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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第二章 迷宮覚醒の章

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39.魔力供給率

あらすじ


黒牙が集めた魔石やアイテムの整理を終えた後、“私”はこれからの事を考える。

いずれ攻めてくるであろう勇王国に対抗するには、ダンジョンの防衛力を強化せねばならない。

そこで“私”はまず、ダンジョンの部屋数を増やし、通路と罠で迷宮を作り上げた。

次にゴブリンリーダーと四匹のゴブリンソルジャーたちを召喚し、森に放つ。

目的は彼らのレベル上げと魔石の回収、そして情報の収集だ。

 あれからゴブリンたちで編成した部隊は増やしては減ってを繰り返し、今は十二部隊全六十匹に落ち着いている。そこに黒牙を加えて、ダンジョン内の魔物は全部で六十一匹。

 施設としては、回復の泉が一つだけ。罠は毒矢の罠が十個、槍突き落とし穴が五個、突き出す槍が五個、硫酸の降る天井が一つ。

 これら全ては、ダンジョン内を巡る魔力を消費している。

 例えばゴブリンたちは飲み食いせずとも最良の肉体を保ち、回復の泉からは常に致命傷すら治癒する特別な水が溢れ、罠ならば自動でメンテナンスされ、さらに使用された場合も一定の時間が経つと減った分が補充され、元の状態に戻るというように。


 さて、ダンジョンコアから流れ出る魔力の供給量は常に一定である。つまりは供給量以上の魔力を消費する場合、魔力が足りなくなることがあるのだ。するとそれ以上の魔力供給は行われず、ダンジョンに何らかの不調が起こる。

 それは例えば、ゴブリンならば最良の肉体を保てなくなり、回復の泉からは水が湧き出さなくなり、今ある水からも回復の効果が消えていく。そして罠は一部が動かなくなり、補充も無くなって、次第に劣化していくというように。

 この辺りの事は以前から何となくだが分かっていたことだ。恐らくこれらの知識はダンジョンコアとしての本能か何かなのだろう。


 今回の問題はその魔力の供給についてだ。

 魔力の使用状況と供給量との兼ね合いは、ダンジョンマップに表示されている魔力供給率という項目で知ることが出来る。

 何も使用していない状態では0%。100%を超えると魔力の過剰使用となり、色々な不具合が起きるのだ。

 現在の魔力供給率は92%。かなりギリギリである。このままダンジョンに戦力を蓄えていけば、遠からず限界を超えるだろう。そうなれば、きっと不味い事が起きる。本能がそう告げていた。


 ゴブリンたちには『繁殖』の禁止を命令しているので、勝手に増えていくことは無い。以前までの私であれば、そこまで配下たちに干渉はしなかった。

 だが、ゴブリンたちに対する扱いも、私の立ち位置も全てが以前とは違う。今の私にとって彼らは隣人では無く、ダンジョンを守るための武器なのだから。

 そんなわけで増えてはいかないのだが、強くはなる。それは武器としては歓迎すべきことなのだが、強くなり種族を進化させた魔物はダンジョンでの必要魔力も増えてしまう。

 つまり今の状況だと、数匹が進化した時点で魔力供給率が100%を超えてしまうのだ。

 この問題を解決するためには、回復の泉か罠を撤去するか、魔物を間引くか、魔力の供給量を上げる必要がある。

 一番目が最も容易だが、回復の泉は重要な施設だ。深い傷を負って帰ってきて、ダンジョンからの魔力供給だけで回復出来ない場合は、回復の泉による治癒が必要となる。それにダンジョン内での戦闘でも、即座に全回復出来る回復の泉は有用だ。

 罠は消費してしまえばある程度の魔力供給が必要となるが、メンテナンスに使う魔力だけであればそこまでの消費はない。現状では、撤去してもそれほど変わらないだろう。

 二番目の魔物を間引くのも、あまり積極的にしたい事では無い。病魔の森全体の情報を収集するには数が必要だし、彼らの狩りはDP獲得の手段でもある。今の部隊の回転数を維持するためにも、この数を保たねばならない。

