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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第二章 迷宮覚醒の章

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40.新たなダンジョンコアの機能

あらすじ


ゴブリンたちで編成された部隊は、増減を繰り返した結果、十二部隊六十匹で安定した。

彼らは着実に病魔の森での戦いを繰り返し、力を身につけていく。

そうなると次なる問題が持ち上がってきた。それはダンジョンの魔力供給率。

強くなったゴブリンの部隊を養う為、“私”は魔力の供給量を上げる方法を模索する。

ダンジョンを成長させることで、魔力の供給量を上げられるのではないか。

“私”はその考えの元、ダンジョンの階層を増やし、魔力供給率の問題を解消した。

 あれから数日を掛けて地脈によるDPの増加量を観測した結果、私は一日のDP増加量が13DPから28DPに上がっていることを確信するに至った。まあ『地脈親和性』のスキルレベルも上がっていたので、増加分の幾らかは、このスキルによるものだろうけれど。

 やはり地脈の力とダンジョンコアから流れる魔力には関係があったのだ。



 さて、ダンジョンLVが上がったことで、ダンジョンに新たな機能が追加された。

 機能を発見した瞬間、私はそれの用途を瞬時に理解する。記憶から湧き上がってくるようなこの感覚もまた恐らく、ダンジョンコアとしての本能によるものなのだろう。


 ダンジョンへ新たに増えた機能、それは魔物の複製を生み出すという機能だ。

 その行程は大まかに分けると、記録と複製の二つ。ただこの二つには、色々と条件が設定されているようだ。本能によって用途の理解が出来たとはいえ、まだ一気に増えた情報を自身の中で消化しきれていない。とりあえず、一度本能によって理解した知識を落ち着いて整理してみよう。



 まずは、記録に関することから。

 記録は階層ごとに存在する記録容量を使用して、配下から選んだ魔物をその階層に記録していく。記録容量はその魔物の強さによって使用する容量が変わり、その階層の記録容量が一杯になってしまえば、それ以上魔物を記録することは出来ない。

 さらにもう一つ、各階層には記録する魔物に制限が存在する。配置する魔物のランク制限だ。例えば、現状のダンジョンだとEランク以上の魔物を記録することが出来ない。つまり記録するならば、GランクとFランクの魔物に限られるわけだ。

 ただこれはあくまで現状のことであり、私がダンジョンとして成長していけば、各階層にある制限や記録容量もそれと共に変化していくらしい。ダンジョンとしての成長とはダンジョンの階層を増やしていくことだ。つまりダンジョンを拡張し続けていけば、より強い魔物を記録することが出来るようになっていく。

 最後に記録容量に記録した魔物は、あまり簡単に書き換えたりは出来ないようだ。記録するときは、慎重に選ぶ必要があるだろう。

 記録に関しては大体こんな所である。


 次は複製に関して。

 魔物を記録から複製する際には、召喚と同じくDPを消費する。しかし、消費するDPは複製元の魔物よりも少ない。また一度複製された魔物は、もし倒されたとしても暫く時間が経てば、ダンジョンからの魔力供給を受けて復活する。つまり、複製にDPを消費するのは最初の一回だけという訳だ。これだけであれば非常に強力な機能に見えるが、当然というべきかそこには欠点も存在する。

 まず、複製された魔物はその複製の元となった魔物の記録が存在する階層から出ることが出来ない。ダンジョンの外へ出れないのは当然として、別の階層に移動することすら出来ないのだ。

 さらに複製された魔物には大よそ自我というようなものは無く、私からの命令によって階層内を徘徊するか、何処かで待機していて、侵入者に襲い掛かるということしか出来ない。そこから考えるに、恐らく複製された魔物は高度な戦術を駆使したり、複製元の魔物が持つ戦闘勘を活用するような事も出来なさそうだ。

 そしてここからが最も大きな代償となるのだが、複製された魔物は元の魔物が持つステータスよりも劣化して複製される。さらに、複製された魔物はそれ以上成長をしない。成長とはこの場合、レベルの上昇やスキルの習得、そしてスキルレベルの上昇も含まれる。つまりそれなりに強く育った魔物を記録しておかないと、どれだけ減少したDPで複製を繰り返しても、烏合の衆となり果ててしまうという訳だ。

 最後に、複製された魔物はダンジョンの魔力によりその実体の殆どを維持している。それ故にダンジョンからの魔力供給を常に必要とし、魔力供給が切れれば死んでしまう。

 現在、ダンジョン内の魔力供給率は階層の増加による供給魔力の増加により安定している。

 とはいえ、複製を闇雲に増やしてしまえば、また魔力供給率が限界を超えてしまう。そうなれば、ダンジョンからの魔力供給により複製された魔物は存在を維持できなくなる。魔物の複製をする際は、その辺りにも気を付けていかなければならないだろう。


