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第五十一話 庭園ですわ!

 扉を開けた先に広がっていたのは、あらゆる色で輝いた花が咲いている庭園だった。


 輝いているというのは何も比喩表現などではなく、本当に太陽の光で反射して輝いているのだ。


 見渡す限り一面に広がっているこの花たちは、全て魔力を含んでおり、宝石の様になっていて一輪一輪が結晶化している。


 宝石箱の中へ迷い込んだかのようにさえ思えてくるこの空間に、私は偉く感動していた。


 前世も含め、これほどまでに綺麗な景色を見るのは初めてだ。

 今後これを超えるものを見れる気がしない。


 私はポカンと口を開けたまま、立ち尽くす。


 少ししてから私は、辺りを見渡しながら歩いた。


 風で花たちが靡いて、光が舞っている。

 何とも幻想的で心が踊る。


「すごいな!にゃあ吉!」


 私は後ろにいるにゃあ吉に大興奮で声をかける。

 この感情を共有したかったのだ。


 どうやらにゃあ吉も見入っていた様で、私の声でハッと我に戻り、私の言葉に頷いた。


「お気に召していただけてよかったです」


 ジニアさんが満足そうにして、私に話しかけてくる。


「この城に支えている身ですから、ここには数えきれないほど訪れているのですが、この景色には未だ感動が衰えることはありません」


 ジニアさんも辺りを見渡し、花たちを堪能しながらそう口にした。


 時間的にも、そろそろ別の場所に移らないと他の場所を見て回れなくなってしまうと言う話がでたが、私たちは王が準備できるまでの間、ここにいさせてもらうことにした。


 (もうここへはこれないかもやしな。今のうちに目に焼き付けとかなやで)


 私はそう思って、少し先まで歩いてみる。


 やはり綺麗な景色が続いており、私はそれに見惚れていたのだが、ふと気になるものが目に入った。


 視界に、少し開けた場所が映り込む。

 そのエリアには花が咲いておらず、代わりに芝生とベンチが用意されていた。


 ここはこの花畑の中心部、おそらくここで腰掛けながら景色を楽しめむために用意されたのだろう。


 私はそこに座ろうと近づくが、先客がいた。


 そこにいたのは、ベンチを丸々使って、横になり寝ている男性。


 真っ白い服に包まれており、生地や装飾がとても豪華だ。

 おそらくとても高級なものだろう。


 身に纏っているものと同じく、髪の毛から長いまつ毛まで真っ白で、尚且つシルクの様なきめ細かまかさと艶がありとても綺麗だ。


 この庭園の景色とよく馴染んでいる。


 目鼻立ちはとても整っていて、いかにもな美男子と言った感じだ。


 美しい顔立ちだなと、私はにゃあ吉が人の姿になったのを見た時依頼の感想がでる。


「何だ?何故先程からじっと僕様を見てるんだ?」


 その男性を見つめていると、相手は私に気づいた様で、そう声を出した。


 (ん?どうやって気づいたんや?)


 私は音も立てていないし、相手は目を瞑ったままなのに、どうやって気がついたのだろう。


 私は不思議に思いながらも、返事をした。


「私もベンチ座りたいなと思って‥ですわ」


 私は遠回しに、ベンチの独り占めをやめる様に促した。


「早い者勝ちだ。どう使おうと僕様の勝手だね」


 そう言いながらあしらうの様にして手を振る。

 私は少しばかり苛立ちを覚えた。


「3人がけの椅子を1人で使うことないやんですわ!ちょっとよってやですわ!」


「なら僕様の上にでも座ればいいじゃないか」


 怒る私を、相手は小馬鹿にする様にして、ニヤつきながらそう告げた。

 

 私はカチンときて相手に近づき、勢いよく腹の上に座ってやった。


「うっ!」


 相手は苦しかったのか間抜けな声をあげた。


「あら座れと言ったのは貴方やんですわ。何をそんな苦しそうな顔をしてるん?ですわ」


「君僕様に向かって‥誰だかわかっているのだろうな」


 相手は苦しそうにしながら眉間に皺を寄せている。


「ベンチを独り占めする不審者ですか?ですわ」


 私は煽りを続ける。


「こんな無礼を受けたのは久しぶりだよ」


 ここでようやっと男性は目を開いた。


 瞳を見てみると、とても綺麗な色をしていた。


 にゃあ吉と同じ青色だったのだが、印象にかなりの違いがあった。 


 にゃあ吉の瞳を夜空と例えるなら、この男性は夏の青空のようなとても明るい色をしている。


「ん?どうかされましたかクリスタロス様」


 ふと向こうからジニアさんの声が聞こえた。


 私たちの喋り声が聞こえていたのだろう。

 それを辿って、にゃあ吉とジニアさんがこちらに向かってやってきていた。


「リア‥何してるんだ?」

 

 にゃあ吉は私の姿を見て早々、そう口にする。

 ベンチに横たわっている男性の上に座っているのだ。

 その反応が正しいだろう。


 けれどその後すぐに辿り着いたジニアさんはにゃあ吉とは違う反応を見せた。


「え、あっクリスタロス様‥あの、もしかしてそのお方‥は‥」


 私はどうしたのだろうと、首を傾げる。


「おい早く助けろ下僕くん」


「やはりナギア王ですか!!!」


 私は一気に血の気を引いた。

 その後ゆっくりと座っている男性に顔を向ける。


「初めましてですわ。ナギア王様」


「様付けする相手を踏みつけている気分はどうだ?リア・クリスタロス」

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