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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第二章 迷宮覚醒の章

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54.第五階層

あらすじ


第四階層の追加をする準備が整い、“私”はこれまでの百日を思い返す。

ダイアウルフを筆頭とした、索敵と運搬を担うウルフ部隊の誕生と予想外の成果。

第二階層へ記録するためのFランク魔物、レッサーウルフとファングウルフ。

第二階層の守護者としたフォレストウルフ。

それが終わると、“私”はいよいよ第四階層の追加に手を付けた。

 第四階層を追加してから、再度百日が経過した。

 ダンジョンLV4になって追加された新たなダンジョンコアの機能は良好に稼働中。いや、あれはむしろ既存の機能の拡張というべきか。

 拡張されたのは守護者を配置する機能だ。今まで配置できるのは一つの階層に守護者が一体のみだったけれど、ダンジョンLV4の機能拡張で守護者の部下的な立場の魔物を配下から複数配置することが出来るようになった。勿論だが、そこにも守護者の時と同じく利点と欠点がある。

 利点としては、守護者と同じように蘇生が可能なことと、特別な魔力供給によって能力が向上すること。

 欠点としては、これまた守護者と同じように階段部屋から出られなくなるということと、配置にはランク制限があるということだ。それに加えて、その能力向上は守護者ほどではないという事も欠点と言えば欠点か。


 配置する魔物たちを決める時は、第一階層と第二階層の守護者にも意見を求めた。彼らの部下となる魔物たちだ。部下たちを扱うのは彼らなのだから、彼らの意見は重要だろう。

 その結果、第一階層のゴブリンリーダーからは遠距離攻撃を持つゴブリンを、第二階層のフォレストウルフからはとにかく素早く強いウルフを求められた。

 それらの意見をコンセプトの中心として魔物を召喚し育てていった結果、特に面白い成長を遂げたのがこの二体だ。



 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:15/15

 スキル:『繁殖LV1』『気配察知LV3』『夜目LV5』『森歩きLV3』『投擲LV3』『弓術LV5』『連携LV2』『体術LV1』

 称号:【――――の配下】【闇夜の射手】【ダンジョン:名も無き洞窟所属】【第一階層守護者の手下】


 名前:――――

 種族:ファングウルフ ランク:F

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:15/15

 スキル:『嗅覚LV3』『聴覚LV3』『夜目LV3』『遠吠えLV3』『気配察知LV2』『森歩きLV4』『爪牙術LV3』『連携LV3』『威嚇LV2』『体術LV2』『見切りLV2』『身体強化LV3』『魔力操作LV3』『魔力感知LV3』

 称号:【――――の配下】【ダンジョン:名も無き洞窟所属】【第二階層守護者の手下】



 まずゴブリン。偶然にも夜の森での狩りが続いた結果、『夜目』と『弓術』が特化して育ち、いつの間にか【闇夜の射手】という称号を得ていた。この称号を得てから、暗闇での射撃能力が目に見えて上がったそうだ。多分、称号の効果とみてよいだろう。

 称号は、スキルのように狙って得るのが難しい。事実、この【闇夜の射手】を他のゴブリンにも獲得させようと色々条件を整えてみたのだが、結局このゴブリン以外に獲得できたものはいなかった。もしかしたら私の予測する条件だけでは足りなかったという可能性もある。まあどちらにしても今、【闇夜の射手】はこのゴブリンだけの取柄だ。

 少し暗めなダンジョン内では、このゴブリンによる暗がりからの一撃はかなり役に立っている。これからもきっと、あのゴブリンリーダーの元で活躍してくれることだろう。


 次はファングウルフ。このファングウルフの特徴は何と言っても『身体強化』というスキルだ。使っている所を調査した結果、『身体強化』は全身に魔力を巡らすことで身体を強化するというスキルらしい。分かりやすい魔力を使っている分、以前ダンジョンにやってきた侵入者の一人が持っていた『闘気術』よりもこちらの方が馴染み深い。体内を循環した魔力は、その質を変化させ、肉体を強化させる性質を得る。

 恐らく体内に魔法陣の模様と似たような作用が存在するのではないだろうか。このスキルによりファングウルフは他のファングウルフとは一線を画す力と素早さを得た。実際、守護者であるフォレストウルフに次ぐ実力で、今も侵入者たちを蹴散らしてくれている。


