第十三話 未来ですわ!
「う、うん一応‥。私が16歳になってから先のことは、大まかにならわかるで」
私は躊躇った末に、そう答える。
「そうか‥。ひとまずその事は誰にも話さないでおく事だ。ここだけの秘密にしてくれ」
確かに、未来を知っている人物がいるとなると、未来をしろうと私に近づいてくる輩がいるかもしれない。
そもそもにゃあ吉ほど、直ぐに信用してくれる人の方が少ない気もするが、やはり話さないでいるに越した事はないだろう。
「そして、一応聞いておきたい。その事は話すなと言っておいて何だが、私には教えてほしい。リアの知っている未来で何かマイナスな事があれば今の内に教えてくれないか。解決できるかもしれない」
マイナスな事。
私は首を傾げ、腕を組みながら考える。
そして当然思いついた事は、あの事だった。
「私、死ぬんよ」
そう私こと、リアは原作ゲームで必ず最後を迎えるのだ。
それにしてもめちゃくちゃな発言だと思った。
口にすると、とんでもない言葉だということがわかる。
にゃあ吉は、思っても見なかった回答が飛び出したからか、絶句している。
「何でそんな事を、平然と語れるんだ」
「んー。どうにかなるやろっていうのもあるけど。まだ先のことすぎて実感が沸いてないというか」
「先のことなのか?いつそれは起こる?」
「確か‥。あれ?」
リアが最終的に亡くなるのは確かに覚えている。
どの選択肢を選んでそうなるかもわかっている。
けれどあの作品で、どう言った理由でリアが亡くなったのかは具体的には描かれていなかったのだ。
「なんか‥大まかにしかわかってなくて」
私はありのままを伝える。
「それで良い。教えてくれ」
にゃあ吉は真剣な眼差しで私を見つめる。
「‥一つ目が、リアが通っていた学園で何かが起こったのが原因で、二つ目が、王都で何かがせめてきたのが原因。最後が‥なんかよくわからへん‥」
私はわかっている事を伝える。
どうしても三つ目の説明が困難だった。
余りにも突拍子もない展開だったからだ。
この展開が原因でこのゲームが激安ゲームになってしまったと言っても過言ではない要素の一つだ。
「そうか。確かに大まかではあるものの、場所はわかっているのは幸いなことだ。対策はある程度ではあるが可能かもしれない。そして最後に聞きたい。リアの見た未来では、リアと私は共に行動していたか?」
ゲームを遡って考えてみる。
「にゃあ吉は出てなかったな」
遡ってみたが、にゃあ吉のような黒猫が登場するシーンは存在しない。
なんならにゃあ吉と会うまで、この世界に猫がいるとは思ってすらいなかった。
「なら安心しろリア。私がいる事で君の死の未来を、友として、変えてやるとしよう」
にゃあ吉は安心したかの様な顔を浮かべながら、自身ありげにそう語る。
「うん。ありがとう。でも無理はせんといてな」
にゃあ吉は優しいなと心底思う。
本当に良い友達を持ったなと。
それが故にどうか私のために傷つかないでほしいとも思ったのだ。
「もう話しておかなければならない事はないかリア?」
にゃあ吉は最後にその様な質問をしてくる。
私は考えた。
何かにゃあ吉に伝えておくべきがあるかどうか。
にゃあ吉の言う通り、今なら対策を講じる時間はある。
なら今のうちに、にゃあ吉に話しておくべき事があれば話すべきだ。
そんな事を考えていたはずなのに、私は一つずっと気になっていたことが頭をよぎる。
それは余りにも非現実的であり得ない話だけど、私が希望を捨てきれずにいた話。
「なぁにゃあ吉。私が死んだ時に一緒にいた人たちもここにいる可能性ってあらへん?」
それはつい口から溢れてしまった言葉だった。
こんな質問にゃあ吉を困らしてしまうだけだ。
前向きに生きていくと決めたのに、これじゃあみんなに顔向けができない。
「可能性で言うのなら、、ありはする」
「え?」
にゃあ吉のその言葉を聞いた途端、自然と涙が溢れ出した。
「リアだけがこの世界に転生していると言う方がおかしな話だ。その者たちもここに来ていてもおかしくはない」
そう言った後にゃあ吉は少し悲しい顔を浮かべながら話を続ける。
「かと言って、確信を得ているわけではない。それにリアの様に前世の記憶を持ち合わせているとも限らない。だからあまり期待はしない方がいいのかもしれない」
「それでも‥嬉しい。もう絶対会えないと思ってたから、少しでもまた会える可能性があるのなら」
私は泣き続ける。
声は出ない。唯涙が溢れて止まらない。
胸に空いた溝が少しではあるが、埋まったのを感じる。
「決めた!」
私は目を擦り、涙ぐんだまま勢いよく、立ち上がる。
「私はみんなと再び出会ってみせる!」
私はガッツポーズをして、高らかにそう宣言した。
「だからリア。いると決まったわけではないのだぞ」
にゃあ吉は少し慌てながら、立ち上がった私を宥める。
けれど私はそれを気にせず話を続けた。
「それでも試してみる価値はあるやろ?とりあえず心当たりのある事は全部試す!」
「あるのか?心当たりが?」
にゃあ吉が少し興味ありげにそう返す。
「うん!私、魔導学園に通う!」