 となれば、残る手段はただ一つ。魔力の供給量を上げるという方法しかない。


 問題はどうすれば魔力の供給量を上げられるか、だ。

 これに関しては、少し思い当たることがある。

 以前私はどうしても魔法を使いたくて、【知者】の称号を持つゴブリンシャーマン、ゴウグゥに魔法の使い方を聞いたことがあった。私も魔法が使えるようになりたいと。

 結局、その時は使えるようにはならなかった。しかし私は諦めきれず、その後も色々と試行錯誤を繰り返していた結果、ある事に気が付いたのだ。

 それは魔物たちの扱う魔力と、私の持っている魔力が違うものであるということ。

 厳密に言えば違うのは、その所有権とでも言おうか。魔物の持つ魔力は基本的にはその体内に留まり、魔物の特性を色濃く表している。

 それに対して私から流れる魔力は、どちらかと言えば無色透明。良くも悪くも特性が見えない。そして、私の内側に留まることなく、常に流れ続けている。

 この違いの原因はどうやら、魔力の発生に関係しているようなのだ。

 魔物の魔力は魔物の体内で発生している。そのメカニズムはよくわからないが、魔物の肉体の内で発生しているようだった。一方で私の魔力は観察の結果、どうやら地脈の力を吸い上げてDPへと変換する際に発生しているようなのだ。

 私にはゴブリンたちが狩りにより魔石を回収してくる以外にも、DPを獲得する手段がある。それが地脈の力だ。

 現状では一日に10DPと、『地脈親和性』というスキルの効果によりプラス3DPで13DPの収入となっている。今となっては微々たるものだが、以前までは大変お世話になっていた。

 ちなみにこの力を地脈の力と呼んでいるのは、この『地脈親和性』というスキルを覚えたからだ。

 地脈の力をDPへ変換するときに魔力が生まれるのか、それともDPへと変換した地脈の力の余りが魔力になるのかは分からないが、地脈の力が関わっていることだけは確かである。

 ということは、地脈から得られる力を増やせれば、それに応じて生まれる魔力も増えていくのではないか。

 では、その地脈の力をより多くDPへ変換するにはどうすればよいのだろう。一つ思いついたのは『地脈親和性』のスキルのレベルを上げる事。ただこれは、どうやって習熟度を稼げばいいのか謎である。地脈の力は魔力以上に謎が多すぎて、どこから手を付けるべきかも思いつかない。

 いや、もっと簡単に考えてみよう。ダンジョンLVを上げるのはどうだろうか。魔物もレベルを上げれば扱える魔力が増えていく。魔物と違って私はダンジョンだから、レベル上げの方法は別なのだろうが。

 レベルの上昇を成長と定義するのなら、ダンジョンの成長は階層が増えていくことだろう。

 うん。なんだかそれは間違っていないように思う。

 この気付きは本能によるものか、それとも私のファンタジー知識から来たものなのか。別にどちらでもいい。一先ず、思いついた可能性は試してみよう。

 まずはまだ試していない階層の追加から。消費DPは200,000DP。十分に足りている。


 〈未達成の条件があるため、階層の追加に失敗しました。階層を追加するには、現在の最深階層を十部屋以上に拡張してください〉


 む。うまくいかない。どうやら階層を追加するためには条件があるらしい。今の条件は一階層の部屋数を十部屋にすること。今は六部屋あるから、あと四部屋か。

 小部屋なら一つを10,000DPで作成できる。とりあえず小部屋をあと四部屋追加してみよう。

 通路を繋げて、小部屋を四部屋追加。どうせなので元のダンジョンの構造を壊さないようにそれぞれを行き止まりとして設定。あとで罠を追加しておこう。

 結局、最終的に消費したのは全部で80,000DP。その内、通路へは40,000DPも消費してしまった。けれどここはダンジョンとしては譲れない点だ。妥協はしたくない。


 さて、これで条件は達成しているはず。

 私は改めてメニューのダンジョン拡張から、階層の追加を選択した。

 その瞬間、ダンジョンコアが一瞬にして置き場所を移動する。これは始めて部屋を追加した時と同じだ。ダンジョンコアが今まであった部屋に階段が追加され、そこから下へ向かった先に新たな部屋が追加された。今はそこにダンジョンコアが設置されているようだ。

 一気に安心感が増したけど、それは置いといて。とりあえず、ステータスを確認してみる。



 名前:――――

 種族:ダンジョンコア

 年齢:15

 カルマ:+5

 ダンジョンLV:2

 DP:309657

 マスター:無し

 ダンジョン名:名も無き洞窟

 スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV9』『空想空間LV7』『信仰LV7』『地脈親和性LV3』『気配察知LV7』『魔力感知LV7』『伝心LV7』『読心LV7』

 称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】【F級ダンジョン】



 色々と変化があったみたいだけど、まず気になるのはダンジョンLVだ。1から2へと上昇している。あとは、DPが大分減ってしまった。まあでもこれに関しては大丈夫。今はまだゴブリン部隊の狩れる魔物のランクが低くて採算が合わないけれど、時間が経ってゴブリン部隊が育ってこれば取り戻していける。

