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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第一章 迷宮転生の章

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15.成長したスキルたち

あらすじ


長い長い時間が過ぎたある日、男は神からダンジョンの封印が解かれたというメッセージを受け取った。

鍛え上げた知覚スキルにより、男はダンジョンが外界と繋がったことを知る。

封印の解除は新たな可能性を男にもたらしたが、同時に外敵がやってくる危険性も生まれた。

しかし、長くスキルを磨いてきた男には余裕があった。

今までの自分とは違う。何も分からなかった男はすでにいない。

外を知覚する魔力感知のスキルは男にそんな安心感を与えていた。

 DPの増加量が増えた!

 転生10年目? にして、ようやく外界と繋がった私こと、ダンジョンコア(名無し)は、3DP時間の経過観察によって、漸くその事実に確信を持った。ああ、いや、もうこれではDP時間という言葉は使えないな。ふふふ。

 なにせ毎回の増加時間で一度に12DPも増えるようになったのだから!

 うんうん、素晴らしい。一気に十二倍である。

 十二倍!

 まあ元が少なすぎたような気もするが、他を知らないのだから比べようもない。

 これもダンジョンが解放された影響なのだろう。

 恐らく今までのDP増加は封印から漏れる水滴のようなものだったのだ。それが解放されることによって、せき止められていたものが流れ出した。

 これで、ダンジョン拡張や強力な魔物の召喚への道が一気に進んだわけだ。

 素晴らしい!


 つい浮かれてはしゃいでしまったが、それはそれとして日課のほうは変わらず続けている。

 特に『魔力感知』の特訓だ。

 今の私には『魔力感知』によって、様々なものが見えている。色などは分からないのでそこは想像になるが、物の形や空気の流れなどはそれなりにはっきりと感じ取ることが出来ている。ここまで来るのには、本当に試行錯誤の連続であった。

 私は『魔力感知』で確認できるようになった洞窟の外の景色を堪能しながら、当時のことを振り返る。



 それは、『魔力感知』を覚えてすぐの事だった。

 ラットたちが居たときには感じられた魔力の流れは、誰もいなくなってからは殆ど感じられなくなってしまった。知覚できる情報もそこに何かがあるというのが分かる程度の曖昧な感じだ。それでも、なにも感じなくなってしまった『気配察知』よりかは断然マシだが。

 少々ガッカリしつつも、覚えたてなのだからまあこんなものかと納得することにして、私は毎日の日課に魔力へ意識を向ける特訓を追加した。


 それから暫く特訓を続け、『魔力感知』のスキルレベルが二つほど上がった。そのせいか『魔力感知』による周辺への知覚情報が少し変化した。

 空気がゆっくりと流れるように、周囲に満ちる魔力も少しずつ動いている。そんな大きな流れを感じ取れるようになったのだ。

 ゆったりとしたそれは、ラットたちに流れていたものと違って、ともすれば気づけないほどに穏やかだった。魔力に意識を集中し続けなければ、それらを知覚し続けることは出来ない。

 私はそれに集中し続けた。思えばこの頃は日課にかける時間がいつもより増えていた。

 暗い記憶に囚われぬように、ただ一つのことに集中するという状況が私には必要だったのだ。そう考えると存外、私はあのラットたち、キングとクイーンへ特別な思い入れを持っていたのかもしれない。

 まあ特訓時間の延長理由はそれだけではない。

 早くより高度な知覚を得たいという理由もある。ようやく手に入れた外界を認識できる方法だ。もっと精度を上げたいと思うのは当然のことだろう。

 それともう一つ、私が魔力という言葉に魅力を感じているというのも理由の一つだ。前世で私は、ファンタジー系の小説や漫画、ゲームをよく読んだり行ったりしていた。寿命への恐怖を紛らわすためでもあったが、それで紛らわせることが出来たのは、単純に私がそういった話を好きだったからでもあるのだ。

 このまま魔力の知覚力を高めていけば、その先で私にも魔法が使えるようになるかもしれない。それは剣と魔法の世界に憧れる私にとって、とても重要な意味を持つことだった。

 夢にまで見た魔法という力!

