第百四十四話 めっちゃ簡単ですわ!
「悪魔になる為に残された禁書‥って事はにゃあ吉様は、悪魔になってしまうのですか?」
「いや、私が取得した数は5冊だからな。悪魔にはならない‥筈だ」
「5冊だからという事は、何冊かに達したら本当に悪魔になってしまうのかい?」
「あくまでも実例はないが、6冊だとは言われている」
「ギリギリじゃないかだよ!?」
私はここで、禁書をにゃあ吉に渡したカースを思い出す。
もしかしたら、あの時禁書を渡した理由はにゃあ吉を悪魔にしようとしたからではないのかと。
「まぁでも噂の範疇ならそこまで警戒する必要はないんじゃないですか?」
「そうだなだよ。特殊な魔法を覚えられるというのは気になるけど、だからと言って悪魔になるだなんて‥所詮単なる昔話だよ‥きっと」
私を含めたにゃあ吉とノットさんは、2人の会話を聞いて黙り込んでしまう。
「え、2人ともどうしたんだよ?‥」
「それが悪魔になるという可能性は捨てきれないのだ」
「ど、どうしてですか」
「クレア・ノットがカースと対峙した際、こいつは奴の心臓を貫いたんだ」
「え?えげつない事したなだよ。ノットのやろうこそ悪魔だよ」
「話に水を刺さないでくれるかな」
そう言ってラリヤの頬を引っ張り上げる。
ラリヤは慌てて謝罪する。
「‥いやあのラリヤさん。今の話聞いて不審に思う点がありませんか?」
「‥あっ!?確かにだよ」
ラリヤは何かに気がついたかの様なリアクションを見せながらそう言った。
「そうなんだ。クレア・ノットは確かに彼の心臓を貫いた、それなのにカースは生きている‥そして何よりその時に気がついた不審な点がある」
「奴には心臓がなかったんだよね」
「え!?心臓が無いって、それまでは普通に動いていたんだろだよ!?」
「あーそうだ。昔はあった筈なのだがな、なくなっていた。そして代わりの何かがそこにある様に見えた」
「代わりの何かですか?」
「うん。本来心臓がある位置に、何やら影の様なものがあったんだ。いや、それが本当にただの影なら何もなかったとも言えるけどね」
「ただの影なら私たち2人共が、違和感を持つのは可笑しい。奴の今の動力源はそれだと考えるのが妥当だろう」
「禁書で得られる不思議な魔法に、心臓に代わり、影で動く人物‥まるで何かの物語みたいですね」
「そうだな。まるでファンタジーの様な摩訶不思議なことが起こっている。そして禁書には悪魔に関連する話がいくつもある。だからこそ、リアがいう様に悪魔が現れても不思議じゃないと私は思うんだ」
にゃあ吉からの話は終わり、皆は一度黙り込んだ。
重い空気が長らら中、ノットさんが会話を始める。
「‥それじゃあそうだね。受け入れたくなかったけど、悪魔の信憑性が出てきたことだし、ひとまず悪魔と戦う対抗手段でも考えようか?」
「簡単に言ってくれるな。‥ただ怖けずに戦う事を選んだのは見事だ」
「ラリヤも考えるんだよ!まだ対してリアの助けになれてないしだよ!」
「私も頑張ります!!仮に悪魔が相手になったとしても、リア様を助けて見せます!」
皆はその様に意気込んでくれた。
「‥話してみるもんだなリア。こんなにも仲間が‥って‥おい」
「な、何?にゃあ吉?」
「お前‥目でも回っているのか?」
私の様子を見て、にゃあ吉はその様な事を言ってきた。
「あーうん。‥ひとまずみんなありがとう。めっちゃ嬉しいわ‥でも悪魔とか何とかもうややこしくて、よくわからへんねん」
私は話があまり上手く理解できず、頭の中がこんがらがっていた。
にゃあ吉とラリヤはため息を吐いて、ララは心配し、ノットさんは大笑いしていた。
「全く‥緊張感というものはないのか」
「ごめんやん‥」
「まぁまぁそう攻めてやるなよにゃあ吉くん。つまりはだねリア君。悪魔が本当に現れる可能性が出てきた。そしてそれがカースである可能性も、だから皆んなで対策を考えよって話だよ」
「なるほど!めっちゃ簡単やん!」
「‥最初からそう言ってるだろ」




