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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第二章 迷宮覚醒の章

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47.準備完了

あらすじ


DPを確認した“私”は、侵入者たちの戦闘でDPが増えたことを発見する。

その後“私”は、次なる侵入者への対策に新たな階層の追加を行う。

階層の追加をしたことで、新たな機能が追加された。

それは守護者を次の階層へと下る階段のある部屋に設置する機能だ。

第一階層に強力な守護者を配置すべく、“私”は配下から候補を探すことにした。

 探索部隊の隊長から、ダンジョンを目指す冒険者たちを発見したという報告を受けた。道中の森で行われた戦闘を遠目から観察した結果、彼らの強さが大体、Dランクの魔物からCランクの魔物辺りの強さだということも分かっている。前回と比べ、油断のならない相手だ。

 だがこちらの準備もある程度は整っている。第一階層の体裁に、万が一の戦力の招集。

 欲を言えば、第二階層や第三階層も整えておきたかったところだけど、上を望めば果てしなく上があるというこの状況で、完全に準備が整うなんて事はまずありえない。ある程度とはいえ、冒険者がやってくるまでに準備が整ったのは僥倖と言えるだろう。



 前回、階層を増やしたことにより新たな機能を獲得してから、私はダンジョンの構造について色々と考え直してみた。それは主に、直近でやってくるであろう冒険者たちへの対応についてのことだ。

 今までの私は侵入者を確実に殲滅するという意思の元にダンジョンを作成してきた。それは、侵入者の目指すものがダンジョンコアだと思っていたからだ。【コア破壊者】という称号を持つ冒険者がいる以上、何かしらの目的をもってダンジョンコアを破壊しようとする者たちは一定数いると思われる。冒険者たちが皆、そういう思想であるならば、私はそのままのダンジョンで冒険者たちを迎え撃っていただろう。

 だが、先日の冒険者たちがもたらした幾つかの情報を受けて、私はその考えを改めることにした。冒険者たちの目的が必ずしもダンジョンコアの破壊で無いのなら、必ずしも殺し尽くす必要はない。現状でダンジョンは第三階層まである。例えば先日やってきた冒険者たちのように、第一階層の探索だけで帰るのであれば、成り行きに任せても良いのではないか。

 成り行きに任すと言っても、複製された魔物はダンジョン内を徘徊しているし、罠もしっかりと仕掛けてある。ダンジョンを形作る通路と部屋は迷路のように侵入者を惑わせるし、第一階層の最後には守護者として強化された配下も配置済み。

 このダンジョンの主力であるゴブリン部隊や、切り札である黒牙を出動させずとも、ダンジョンとして最低限の難易度はあるハズだ。少なくとも先日の冒険者たちレベルであれば、第二階層へ続く階段部屋にさえ、辿り着けないだろう。

 まあ今回来る冒険者のレベルだと、恐らく突破される可能性が高いのだけど。そうなったらそうなったで、そのまま第二階層へ進むのか、そこで引き返すのかを確認したうえで、また対応を考えよう。

 一番良いのは階段部屋まで辿り着くことなく引き返してくれることだ。たとえ強い冒険者がやってきたとしても、面倒な割に得るものも少なく、自分たちがわざわざ挑む価値が無いと判断して去ってくれれば僥倖。これなら私から手を出す必要は無い。第一階層の守護者を倒した時点で引き返しても、私から手を出す必要は無いだろう。

 問題は第一階層だけで、そう思ってもらえるかということだ。第二階層の探索に入られると少し困る。まあ第二階層も迷路のようになっているし、以前第一階層から撤去した致死性の高い罠をこちらに移してあるので、そちらに引っかかって死ぬか、もしくは危険を感じて引き返してくれるのであればまだマシ。

 最悪なのはそれでも先へ進んでくる場合。デッドラインとなるのは、第二階層の後半に移動させたゴブリン部隊待機用の中部屋だ。

 第一階層と違って、第二階層にはまだ複製のための記録も、守護者の設置も出来ていないので、ゴブリン部隊の待機部屋を越えられてしまえば、第三階層までは一本道。第三階層はそもそもダンジョンコアがある小部屋だけ。そこまで辿り着かれてしまえば、もはや私の命は無いも同然。それだけは避けなくてはならない。

 だからこそのデッドライン。いざとなったら、待機部屋となっている中部屋で、全ゴブリン部隊を総動員して侵入者にぶつけるのみ。その時は乱闘になるだろうから、その隙に乗じて、黒牙も活躍してくれるだろう。

 全戦力を投入すれば、たとえ冒険者たちがCランク上位相当の実力を持っていたとしても何とか倒せるはずだ。もしBランク相当だとしたら、全てを出し切った上で幸運に祈るしかなくなる。さらに上、勇者相当の実力者がいたら……いや、これはさすがに考えたくない。