 これらが魔物の複製という機能について私が理解した大よその情報である。他にも細々とした情報はあるようだが、その辺りは曖昧な部分もあってまだ私の中でもはっきりとしていない。まあ使っていけば、自ずと分かっていくことだろう。



 さて、新たな機能はダンジョンの守護という観点から見れば、かなりの戦力強化となる。何よりも既存の部隊をそのままに、ダンジョンの守りを固められるというのが素晴らしい。

 ただこれを使うには一つ考えなければならないことがある。

 それ即ち、どの魔物を記録するか、だ。

 記録の情報にもあったように、一度魔物を記録すると、それを容易には変更できない。

 ならば、記録する魔物は厳選していく必要があるだろう。たとえ複製された魔物の強さが劣化するとしても、むしろ劣化するからこそ元となる魔物にはそれ相応の強さが欲しい。

 ダンジョンは現在第二階層まで存在するが、第二階層は実質ゴブリンたちの待機場所となっているので、複製された魔物を配置するなら、まずは第一階層からとなるだろう。

 現状で記録できるのはGランクとFランクの魔物のみ。Gランクで戦闘が可能そうな魔物はいないので、実質的にはFランクのみだ。

 Fランクの魔物というと、ゴブリンで言えばゴブリンやゴブリンファイター。Fランクという縛りがあるのなら、他の系統の魔物から決めるという手もある。幸いなことに、これまで病魔の森で狩られた魔物の魔石を吸収し続けてきたことで、Fランクに限定するならばそれなりに幅広い系統の魔物たちがそろっていた。


 とはいえ、焦って今すぐ決める必要は無いか。

 病魔の森を探索するゴブリン部隊からは、まだ人間の痕跡を発見したという報告は来ていない。ならばもう少し配下たちが育つまで、様子を見る時間はあるはずだ。

 今はまだ弱いゴブリン部隊だが、戦闘を繰り返すことで少しずつ強くなっている。このまま成長し続けていけば、いずれは病魔の森をもっと自由に歩き回ることが出来るようになるだろう。そうなれば、彼らにFランクの魔物の引率を任せられる。最近少し危険な病魔の森であっても、強力な護衛がついていればFランクの魔物でも比較的安全に戦える。手早く成長させることも出来るだろう。


 ああ。でも一応、先にゴブリンとゴブリンファイターを数匹召喚して、ダンジョン内に置いておこうか。レベルはいずれゴブリン部隊に引率させればすぐに上がるだろうけれど、スキルの方はそうではない。戦闘系のスキルは実戦で使用した方が成長しやすいらしいが、だからと言って実戦で使用しなければ育たないという訳でもないのだ。

 彼らにはダンジョン内でひたすらにスキルを育ててもらう。とりあえず、覚えるスキルの候補としては『夜目』『体術』『見切り』『鈍器術』『気配察知』辺りだろうか。

 スキルの効果はそれぞれに、


『夜目』は暗い場所でも問題なく見通すことが出来るようになるスキル。

『体術』は身体を動かすこと全般に対して補正が掛かるスキル。

『見切り』は戦闘中に敵の攻撃を躱しやすくなるスキル。

『鈍器術』は鈍器の扱いと威力に補正が掛かるスキル。

『気配察知』は生物の発する気配を感じ取ることが出来るようになるスキル。


 この辺りならダンジョン内でも問題なく特訓が行えるはずだ。他にもゴブリン部隊の者たちが覚えたスキルの中で有用なスキルがあれば、その都度彼らの特訓に加えていくということで。



 それからまた数日の時が経ち、ダンジョンに待望の変化が訪れる。ゴブリン部隊の中から、初めての進化者が出たのだ。進化したのは十二部隊六十匹のゴブリンの内の一匹。その一匹はある部隊の隊長格であるゴブリンリーダーだった。

 ゴブリンリーダーの進化先は、ゴブリンアサルト。これがそのステータスだ。



 名前:――――

 種族:ゴブリンアサルト ランク:D

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:6/40

 スキル:『繁殖LV1』『指揮LV1』『夜目LV3』『森歩きLV3』『威嚇LV3』『鈍器術LV5』『見切りLV5』『体術LV3』『突撃LV1』

 称号:【――――の配下】



 隊長だというのに『指揮』は全く育っておらず、代わりに戦闘系のスキルがかなり上がっている。ちなみにこのゴブリンが隊長を務める部隊に所属する他のゴブリンたちは、主に『気配察知』や『解体』などのスキルが育っていた。そして、何故か『指揮』が芽生えたゴブリンまでいる。他のゴブリンリーダーが皆、多かれ少なかれ『指揮』を成長させていることを考えると、きっと彼は生まれる種族を間違えてしまったのだろう。うん。

