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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第三章 勇王国進軍の章

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80.高ランク冒険者パーティー

あらすじ


大地支配の魔術により、ダンジョンを守る壁の一角が崩れ去った。

そこへ流れ込んでくる騎士たち。

それに対して、ついに魔鹿たちが参戦する。

直接戦闘を得意とする二匹のBランク魔鹿と、後方支援を得意とする一匹のBランク魔鹿。

騎士たちと彼らがぶつかる傍らを高ランク冒険者たちが抜けていく。

彼らは昨夜の作戦通りに、ダンジョンへと侵入を果たしたのだ。

私は副思考の一つに外の観察を任せて、主思考の意識をダンジョン内へと向ける。

ここまでは、昨夜からの想定通り。

相手がどれほど強そうでも、まだ、大丈夫のはずだ。




 ダンジョンへ侵入してきた四つの高ランク冒険者パーティー。

 その先頭を行くのは六人の冒険者からなるBランク冒険者パーティー、深淵の探索者だ。

 ダンジョン機能で確認した彼らのスキル構成は、まさにダンジョン探索の専門家と呼ぶにふさわしいものだった。なにせパーティーに所属する冒険者全員が『地形把握』や『罠感知』といったダンジョンの探索において重要と思えるスキルを所持しているのだ。

 戦闘系のスキルだけを見れば、その強さは他のBランク冒険者たちと同等か少し低いくらい。だが、そこへ探索系のスキルも含めれば、その実力はAランク冒険者にも匹敵する脅威と言える。

 恐らくダンジョンの探索を専門に行っているパーティーなのだろう。

 そんな彼らの実力は、侵入者たちが第一階層を進む速度を見れば明らかだ。


 黒牙が稼いできたDPを頼りに拡張を続けた結果、今や第一階層は大迷宮と呼ぶに相応しい広さと複雑さを持っている。だというのに、高ランク冒険者たちはこの大迷宮にて、たった一つの間違いも無く、常に最短経路を選び、進んでいた。

 まるで最初から正しい順序を知っているかのように。

 だが、それはありえない。

 何せ、この大迷宮を構築したのは、冒険者たちがダンジョンに現れなくなった後なのだから。大迷宮となってから誰にも探索されていない以上は、誰もこのダンジョンの正しい道順を知っているはずがない。

 ならば、どうやって侵入者たちはこの複雑な大迷宮の中で、第二階層へと続く階段までの最短の道筋を選び続けているのだろうか。

 その謎の答えを握っているのは、恐らく深淵の探索者に所属するこの冒険者だろう。



 名前:クレスク

 種族:人間 職業:斥候

 年齢:33

 カルマ:+7

 LV:48/99

 スキル:『気配察知LV8』『体術LV8』『短剣術LV8』『忍び足LV5』『採取LV7』『解体LV7』『見切りLV7』『罠感知LV9』『罠解除LV8』『解錠LV8』『地形把握LV10』『経路探査LV5』『地図作製LV9』『記憶LV5』『筆記LV5』『威嚇LV5』『追跡LV5』『投擲LV5』『連携LV8』『信仰LV3』『森歩きLV3』

 称号:【勇神ユウトの加護】【勇王国カツラギの民】【勇神ユウトの信者】【Bランク冒険者】【Bランク冒険者パーティー:深淵の探索者所属】



 まさに深淵の探索者というパーティーを体現するようなスキルの数々。そしてそのパーティーの中でも随一のスキルレベル。

 何よりもこの斥候クレスクは、侵入者たちの先頭を位置取っている深淵の探索者というパーティーの中でも、さらに先頭で侵入者全てを先導しているのだ。

 確実にこのクレスクが、侵入者たちを最短経路へ導いている。


 最初、クレスクのスキル構成を見た時、私は『追跡』のスキルを疑った。クレスクは先に逃げたゴブリンシャーマンたちの後を追っているのではないか、と。

 だがその可能性は、ゴブリンシャーマンたちが脇道に逸れた時、侵入者たちがそれを無視して先を行ったことで無くなった。このおかげで結果的に二匹のゴブリンシャーマンたちは逃げ延びることが出来たわけだが、それはさておき。


 他に考えられるのは、私の知らない未知なるスキルの効果だろう。

 スキル名からして、クレスクが持つ『経路探査』が怪しい。むしろ、これしか無いのではないか。

 これが私の想像した通りのスキルだとすれば、迷宮系のダンジョンにとって天敵と言えるような厄介なスキルだ。

 一応大迷宮と言うだけあり、如何に最短経路を選び続けたとしても、侵入者たちが次の階層へと続く階段のある部屋に到達するまでには、多少の時間はかかる。

 それでもクレスクが侵入者たちを導く限り、大迷宮がその本来の意味での効果を発揮する可能性は無いだろう。


 そんな迷宮特効とも言うべき技能を持つ深淵の探索者の後に続くのは、五人組のAランク冒険者パーティー、魔獣狩りだ。

 そう、彼らこそが侵入してきた四つの高ランク冒険者たちの中で、唯一にして最強のAランク冒険者たちだった。その実力は、ステータスからも読み取れる。

 彼らは深淵の探索者とは違い、ダンジョン探索に必要となるスキルは殆ど持っていない。その代わりに、覚えているスキルはほぼ戦闘に特化していた。レベルも高く、上位スキルも相応に育っている。