 さて、このファングウルフの『身体強化』。魔法とは少し違うようだが、魔力を使用しているという点では魔法系スキルと同じだ。実際、『身体強化』を使い続けていたファングウルフはいつの間にか『魔力操作』と『魔力感知』を習得していた。

 才能あるゴブリンが進化を経て魔法を覚えることはあったが、魔物が進化を経ずして魔力をこのように扱うスキルを覚えたのは今回が初めてのことだ。進化を経由していないということは、習得の方法をファングウルフから聞き出すことが出来るということでもある。

 そうして何とかファングウルフから聞き出した方法は、自由に動かせる肉体を持たぬ私にはどうやっても出来ない習得方法だった。それは残念なことだけど、他の配下たちならば習得の可能性もありそうだ。

 ウルフ系の魔物たちには、ファングウルフ自身からそのまま伝授させ、ゴブリンたちには私がファングウルフから引き出した情報をそのまま伝える。

 種族が違うというのは、こういう時に少し不便だ。直接の意思疎通が言葉以外でしか行えないため、細かな情報の共有が出来ない。そのため、こういう時は私が間に入る必要がある。

 それにファングウルフの思考は、私としても少し難しい。どちらかと言えば、ゴブリンたちの思考の方が私の思考と近い。そのためか、『読心』のレベルが上がっても、ファングウルフたちの送ってくるイメージには不明瞭な部分が多い。恐らくウルフ特有の認識や思考形態の情報が、私の理解を阻害しているのだろう。

 そんな訳で、ゴブリンたちは『身体強化』を覚えるのに、少し苦労している。

 とはいえこれによりまた、ダンジョンの戦力は一段と強化された。



 新機能の稼働状況についてはこんな所だ。では続いて、第三階層の整備状況について、と行きたいところなのだが、現状私はまだ、第三階層には手を付けられていない。何故ならそちらに使うべきDPの全てを、第四階層に部屋を追加するための準備に費やしていたからだ。

 本来ならここで優先すべきは、第五階層の追加よりも第三階層の整備だろう。ダンジョンはただ広げただけでは意味がない。ダンジョンがダンジョンとして機能するためには、造り出した階層に罠を配置し、魔物を記録し、ボスを配置していく必要がある。それを行わなければ、ダンジョンなんて、ただ他よりも魔力の濃い洞穴と変わらない。

 でも、私は第四階層の追加を行ってから、第五階層の追加を急いでいた。それには当然、理由がある。ただ、それを説明するのは少し難しい。


 ダンジョンLVが4になってから、私の中にはずっともやもやとした部分があった。あと少しで、何か重要な情報に手が届きそうで。しかしあと一歩のところで、何故かそれに手が届かない。その衝動は機能について教えてくれるダンジョンコアとしての本能のように、何処か私とは別の部分から湧き上がってくる。だというのに、それは私と深く馴染んでいた。いや、馴染んだからこそ、それを知覚出来たというべきか。だからこそ、もう一段階ダンジョンを成長させれば、このもやもやとした部分に手が届く気がするのだ。うーん。やっぱり説明するのは難しい。

 だが、この問題の重要な所はそこでは無かった。さすがに私も、このもやもやを解消するためだけに、自分の守りを固めることを後回しにしたりはしない。ここで一番重要なのは、そのもやもやの解消が、ダンジョンの強化に繋がるという確信が何故か私の中にあったことだ。それもまた、出所が分からない根拠である。でも、信頼は出来る様な気がした。

 どちらにせよ、ダンジョンは今のところ侵入者に対応できている。だが近い将来、勇王国が病魔の森の強力な魔物たちを打ち破り、森を占領してしまえば、何れはこのダンジョンにも強力な侵入者たちがやってくるかもしれない。この辺りで何かしらの手を打っておくのは悪い事では無い。こういった博打を打てるのは、余裕がある時だけだから。


 そんなわけで今回は階層を追加することを何よりも優先したので、第四階層に並ぶのは最短の通路で繋がれた数珠繋ぎの小部屋が十部屋。その甲斐あって掛かった費用は全部で279,000DPに抑えられた。もっともここをダンジョンとして整備する際には、他の階層よりも多くのDPが掛かるだろうけど。

