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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第一章 迷宮転生の章

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17/204

17.ブラックラットと共に

あらすじ


DPが5000を超えたことにより、男はもう一度魔物の召喚を試してみることにした。

男は惨劇の後に増えた一番消費DPの高い魔物、ブラックラットを選んで召喚する。

男は召喚した魔物のスキル構成を見て、この魔物に外の世界を偵察させてみることを思いついた。

しかしそれには魔物との意思の疎通が必要となる。命令のように一方通行ではなく双方向の疎通が。

男はまた自分の知識の中から目当てのスキルを考え、特訓方法を思案する。

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知』のレベルが5から6へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『気配察知』のレベルが5から6へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『読心LV1』を獲得しました〉


 名前:――――

 種族:ダンジョンコア

 年齢:11

 カルマ:+7

 ダンジョンLV:1

 DP:7836

 マスター:無し

 ダンジョン名:名も無き洞窟

 スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV7』『空想空間LV6』『信仰LV5』『地脈親和性LV3』『気配察知LV6』『魔力感知LV6』『伝心LV3』『読心LV1』

 称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】【G級ダンジョン】


 私はステータスに表示された『読心』のスキル名に心の内で涙する。

 ようやく、ようやくだ! これでようやく会話が出来る。

 会話に飢えていたわけでは無いが、ぬか喜びの後だと嬉しさもひとしおだ。

 そう、最初に覚えた『伝心』のスキル。これが曲者だった。

 私が思っていたものと少し違うスキル名。『空想空間』や『地脈親和性』のことがあった私は、その時点で少し嫌な予感はしていた。

 しかし確かめてみるまでは分からない。私はいつものようにブラックラットへ挨拶を伝えてみた。しかし、勿論挨拶は返ってこない。

 ブラックラットが無言を貫いている、なんてことは無いだろう。一応、命令でも伝えてみたが、案の定、答えは返ってこない。

 その後、色々と試してみた結果、どうやら『伝心』を覚えたことでブラックラットへの命令がより明確に伝えられるということが分かった。

 文字通りの意味で捉えると、もしかしたら『伝心』は心に思い浮かべた事柄を相手に伝えるスキルなのかもしれない。しかし、私にはすでにその機能が存在する。絆を通した命令だ。そのため、命令に補正が掛かるという結果になったのかもしれない。

 それを確かめるためには、絆の無い相手に言葉を伝えて反応を見るしかないが、当分の間は無理だろう。

 私はそれに落胆しつつも、送信のスキルがあるのなら、受信のスキルもきっとあるはずという微かな希望を信じて特訓を続け、そして今日ようやく望んだ『読心』のスキルを獲得するに至ったのだ。

 ちなみに『伝心』のスキルは、命令を送る際に『魔力感知』に反応のあった、他とは毛色の違う魔力を意識しつつ、命令を送り続けることで獲得出来、対して『読心』のスキルは『魔力感知』や『気配察知』でブラックラットの意思を読み取ろうとし続けた結果、獲得出来た。

 ああ、本当に長かった。特に『伝心』を覚えた後が、心情的にも実時間的にも。

 詳細な経過時間は分からないが、少なくとも年齢が一つ上がっていることから一年近くは経っている。DPもブラックラットの召喚に消費した分を取り戻した上で、さらにブラックラットをもう二匹召喚出来そうな程に貯まった。このまま順調にいけばダンジョンの拡張にも手を出せるかもしれない。

 それを考えれば、ああ、とても幸せな気分になれる。


 たっぷりと幸せを堪能した後、私は習得したスキル『読心』を使ってみることにした。


 ――ブラックラット、返事をしてくれ


 私がブラックラットに心の内で話しかけてみると、果たして応えの様なものが返ってきた。

 それは言葉とはとても言い難い独特な感覚だったが、何となくニュアンスは理解出来るという不思議な感覚だった。

 まあ魔物とはいえ、相手は鼠だしな。私と同じ言語を使えるはずも無いし、そもそも思考の道筋だって違うだろう。もしかしたら私の放つ言葉もブラックラットにはこのように感じられていたのかもしれない。

 ちなみにブラックラットからの返答は、微かに怯えを含んだ疑問。

 無理やり言葉に直してみると「な、なに?」と言った感じだろうか。涙目で震える幼い少年の姿を幻視した。何だかちょっと申し訳ない。

『隠伏』なんてスキルを持っているくらいである。きっと、臆病な性格なのだろう。それにプラスして生まれたばかりという認識があるため、そういう想像をしてしまった。

 果たしてこのブラックラットに周辺の探索なんて出来るのだろうか?