『魔力感知』で一人一人から感じた圧で言えば、Aランク冒険者イグニスに軍配は上がるけれど、総合的なステータスで考えると、恐らくこの魔獣狩りに所属する冒険者たちの方が脅威だ。

 その直球なパーティー名の由来は、彼らが持つ称号にも示されている。

 それが【魔獣殺し】。

 彼らは魔獣という種族との戦闘のプロなのだろう。

 それはつまり、魔獣族である魔鹿や魔狼、そして魔鼠の天敵と言うことでもある。

 実際、昨夜の戦いにおいても、高ランク冒険者たちの中でガルセコルトに最も多くの重傷を与えたのは、このパーティーに所属する冒険者たちだった。

 この侵入者たちの中で、最も危険なのは確実に彼らだろう。


 そんな強力な力を持つ魔獣狩りに続くのは、パーティーメンバーの殆どが魔術師で構成された異質な六人組のBランク冒険者パーティー、殲滅の理だ。

 このパーティーを構成する冒険者たちの殆どは魔術師である。それ故か、そのスキル構成は殆どが魔術に特化していた。さすがにBランクとなるまで冒険者を続けてきた経験からか、多少の近接戦闘系のスキルも身につけてはいるようだが、魔術系のスキルに比べれば、その成長度合は低い。

 バランスの良い構成が多い冒険者パーティーの中では、明確な弱点を持ったパーティーと言える。一応、一人だけ近接戦闘が領分の神官戦士という職業の者がいるようだが、たった一人で五人の後衛を守れるほどの技量は無さそうだ。

 それ故に、他のパーティーに前後を挟まれたこの位置にいるのだろう。

 だが、Bランクに至る冒険者が、ただ弱いだけだとは思えない。冒険者のランクがどのようにして決められるのかは分からないので、はっきりとしたことは言えないが、それらの弱点を補って余りあるような、何かを持っている筈だ。

 パーティー名から考えても、特にその火力には注意が必要だろう。


 最後に侵入者たちの最後尾を守るのが、四人組のBランク冒険者パーティー、神姫の槍だ。

 そのスキル構成は、Aランク冒険者パーティー魔獣狩りに似た戦闘特化のものである。さすがにAランク冒険者パーティーである魔獣狩りと比べれば一歩劣るが、神姫の槍もBランク冒険者を名乗るのに不足は無いステータスを持っていた。

 その他に特徴を上げるならば、パーティー名にも示されている通り、パーティーメンバーの殆どが槍を武器として扱っている点だろうか。


 この四つのパーティーが、ダンジョンに侵入してきた高ランク冒険者たちである。


 最後に、ここまでの情報からは厄介さばかりが際立っているけれど、一応は朗報もある。

 それは昨夜の戦果のことだ。

 昨夜、ガルセコルトが重傷を負わせ、黒牙が仕留めた高ランク冒険者が二人いた。その二人が所属するパーティーは、どうやら神姫の槍と魔獣狩りに属していたらしい。

 昨夜の戦いでも感じた事だが、冒険者たちはそれぞれが持つ尖った実力を、連携によって補い合っている。それにより個人の力を何倍にも高めている訳だが、それ故かたった一人でもメンバーが欠けてしまえば一気にその力が発揮できなくなってしまう。

 勿論、それで連携の力が無くなる訳では無いし、個人の力量が弱体化するわけでも無い。

 ただただ、完全な連携で発揮できていた力が弱まるだけだ。

 しかし、高位の魔物を人間の身で相手にする場合は、そこが重要になっている気がする。

 それこそが、ステータスに表示されない人間たちの実力の一端なのだろう。

 それ故に、仕留めた二人の高ランク冒険者の中に、最も警戒すべきAランク冒険者パーティー、魔獣狩りのメンバーがいたことは、確かな朗報と言えるのだ。



 侵入者たちは、深淵の探索者に所属する斥候クレスクによる先導の下、最短経路で第一階層の大迷宮を進んでいた。さすがに薄暗いダンジョンの通路を全力疾走している訳では無いが、迷いなく最短経路を選び続けているというだけでも十分な速度と言える。

