第二話 魔法ですわ!
「みんなおはよう!!‥ですわ!」
私は起きて早々に皆に挨拶しに回った。
「今日は随分とパワフルですね。お嬢様」
「うん!そうやねんアリア!私前向きに生きていくって決めてん‥ですわ!」
私は挨拶を終えた後すぐに食事を済ませ、自室に戻り支度を整えた。
(教会に行くとなるとどんな格好がいいんやろ)
今日は私が生まれてから100回目の満月。
その日になったものは教会へ赴き、魔法の力を授けてもらうのだ。
(一体どんな魔法が使えるようになるんかな。原作ではリアの魔法に触れる描写はなかったからすっごい楽しみ)
「お嬢様失礼いたします。お嬢様‥」
アリアは部屋へ入ってきて私を見るなり呆れた顔をした。
「失礼やなアリア、人を見るなりそんな顔して」
「いやリア様。教会に行くのにパジャマはダメだと思うのですが」
「え?これパジャマやったん!?」
「こんなフリフリでキラキラな落ち着いた服がパジャマとは、、服ってわからんもんやな」
「フリフリでキラキラで落ち着いている?あのお嬢様‥私が見繕ってもよろしいでしょうか」
「ほんま?!ありがとう‥ですわ!」
真っ白い無地のワンピースに着替えた後、直ぐに馬車にのり出発した。
着くまでに少し時間がかかると聴いていたが、アリアと他愛もない話をしている間に教会に着いていた。
馬車を降りてすぐに神父様が出迎えをしてくれて、私は挨拶を交わした後すぐに、アリアと共に教会の最奥へ案内された。
教会へ入り私は辺りを見渡した。
(それにしても素敵なところやな)
汚れどころか埃の一つも見当たらない。
この教会が出来てから随分とたつらしいが、今さっき建てたばかりだと言われても納得がいくほどに綺麗に整備された内装。
そして、太陽がこの建物を中心に照らしているのではないかと思うほどの、明かりが窓から差している。
屋根はとても高く真上を見ないと天井が見えないほどだ。
「リア様前を見て歩いてください」
「あっごめん。‥ですわ」
そんなことをしてるうちに最奥の祭壇の前に到着する。
「それでは只今より、リア様の魔法付与を行う。これは神々から力を分けていただくとても神聖な、、、」
それから数十分ほど魔法付与についての説明が行われる。
「それでは改めて‥これより魔法付与を行う!」
(やっとや‥ながかったぁ)
「リア様。準備はよろしいかな」
「はい。いつでも大丈夫‥ですわ」
私がそう言って少しした後、神父様は私の頭に杖をコツンと軽く当てた。
するとその杖から全身を駆け巡るように力が流れてくる。
その流れが地面に達すると私を中心に巨大な魔法陣が展開された。
「なんやこれ」
その教会を覆うほどの魔法陣は暫く光を発した後、徐々に小さくなっていく。
やがて私の周りを囲うほどの大きさまで小さくなった後、魔法陣は瞬時に姿を消し、私の胸の中へと消えていった。
「魔法付与は成功です」
まだ唖然としている私に神父様はそうおっしゃった。
「ぅぅーーー‥やったー!!」
緊張が途切れた瞬間私は飛び跳ねながら大声を出して喜んだ。
「やったー今日から私も魔法を使えるんやー!ですわ!」
「こらお嬢様様!はしたないですよ」
そう言いながら、アリアも嬉しそうに微笑んでくれている。
「リア様。お喜びになられているところ申し訳ないのですが、リア様の魔法について説明させていただいてもよろしいでしょうか」
神父の隣にいた男性が私に話しかけてくる。
見た目から察するに魔法に詳しい人か何かだろう。
(メガネかけてるし、なんかおっきな本持ってるし)
「はいぜひ教えて下さいですわ!」
「はい。まずリア様の魔法は使役魔法です」
「あっ、」
「んー」
「ん?」
それを聞いた瞬間神父様とアリアが残念そうな顔をしており、私は思わず首を傾げた。
「使役する生物ですが、動物に限ります」
「あー」
「んー」
「ん?なんなんさっきから二人とも?」
またもや残念そうな顔を浮かべる二人は私は問いかける。
「そのですねリア様。使役魔法といえばその、、」
「低級魔法じゃな」
アリアがいいかねた事を神父様が代弁した。
アリアも神父様も残念そうにしている中、当の本人である私はニコニコと緩み切った笑顔を浮かべていた。
「えっリア様案外ご満悦ですか?!」
「えーそりゃそうやん!私ずっと動物と友達になって見たかってん!えへへですわ」
(流石ファンタジー!動物と友達になれる力があるなんて!低級とか関係あらへんめっちゃ嬉しい!)
その後、順番待ちが大勢いるみたいで私達は、直ぐに馬車を出発させ教会をあとにした。
「いやーどんな動物と友達になれるんやろ。楽しみやなー」
「リア様はポジティブですね。使役魔法でここまで大喜びする人初めて見ましたよ」
「そうなんや。みんな変わってるなー」
「変わってるのはリア様ですよ。まぁこう言ったところがリア様の良いところなんだと思いますけど‥」
暫くして家に到着すると、早速両親に魔法のことを報告した。
二人は少し残念そうだったが、私の喜ぶようすを見て、呆れながらも笑みを浮かべ、一緒に私の魔法獲得を祝ってくれた。