 ……まあ何事もやってみなければ始まらない。

 早速、ブラックラットへダンジョンの周辺を探索してくるよう命令を伝えてみた。

 知りたいことは主に地形と生物の有無。他にもあるにはあるが、まずはこの二つだろう。

 あとはあまり遠くまで行き過ぎないことと、他の生物に見つからないようにすること。

 あとを付けられて危険な存在を招き入れてしまったら目も当てられないからだ。

 ブラックラットは奮起したようなイメージをこちらへ伝えたあと、意気揚々とダンジョンの外へ飛び出していった。


 意外と度胸はあるのかもしれない。



 帰ってきたブラックラットから、周辺の情報を聞く。

 漠然としたイメージばかりでなかなか要領を得ないが、なんとか解読した結果、周辺の状況がおおよそ判明した。

 どうやらダンジョンの周囲は巨大な森に囲まれているらしい。具体的な距離は分からないがブラックラット曰く、ずっと先まで森が続いているとのことだ。鼠のずっとがどれほどの距離なのかは定かではないが、少なくとも小さな森という訳ではないだろう。

 あとは生物に関してだが、ダンジョンの周囲には脅威となりうる生物はいなかったようだ。

 ブラックラットのランクはE。少なくともEランクの魔物が脅威を感じる様な生物は近くにはいないということがわかった。

 今回の探索は一日。次はもう少し遠くまで行くために、もう少し長く探索に行かせてみよう。

 それともう一つ。


 名前:――――

 種族:ブラックラット ランク:E

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:1/25

 スキル:『夜目LV2』『隠伏LV1』

 称号:【――――の眷属】


 スキル『夜目』のレベルは一つ上がっているが、それ以外に変化は無い。このブラックラットは現状、このダンジョン唯一の戦力だ。出来ればもう少し戦力を強化したい。

 レベルを上げれば恐らく今よりは強くなれるだろう。そして、レベルを上げる方法と言えば、戦うことだ。少なくとも私の知識上ではそうである。

 ゲームの知識と言うなかれ。ゲームのような世界なのだから、ゲームのような事は試すべきだろう。郷に入っては郷に従えというやつだ。

 ということで、もし探索中に倒せそうな敵を見つけたら倒して貰おうと思う。

 勿論、細心の注意を払って、だ。

 ケーブラットよりもランクが上とはいえ、鼠であることに変わりはない。戦闘に向いたスキルも無いし、レベルも1だ。強くなることは重要だが、それで死んでしまえば元も子もない。

 次の探索期間は三日間。

 少しの休息を与えた後、私がブラックラットに探索期間と注意事項を伝えると、ブラックラットは勢い込んでダンジョンを出て行った。


 相変わらずのやる気である。



 三日後、ブラックラットが帰ってきた。


 名前:――――

 種族:ブラックラット ランク:E

 年齢:0

 カルマ:±0

 LV:2/25

 スキル:『夜目LV3』『隠伏LV3』『気配察知LV2』

 称号:【――――の眷属】


 レベルとスキルレベルが上がり、新たなスキルを獲得している。レベルと『夜目』は一ずつ上がり、『隠伏』に至っては二つも上がっている。さらに、『気配察知』の獲得。これだけでも、ブラックラットの三日間がどれだけ濃密な時間だったのか推測出来た。

『魔力感知』で感じられるブラックラットの魔力も心なしか、大きくなっているような気がする。早速、ブラックラットに話を聞いてみようか。


 ――三日間の報告をしてくれ


 ブラックラットから送られてくるイメージは相変わらず分かりにくい。

 しかし、根気よく話を聞き、こちらからも質問をしつつ話をまとめていると。


 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『読心』のレベルが1から2へ上がりました〉


 スキルレベルが一つ上がった。心なしかブラックラットから送られてくるイメージが、鮮明になったように感じる。スキルレベルを上げていけば、いずれは以心伝心というようになるのかもしれない。今はまだ、曖昧な片言を繋げて喋っている感じだが。