 このままでは、すぐにでも次の階層へ上がってくることだろう。

 ならば、さらなる情報収集を行う為にも、そろそろこちらからも動き出そうか。


 とはいえ、私が第一階層で出来ることは、配置している複製体のゴブリンとゴブリンファイターに命令を下すことくらいである。どちらもダンジョンコアの機能で生み出した劣化状態のFランクの魔物であり、高ランク冒険者の集団には大した脅威にもならないだろう。恐らく襲わせても一瞬で消されてお終いだ。

 それでも何かしらの情報は得られるかもしれない。

 一応、侵入者たちの戦い方に関しては昨夜、『並列思考』で分けた副思考の一つが知覚系スキルを通して、その一部始終をしっかりと記憶している。だが、あの時の侵入者たちはたくさんの騎士たちに守られていたし、何よりも私自身、ダンジョン外よりもダンジョン内での方が知覚しやすい。

 だからこそ、まだ何かしらの新たな情報を得られる可能性は十分にある。

 ダンジョンに散らばる複製体たちには、侵入者たちが最短経路を通っていると気が付いた時点で、最寄りの最短経路付近に集まるよう命令を与えてあった。

 あとは適切な場所を見繕って、侵入者たちを前後から複製体に襲わせるだけだ。


 私が合図を送ると、第一階層の記録から複製体として生み出したゴブリンとゴブリンファイターたちが、通路から飛び出して侵入者たちを襲った。

 結果は、まあ概ね予想していた通りに一瞬だ。

 本当にあっさりとしすぎて、殆ど情報は得られなかった。

 だが、それも幾度か繰り返すうちに、多少は分かったことがある。


 例えば、侵入者たちの先頭を行く深淵の探索者は、ダンジョン内という狭い環境をうまく使いこなして戦っている印象だ。付近の壁や罠をうまく使って複製体たちの動きを制限し、対処していた。

 一つ一つの動作は一拍で終わる程度の短さだが、それも積み重なっていけば確かな形となってくる。こういった所にもダンジョン探索に特化した冒険者たちという特徴がよく現れていた。


 逆に最後尾を守る神姫の槍は、槍の長さを利用した突きで複製体たちを寄せ付けずに倒しているが、少し狭い通路では戦いにくそうな印象がある。とはいえ、習得しているスキルからすると、ダンジョン探索に縁が無かったという訳でもなさそうだ。もしかしたら、メンバーが一人減ったことで、何かしらの影響が出ているのかもしれない。

 とはいえ、槍の取り回しが絶妙なため、それは印象を感じると言った程度の差だ。


 その二つのパーティーに挟まれて真ん中を行くパーティーの一つである殲滅の理は、極力戦闘を行おうとしない。直接襲い掛かられても、逃げたり防いだりして時間を稼ぎ、最後は他のパーティーに戦闘を任せている。もしかしたら、魔術での戦いを主軸とする為に、道中での戦いでは極力魔力を節約しているのかもしれない。


 魔法や魔術を使う際には、基本的に自身の内に宿る魔力を使用する。そしてその魔力は使えば使うほどに減っていくものだ。一応、時間と共に回復はするけれど、その量は微々たるものである。アイテムにも魔力を回復できるものはあるかもしれないが、持ち運べる重量に限りがある以上は、それに頼る事も少ないだろう。いざと言う時の為に、少しでも消費を減らそうと考えていたとしても不思議はない。


 そうして最後、深淵の探索者と神姫の槍に挟まれた二つ目のパーティー、魔獣狩りに関しては、恐るべきことに襲ってきた複製体を一瞬で消していた。

 比喩でもなんでもなく、圧倒的な攻撃力を込めた一撃により、一瞬にして消し去っているのだ。あまりにも攻撃力が高すぎる。

 さすがは、ガルセコルトに数多の重傷を負わせたパーティーだ。


 魔獣狩りは、六人から一人減って、現在は五人。

 昨夜の戦いで一人削れたことから、連携の力は下がっているはずだ。

 しかし、単体の攻撃力は変わらぬまま、未だここにいるどの冒険者たちよりも強い。

 その威力の一助となっているのは、彼らが持つ明らかに巨大な武器だろう。

 身の丈程の巨大な剣や巨大な斧、巨大な弓。神官が持つメイスすらも巨大だ。

 その巨大さが持つ重量は、そこから生み出される威力を分かりやすく示していた。

 だが、決して威力の為に速度を犠牲にしている訳でもない。

 彼らは重そうな武器を軽々と扱い、複製体たちを一撃で屠っていた。

 さすがにその武器たちは、以前ダンジョンの戦力を激減させたAランク冒険者イグニスが持つ装備のように凶悪な魔力を宿している訳では無いようだが、単純な武器の質で言えばそう違いは無いように思う。

 やはり戦闘面に限って言えば、一番に気を付けるべきは彼らだろう。


 本当に厄介な侵入者たちだ。








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