 ちなみにダンジョン名が元ゴブリンの洞窟祠から名も無き洞窟に変わったのと、称号が【G級ダンジョン】から【F級ダンジョン】に変わっているのは階層の追加によるものでは無く、前回部屋を六つへ増やしたときに変わったものだ。


 階層が追加されてダンジョンLVが2に上がり、魔力供給率はどう変わったのか。今はそこが一番重要な点だ。私は一度メニューに戻ると、そこからダンジョンマップの項目を選択する。そこには二つの魔力供給率が表示されていた。


 第一階層魔力供給率:92%

 第二階層魔力供給率:0%


 この表示を見るに魔力供給率は階層ごとに設定されているようだ。全ての魔力はダンジョンコアから流れているはずなのだが。

 気になって私は『魔力感知』を意識し、現在の魔力の流れを調べてみた。

 ダンジョンコアから流れ出る魔力の量は期待通り増えている。しかしその魔力は二階層が一番濃く、そこから第一階層へと上がっていく魔力は若干薄い。ダンジョンコアから離れてしまった影響だろうか。ダンジョンコアと近い程に魔力は多く供給され、遠くなればその分だけ魔力の供給量は減っていくのかも。とはいえ、数字を見る限りでは供給されている魔力量は階層が増える前と変わらない。これは魔力の供給量が増えたおかげだろう。

 先のことはまだ分からないが、もしこの魔力供給量とダンジョンコアからの距離の関係がこの先にも同様に働くものとすれば、これから階層が増えるごとにダンジョンコアから第一階層が離れていっても魔力供給量が一番初めの量を下回ることは無いと思われる。


 とまあ、考察はさておき。第二階層の魔力に空きがあるのなら、いくつか魔力を消費するものを第二階層に移せば当面の魔力不足は解消できるだろう。

 その前に第二階層へ部屋をもう幾つか追加しておく。今はまだ、階段とダンジョンコアのある部屋が一つあるだけだから。とりあえず小部屋を幾つか作っておこう。

 と、私がダンジョン拡張から第二階層を選んで部屋を追加しようとしたら、小部屋の必要DPが20,000DPに増えていた。他の部屋や通路の必要DPも全て倍に変わっている。

 第一階層はそのままなようなので、これは恐らく第二階層だからなのだろう。

 一応残りDPでゴブリンたちを置いておく為の中部屋もギリギリで造れそうだが、それをすると本格的にDPを使い切ってしまいそうだ。拡張した区画を消すのにもDPは必要となるから、ダンジョン拡張は慎重にしていきたいのだが。

 第一階層の魔力供給率は現状予断を許さない状況だ。ゴブリンたちのレベル的にも、進化の時は近いだろう。そうなれば魔力は確実に足りなくなる。

 ここはこれも戦力増強の一手として受け入れるべきか。


 まずは2,000DPを消費して短い通路を設置した。その後に中部屋を一つ配置して、続けて20,000DPで少し長めの通路を設置する。さらにその後へ小部屋を設置して完了だ。小部屋が一つ20,000DP。中部屋が200,000DPで、通路と合わせると242,000DPの消費である。残ったのは67,657DP。いよいよDPの懐事情が厳しくなってきた。

 ……とりあえず、ゴブリンたちと黒牙を第二階層に移動させよう。同時に配下たちへ行う魔力供給の設定を第一階層から第二階層へ移した。

 これで魔力供給率の問題は何とかなったはずだ。ちょっと、確認してみようか。


 第一階層魔力供給率:15%

 第二階層魔力供給率:39%


 第一階層はしっかりと回復の泉と罠のメンテナンス分だけになっている。

 一方で第二階層は魔物たちが移動したというのに、まだまだ余裕があるようだ。第一階層ではゴブリンたちへの魔力供給に77%を消費していたはずだが、第二階層では39%に留まっている。やはりダンジョンコアから流れる魔力の量が増えているのだろう。数字を見るに第二階層は第一階層の倍近い魔力供給量があるということだ。

 ダンジョン全体で考えれば、およそ今までの三倍の魔力が流れていることになる。

 もし私の観測通り、ダンジョンコアから流れる魔力と地脈の力に関連性があるのなら、これで地脈から得られるDPも増えていることだろう。


 とはいえ、今までに使用したDPは非常に多い。

 そろそろ新たなDPの回収方法についても考えなければ。


 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『地脈親和性』のレベルが3から4へ上がりました〉


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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初はユニークな小説だったのが、一章の終わりあたりで「あれ?もしかして魔物国作り系テンプレ入っちゃうの?」と心配になりましたが、良い意味で裏切られました。 先が読めない展開に期待が高まリン…
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