 それはともかく、ブラックラットの三日間がようやく判明した。


 ダンジョンから出たブラックラットはまず、森の中を真っすぐ進み続けた。

 警戒しながらも一日程進んだ所で、魔物と出くわしたそうだ。ブラックラットは即座に『隠伏』を使い、草葉の陰に隠れた。魔物はブラックラットよりも大きく、見るからに強そうな感じがした為、その時は過ぎ去るのを待ったという。

 それからブラックラットは幾度か魔物に遭遇して、その結果、環境に神経が研ぎ澄まされたのか、魔物のいる場所や漠然とした強さが分かるようになったらしい。恐らく『気配察知』を習得したのだろう。

 そこからは魔物の強さを感じて、ブラックラットが倒せそうな敵を探した。そして運よく見つけた敵を何度か倒した後、自分が強くなったのを感じた為、そこで帰ることにしたそうだ。


 ダンジョンからまっすぐ進んでブラックラットの足で一日。そこまで行くと魔物が出るようになるということか。警戒しながらということだし、途中休憩などもあるから一概には言えないが、まあまあの距離だ。近いとも遠いとも言えない。

 しかし、行きだけなら偶然で済ますことも出来るが、帰りも途中からは魔物には全く出会わなかったというし、一体このダンジョン周辺はどういった場所なのだろう?

 安全は安全なのだろうが、それはそれで少し不安になる。

 まあブラックラットが普通に行き帰りしている以上、毒が流れているとかそういうことでは無いのだろうが。


 ――ダンジョン周辺で何か違和感は無かったか?


 ブラックラットに聞いてみるが、心当たりは無いらしい。

 一抹の不安はあるが、これ以上調べようがないのだから、今は考えないことにしよう。

 ただ、いつこの状況に変化が訪れてもいいように、周辺への偵察は常に行うとともに、戦力の強化方法を考えておこうか。

 まあつまり前半はともかく、後半はいつも通りということだ。

 さて、ちょっと先ほどから気になっていたのだが、ブラックラットの魔力のすぐ傍に別の魔力があるのを感じる。最初はブラックラットの魔力が大きくなったのかと思ったのだが、どうやらこの魔力と合わさっていた為に、そう感じられていたようだ。


 ――何を持っている?


 ブラックラットに尋ねてみると、森で拾った木の実だという返答が帰ってきた。何でも食べると体力が回復して、かすり傷くらいなら治るらしい。

 それは、ファンタジーによく出てくる薬草とかポーション的なものなのではないだろうか。

 だとしたら、とても興味深い。


 ーーもう少し詳しく、見せてくれ


 思わずブラックラットに伝えると、ブラックラットからは”あげる”という答えが返ってきた。どうやら元からお土産として持ち帰ってきたらしい。

 ブラックラットが木の実を手放すと、木の実の魔力をより鮮明に感じられるようになった。

 その魔力は暖かく、柔らかで、言うなればそう、生命力に満ちていた。それがブラックラットでも持ち歩ける程度の小さな木の実であるとは思えないほどに。

 その時、突然木の実が消えて、代わりに私へDPが流れ込んできた。

 言葉に出来ぬ何かを感じて私がメニューから宝図鑑を開いてみると、


 ビルタの実


 木の実が一つ、追加されていた。宝図鑑はあまり見ていなかったが、関連性を考えればブラックラットが持ってきた木の実がこのビルタの実だろう。

 魔物図鑑と同じように召喚も行えるようだ。

 召喚に必要なDPは100DP。ちなみに木の実が消えて増えたDPは1DPだった。

 今からすると増えるDPは少ないが、最初の頃を考えれば一日分の増加量と同じである。DPは出来るだけ増やしておきたいし、このビルタの実が簡単に手に入るものであるようなら欲しい所だが。

 ブラックラットにその事を聞いてみると、ダンジョンの近くに大きな木があって、その下にビルタの実はよく落ちているらしい。恐らくその木がビルタという名なのだろう。ダンジョンの近くにあるのか。ならばこれからダンジョン周辺の見回りがてら、ビルタの実を持ってきてもらおう。

 これでまたDPの増加量が増える。

 ダンジョンの拡張にまた一歩近づいた。



 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『読心』のレベルが2から3へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『信仰』のレベルが5から6へ上がりました〉


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― 新着の感想 ―
[良い点] ブラックラット可愛い
[良い点] 何事もすんなり行かずに主人公にストレスをかけながら物語が進んでいく様子が良い [一言] まだ序盤ですが、最近読んだ中では断トツに面白いです
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