 とにかく今は、改めて配置し直した第一階層の最終確認を行って、気持ちを落ち着けよう。



 前回から今回にかけて第一階層へ変更や追加されたのは、罠と、複製された魔物と、階層の守護者。ということで、まずは罠から確認していこう。


 今まで第一階層に設置していた罠で、致死性が高すぎる物は第二階層へと移動させた。移動させたのは槍付き落とし穴、壁から突き出す槍、そして硫酸が降る天井。全ては一撃で侵入者に致命傷を与えうると判断した罠だ。これらは第一階層のコンセプトからは外れている。

 新たに設置した罠も含めて、現在、第一階層にある罠は、矢の罠、毒矢の罠、落とし穴。

 新しく設置した落とし穴の底には何も仕掛けられてはいない。高さも人間の子供ほどの身長であるゴブリンたちが自力ではい出せる程度。落ち方が悪ければダメージは受けるだろうが、それ自体の致死性はかなり低い。基本的に複製された魔物たちが戦う上での補助として機能させる。


 そうだ、複製された魔物の動きで興味深いものがあった。それは罠との親和性だ。複製された魔物はダンジョンとの繋がりが強いせいか、隠された罠の場所を最初から理解している節がある。通常の配下であれば、こちらから知らせる必要があったのだが、複製された魔物は何も伝えていなくとも罠を避けて通るのだ。つまりは間違って罠を踏むという可能性が無いのである。なので、それを踏まえて複製された魔物が通る部屋や通路に関しては、罠を多めに設置した。


 さて、それも含めて第一階層にある罠のコンセプトは、侵入者へ致命とならぬ程度のダメージを与えることにある。当たり所が良ければ致命傷とはならないが、若干の傷は負う。傷を放っておけば、その分だけ疲労は蓄積し、集中力は奪われていく。だが、一々小さな傷まで治していたら、今度は回復手段が足りなくなる。どちらにしても侵入者は、あらゆるものを少しずつ削られていく。

 安全まで考えると、これ以上の探索は厳しい。

 最終的に侵入者たちがそんな感じに思ってくれれば目的は達成だ。


 それらの罠に加えてもう一つ。ダンジョンへ宝箱を設置することにした。切っ掛けとなったのはやはり、先日やってきた冒険者たちの会話である。彼らの言葉通り冒険者たちが宝を目当てにやってくるのであれば、だらだらと続く探索の中である程度の宝を与えてやれば撤退への丁度良い区切りになるのではないかと考えたのだ。

 とはいえ、物によっては逆に下の階層への期待を与えてしまう可能性もあるので、そこまで豪華な品を置く気はない。その辺りを考慮して、以前にゴブ太たちが私へ捧げた森の恵みや、ゴブ子が初期に作成していたポーションなどをメニューの宝図鑑から召喚して入れておいた。あれらなら、森に入ればそれなりに採取できるし、ポーションにしても『調合』の初心者が作った薬である。ゴミとはならずとも、それほど高価な物でも無い。

 宝図鑑からの召喚のために必要なDP的にも、そこまでの重荷にはならぬだろう。


 ちなみに、この宝箱。メニュー欄のダンジョン拡張の中にある罠設置の項目に入っていたものだ。つまりダンジョン的な分類だと、宝箱は罠ということになるらしい。ああ、ついでにもう一つあった罠付き宝箱という方も、宝箱に混ぜて幾つか設置してある。こちらの宝箱は開けるのに特殊な技術が必要になるというもので、開け方に失敗すると仕掛けが作動して毒を塗った針か、毒煙、小爆発がランダムに放たれるという、正に王道の罠といった代物だ。

 ここまでが、第一階層に存在する罠である。



 続いて、複製された魔物について。

 前回、冒険者たちがやってきたときに使用したゴブリンに続いて、ゴブリンファイターの記録も既に終わっている。

 ちなみに複製されたゴブリンファイターのステータスはこのような感じだ。



 種族:ゴブリンファイター ランク:F

 LV:15

 スキル:『繁殖LV1』『体術LV3』『気配察知LV1』『夜目LV1』『鈍器術LV3』『森歩きLV1』『見切りLV3』『威嚇LV2』『連携LV2』

 称号:【ダンジョン:名も無き洞窟所属】【魔力複製体】【複製劣化】



 同じFランクでもゴブリンに比べて、こちらの方が少しだけレベルが高いのは、恐らく元となったゴブリンファイターのレベルがゴブリンよりも高かったからだろう。

 一方で記録するための魔物は同じように特訓させていたので、習得しているスキルに関しては殆ど同じである。ただ、スキルレベルが少しだけ違う。元々のスキルレベルはあまり変わらないくらいだったので、この劣化量の違いはなかなか興味深い。