 そして今、私の元には第五階層の追加費用である500,000DPが存在していた。

 私は、メニューからダンジョン拡張を選び、階層追加を選択する。

 そして、ダンジョンに第五階層が追加された。



 あ――――。


 その瞬間、何かが私の中で弾けた気がした。

 今まで存在したスキルの感覚が遠ざかり、唯一意識に浮かび続けていたメニューの文字が闇に呑まれていく。思考がゆがみ、考えがまとまらない。

 これは私が最も恐れているものに、とてもよく似ている。私が一度、体験したことのある現象。二度と体験したくないあの感覚。でも、抗えない。

 何も分からず必死で抵抗したけれど、意識はどんどん遠ざかっていく。

 そして、ふっと全てが消えた。



 ――。



 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『地脈親和性』のレベルが6から7へ上がりました〉



 ――――。



 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『地脈親和性』のレベルが7から8へ上がりました〉



 ――――――あ。


 戻ってきたメニューという文字と、スキルの感覚。

 気が付けば私は、私の意識は、帰ってきていた。

 死んでしまったかと思ったけど、よくよく考えてみれば、あれは眠るという感覚に近かった様な気がする。大分久しぶりの感覚だったので忘れていた。にしても、ダンジョンコアとなってから一度も眠りに落ちることなど無かったのに、一体何があったのだろう?


 ――黒牙、何があった?


 いつもと変わらずダンジョンコアの近くにいた黒牙へ、『伝心』のスキルを使って訊ねてみたが、何だかよく分かっていない様子。少なくとも、外側から見て何かおかしなことが起こったというようなことは無いようだ。第一、第二階層の守護者たちにも訊ねてみたが結果は同じ。『記憶』を呼び起こして、守護者たちから聞いたダンジョンへ侵入してきた者たちの情報と照らし合わせてみた所、どうやら私は七日ほど意識を失っていたらしい。

 地脈との繋がりをしっかりと感じ、ダンジョンコアのことや、ダンジョンに附属した機能についても以前より明確に分かっている。

 ただ、今まで感じたダンジョンコアと馴染んでいく感覚が無い。むしろ今になってわかるのは、あれが馴染んでいくのを感じていたのではなく、ズレていたからこそ感じていた感覚なのだということ。不思議だ。ズレていたのは分かるのに、何がズレていたのかは分からない。ただ一つ、恐らくこれがダンジョンコアにとってのバグのようなものなのだということだけは分かる。これは私が『不老』を願った影響か、はたまた私をこの世界へと転生させた神さまの思惑故か。まあ、どちらにしても同じ事だ。

 私はまだ、生きている。それが全てだ。



 色々と得た知識や増えたダンジョンコアの機能について考察を深めたいところだが、今はまずダンジョンの状況を確認するのが先だろう。私はメニューからステータスを確認する。



 名前:――――

 種族:ダンジョンコア

 年齢:16

 カルマ:+5

 ダンジョンLV:5

 DP:35210DP

 マスター:無し

 ダンジョン名:病魔の森のダンジョン

 スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV9』『空想空間LV8』『信仰LV7』『地脈親和性LV8』『気配察知LV7』『魔力感知LV8』『伝心LV7』『読心LV7』『記憶LV6』

 称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】【E級ダンジョン】



 第五階層を拡張した後からDPが少し増えていた。私が意識を失っていた間も、ダンジョンは順調にやってきた侵入者を撃退し、配下たちは病魔の森で狩りを続けていたようだ。

 他に『地脈親和性』のスキルレベルが二つも上がっており、称号が【F級ダンジョン】から【E級ダンジョン】へと変わっている。地脈との繋がりが一気に深まったことも重要ではあるけれど、最も重要なのは称号の変化。称号の変化は、ダンジョンとしての格が上がったことを意味している。これで第五階層へ記録する魔物や、守護者へ配置出来る魔物のランクが上がった。とはいえ、DP的にも配置する魔物の育成的にも、いきなりそちらから手を付けていくという訳にもいかない。実際に手を加えていくのはまだ手を付けていない第三階層から、ということになりそうだ。



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