第百七十五話 裏切りですわ!
メモ帳を確認する中で、私は気になる文を見つける。
「『ちゃぷるについて』ってこれ、学園が捉えた組織の人のことよな?」
『ちゃぷる』とは、一度学園を組織が攻めてきた際にも対峙している人物で、組織の中でも数少ない、私やにゃあ吉が関わりを持った人物になる。
ちゃぷるが捕えられていることは知っていたが、実はこの話は、少し前に無くなったのだ。
理由としてはにゃあ吉が、「ちゃぷるの件は、なんの利用価値もない」との事から、わざわざこちらから会いにいくのはよそうといった事になった。
それなのに何故このメモ帳に記載されているのか、私はそれが気になり、記載されているところを隅々まで読んでみることにした。
隅々読むと言っても、いざ読んでみれば1ページ程しかちゃぷるについて書かれてはいなかった。
けれど、それほどの記載しかないにも関わらず、私は他のページの何よりも気になってしまう事があった。
「‥ちゃぷるが逃げ出した?」
そう言った文が書かれていたのだ。
ちゃぷるを捕えたのは学園の人間、恐らく教師の誰かだと思われる。
もしそうだったとして、先生方が簡単に捕えた人間を逃すとは考えにくい。
それに捕えられているとなると、ちゃぷるは好きな様に身動きは取れないはずだ。
メモ帳にも書かれていたが、誰かがちゃぷるを逃したのではないかと考えられる。
「でもどうやって‥ちゃぷるが捕まってる事知ってる人も少ないやろうし」
私はそう思いながら、ページ最後の文を読む。
「裏切り者がいるかもしれない」
そう言った文が書いてあった。
にゃあ吉は、自分たちの周りに裏切り者がいるのではないかと考えているみたいだ。
そんなことを考えるだなんて、仲間を疑うなんて、そう言った考えがでなかったわけではないが、こう言った考えが出てしまうのは、仕方のない事なのだろう。
「でも誰が何の為に‥いや、私は自分の周りに裏切るような人がおるとは思われへんな‥」
私は人を疑うことが苦手だ。
そんな私が、この件の答えを導き出すのは無謀というものだ。
そう思いながら私は映像に目を向けた。
組織は依然として動く気配はない。
にゃあ吉達が攻めてくるのを待っているのだろう。
自分たちからは決して動かないというのが、見てわかる。
「どうなるんやろ‥なんか嫌な予感しかせぇへんわ。ちゃぷるの件も、組織に情報が漏れてた事も気になるし」
私はそう口にした途端、何故気が付かなかったのかと言ったことを思いついた。
(ちゃぷるの件と情報漏れの件、同一人物がやった可能性ない?‥)
そう思った後に、私は頭を抱えながら口を開いた。
「てことはやっぱり‥裏切ってる人がおる?」