 そんなこともあるのだな、と思う進化先だった。

 ただ一応、隊長としての権限は『指揮』の芽生えたゴブリンソルジャーではなく、このゴブリンアサルトに任せたままだ。それでこれまでうまく部隊が回っているのだから、きっとそういった部隊なのだろう。こういった場合は部外者が下手に手を加えるべきではない。

 ただ一応、これから各ゴブリン部隊からの報告に、部隊内で不足する役割が出ていないかの確認を加えておこう。



 ここは確かに特殊な例ではあるけれど、変わった特色が現れ出しているのは、実はこの部隊だけではない。

 ゴブリン部隊には元々、病魔の森全体の情報収集と、森に侵入する人間の痕跡探し、そしてレベルを上げるための魔物の討伐と、DPを増やすための魔石の回収という四つの役目があった。この四つは全てが全て重要事項であり、どれ一つとして欠かすわけにはいかない。それ故この四つの役目に関しては、全ての部隊へ最低限の達成目標を課していた。

 最低限と言うだけあって、どの部隊も問題なく目標は達成出来ている。ただし、最低限の目標を達成していれば、私からそれ以上の事を言うことは無く、それ以外の時間に何を行うかはそれぞれの部隊の隊長の判断に任せていた。まあどちらかというと、任せていたというよりも、その辺りを私が考えていなかったという方が正しいのだけど。


 そもそもこんな適当な命令でもうまく部隊が回っていたのは、ゴブリンたちが私の役に立つべく自発的に動いてくれているからだ。

 どうも私が召喚した魔物は私を特別視する傾向があるらしく、ダンジョンの役に立つべく自分たちで考えて行動してくれる。これはダンジョンの守りを第一とする黒牙の行動を見ればよくわかるだろう。ただし、それが絶対という訳でも無い。同じく私が召喚したゴブ子は、ゴブ太やゴブ太の村の事を考えていたし、最後にはダンジョンを守ることよりも、ゴブ太を助けることを優先して、亡くなった。

 思うに召喚の際、ダンジョンコアの機能が召喚される魔物の優先順位の一番上に、ダンジョンを加えているのではないだろうか。黒牙はそれがそのまま残り、ゴブ子は召喚後に優先順位の変動があった。そう考えると、しっくりくる気がする。


 それがある為に、ゴブリン部隊の者たちは最低限の役目を終えた後も、各部隊の隊長の判断で四つの役目のどれかを重視して行っていたのだろう。

 そしてその自由度が、各部隊にそれぞれ違った特色を生み出す切っ掛けとなったようだ。


 各部隊に現れた特色は、大きく分けると三つ。

 一つは情報収集を得意とする部隊。一つは魔物との戦闘を得意とする部隊。そしてその間、総合的なバランスを重視してどちらも満遍なく行える部隊。

 さらにその三つの中でも細分化が出来る。

 例えば、情報収集を得意とする部隊であれば、広範囲の探索に特化した部隊、ダンジョン周辺の探索に特化した部隊、また病魔の森に分布する魔物の縄張り情報に特化した部隊など。

 戦闘を得意とする部隊でも、近距離、遠距離攻撃に特化した部隊から、罠を仕掛けて魔物が掛かるのを待つ部隊、それに黒牙の影響を受けたのか、敵から気配を隠して一撃必殺を狙うような部隊まで、その種類は部隊の数だけあると言っても過言ではない。


 その多様な在り方は、ゴブ太が生きていた頃の村の戦士団とは百八十度違う。

 その違いの理由は恐らく、ゴブ太の存在だ。あの頃はゴブ太が皆の絶対の中心であり、戦闘における切り札でもあった。だから皆がゴブ太の指揮を受け、ゴブ太の方針に合わせて成長していったのだ。対して今は隊長であるゴブリンリーダーが無数に存在し、それらの上に存在する私は、彼らへその方針の殆どを放任している。それ故に各ゴブリンリーダーたちの方針がそのまま部隊を染め上げていった。

 恐らくその事が、この多種多様なゴブリン部隊の誕生に関係しているのだろう。

 本当にこの世界のゴブリンという種族は面白い。



 ちなみに、今回進化を果たしたゴブリンアサルトの部隊は、戦闘を得意とする突撃に特化した部隊だ。しかも報告が確かならば、隊長自らが突撃して敵をバッタバッタとなぎ倒すタイプの。

 よくこれまで生き残れたものである。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 村を守る村民皆兵型だったのが一気に多様になりましたね
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