顔を向ける。
どうしたのかと言った質問をすると、にゃあ吉は答えてくれた。
「あの技は魔力を使うものではないんだ」
「えっ?魔力を使ってない?‥やったらあれは何の力なん?」
「強いて言うのなら、生命エネルギー‥命を対価に力を増強させる大技だ」
「っ!ちょっと!王様!」
私は慌てて王様に声をかける。
「勘違いするなモンスター。別に共倒れを望んでこれを使ったわけでない。勝つための手段だ」
そうは言われても、心配さずにはいられない。
「そんな顔をするな。‥情けのない顔だな。早くそんな顔しなくていい様にしないとな‥」
王様は構えをとった。