 具体的に見てみると、ゴブリンのスキルレベルは平均的に残っているのに対して、ゴブリンファイターのスキルレベルは戦闘系に偏って残っている。もしかしたら種族としての違いが現れているのかもしれない。ダンジョンを守るという目的を考えれば、戦闘力の高いゴブリンファイターの方が魅力的だが、ゴブリンファイターはゴブリンに比べてダンジョンの魔力を多く使う。

 そのためダンジョン内の複製された魔物の数は、ゴブリンが四十匹に対して、ゴブリンファイターが二十匹となっている。

 強さも必要ではあるけれど、侵入者を消耗させるという意味であれば数は重要だろう。そこに復活のサイクルという考えも加えられた結果、この割合に落ち着いた。一応後からでもこの割合は変えられるので、侵入者たちの動きを見て、その都度変えていこうと思っている。


 そうそう、複製された魔物を記録する上で、ちょっとした発見があった。それはレベル上限と進化の関係だ。

 今まで私は、レベル上限に達すると魔物たちは自動的に進化すると思っていたのだが、どうやらそれは自動的に行われるわけでは無いらしい。今までは進化されても別に困ることは無いので、特に確認はしていなかったのだけれど、ランクの制限があると分かってから進化させるとまずいという状況が出てきた。だが、レベルは出来る限り上げておきたい。そのためゴブリン部隊の者たちに一応確認してみた結果、それが分かった。

 どうも魔物が進化をするためには、レベル上限への到達などの進化のための条件達成の他に、その魔物自身の強くなりたいという意思が関係しているらしい。そのため、レベル上限に至っても進化を行わないと心に決めていれば、進化は行われないようなのだ。

 これを利用して私は、今回記録のためのゴブリンとゴブリンファイターのレベルを上限まで上げさせている。



 さて、最後に残るは第一階層の守護者について。

 守護者を選ぶ基準としては、まずゴブリン系統のEランクであること。

 前者はゴブリン部隊から選ぶことで解決する。後者も戦闘部隊は全てDランクへと進化を果たしたが、探索部隊や総合部隊にはまだEランクのままのゴブリンがそれなりにいたので、そこから選べばいい。ちなみに、系統をゴブリンに絞るのは、守護者設置機能にあるランク制限の緩和を活用するためだ。

 もう一つの基準は、正面から相手を迎え撃つ戦い方に向いているかということ。守護者はダンジョンの中でも次の階層へと続く階段のある部屋から出られない。つまりは、やってくる侵入者を迎え撃つという戦い方しか出来ないのだ。そうなれば必然的に、戦闘が正面からのぶつかり合いとなることは避けられない。死角から敵に奇襲をかけたり、罠を仕掛けて隠れ待つというような戦闘を得意とする者には不利な戦いとなるだろう。

 主に重要なのはこの二つだ。そこを考慮して幾つかの候補を選出し、暫く鍛えていった結果、最終的に私の選んだ守護者がこちらである。



 名前:――――

 種族:ゴブリンリーダー ランク:E

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:27/30

 スキル:『繁殖LV1』『指揮LV5』『気配察知LV3』『夜目LV5』『森歩きLV5』『鈍器術LV3』『盾術LV4』『連携LV5』『威嚇LV3』『見切りLV2』

 称号:【――――の配下】【ダンジョン:名も無き洞窟所属】【第一階層守護者】



 得意な戦法は、周囲に的確な指示を出しつつ、相手の攻撃を盾で防ぎ、隙を見つければ棍棒で強力な一撃を叩き込むというもの。優秀な指揮官であるとともに、攻守のバランスも取れた戦士でもある。まさにオーソドックスな正面戦闘を得意とする理想の守護者だ。

 その満遍なく鍛えられたスキルに相応しく、このゴブリンはこれまで総合部隊の隊長をしていた。

 さらにこのゴブリンリーダーには複製されたゴブリンファイターを四匹、新たな部下として与えている。これで守護者となってからも、以前と近い戦い方を再現できることだろう。



 ここまでで第一階層の魔力供給率は85%。罠の運用や、複製された魔物の復活時、一時的に魔力の使用率が上がることを考えると、この辺りが上限だろう。

 内訳としては大よそ、罠のメンテナンスに常時使用される5%、複製されたゴブリンが1%、複製ゴブリンファイターが1.5%、守護者に使用される魔力が10%くらいである。

 実際の魔力供給率には1%以下の表示が無いので、その辺りは上昇幅からの予測だ。そのため細かい数字は間違っている可能性もある。

 うん。第一階層に関してのみで言えば、上出来と言えるのではないだろうか。

 欲を言えば第二階層もこのように機能させて、ゴブリン部隊の待機部屋も第三階層へと移したかった所だけど、それをするには時間もDPも足りていない。

 将来的にはそうしていきたい所だが、今はこれで満足しておくべきだ。

 それに私の守りとして探索部隊以外のゴブリン部隊は待機部屋に置いてあるし、黒牙も来たるべき時に備えて爪を研いでいる。


 大丈夫。私はここで、死んだりしない。



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