 もう既に『不老』は獲得しているが、手から火を出したり水を出したり、風を吹かせ空を飛び、大地を動かし家を生み出すなんてことも出来るならば体験してみたい。今の私に手はないが。

 魔法への期待と一つの事への集中が、私の心に残る暗い感情を心の隅へと押しやって、私はより一層、特訓に集中していった。


 さらに時が流れ、『魔力感知』のレベルが幾つか上がった頃だ。私の特訓は新たな局面を迎えていた。

 魔力に集中することで、その力の強弱が分かるようになってきたのだ。魔力というのは世界に遍く存在しているようなのだが、そこには多少の偏りがあるらしい。

 さらにその力の強弱に意識を向け続けることで、魔力には種類があるということも分かった。

 どうやら魔力は宿すものによって、その種類というか、性質が微妙に違うようなのだ。

 魔力の強弱と魔力の性質、そして魔力の流れ、これらの知覚した情報を統合することで、私は周囲の輪郭を朧気ながらも掴むことが出来るようになった。

 色や材質は分からない。同質の魔力の塊から、形と場所を想像しているだけだからだ。ただそれだけ分かれば、あとは前世の記憶が参考になる。

 自身の周囲を取り囲む淡い魔力は恐らく空気で、下に広がるものは恐らく地面であり、周囲を囲む凹凸のある物体は洞窟の壁なのだろうという具合に。

 私は少しずつ周囲の情景を解析していった。

 そこで遂に、私は己の一部とも言えるダンジョンの詳細を認識することに成功したのだ。



 そして、現在に至る。

 封印されている時は洞窟内という小さな世界全てを認識できていたので分からなかったが、『魔力感知』には感知出来る範囲というものがあるようだ。

 外の詳細を探ろうとしたのだが、途中までしか知覚できない。分かったのは、恐らくダンジョンの周辺が木々や草花らしきものに囲まれているということぐらいだ。

 そこから先になると、知覚が急激にあやふやになってしまい、まるでぼやけた遠い景色を見ているかのように、詳細が混ざり合って不確かになってしまう。

 それから木々らしきものや草らしきものには、どうやら気配があるようだ。スキルレベルの関係か『魔力感知』ほど正確には分からないが、ダンジョンの周囲を取り囲んでいる木や草のシルエットから気配を時折感じる。『魔力感知』とセットでようやく、気配の発信源を掴める程度でしかないが、これで滞っていた『気配察知』の特訓も出来るようになるだろう。

 どうやら外敵対策としては『魔力感知』よりも『気配察知』の方が有能そうだ。

『魔力感知』は世界に満ちる魔力の中から感知した魔力の性質や強弱、形などより、まずそれが何であるか探る必要がある。

 対して『気配察知』は、一つ一つの個体が放つ気配を即座に判別できるのだ。まだ私には遠すぎて沢山の気配があるという事しか分からないが、魔力と違ってそれらは混ざり合うことなく個別に認識できている。

 これなら私に近づく存在を即座に知覚することが出来るだろう。

『魔力感知』は最近伸び悩んでいたし、暫くは『気配察知』の特訓の時間を延ばしてみようか。



 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『気配察知』のレベルが1から2へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『空想空間』のレベルが5から6へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『気配察知』のレベルが2から3へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『地脈親和性』のレベルが2から3へ上がりました〉



 あれからさらに十日が過ぎた。

 そう、10DP時間ではなく十日だ。

『魔力感知』でダンジョンの外の景色を観察していて、その空気に流れる魔力の微かな変化を見つけたのだ。それは時間と共に変化をしていき、あたかも巡る季節のようにいずれ同じ性質へと戻る。だが季節よりもそのサイクルは短く、まあつまり昼と夜なのだと思う。

 その魔力から感じるのは、ポカポカとした穏やかな光と、暗く冷たい闇のイメージ。或いはその狭間にある冷たい空気と青色の朝焼けや、太陽の暖かさが残る茜色の夕焼け。

 魔力に宿る感情のような何かと、前生で体験した光景が繋がって、その風景がフラッシュバックしてくるのだ。

 その記憶は妙に鮮明で、心は穏やかでありながらどこか物悲しい。それがとても心地よかった。ただそればかりに浸っている訳にもいかない。

 私はそれの観察をしている内に、DPが一日のサイクルで増加していることにも気がついた。DPは一日に一度増加する。つまりDP時間として使っていたあの単位は、意外と正確だったというわけだ。

 ちなみにそれによりこの世界での一年が360日であるということにも確信が持てた!

 まあ、半ば予想していたことではあったので、本当の所、驚きよりも納得の方が強かったのだが。



 それはさておき。

 最近DPの増加量が12から13に増えた。増えたタイミングで変わったことと言えば、『地脈親和性』のスキルレベルが上がったことだ。どうやら『地脈親和性』のスキルはDPの定期的な増加量に補正を掛けてくれるらしい。増加量から見て、スキルレベルが上がる毎に0.1ずつ倍率が上がっているようだ。つまり元のDP増加量は10、そこから現在の『地脈親和性LV3』で1.3倍。増加量が1の頃に変化がなかったのは、1以下のDPが切り捨てられていたからだろう。

 たったの3DP。されど3DP。

 毎日増えていくものなのだから、この補正はかなり大きい。想定から外れて得た時はよく分からないスキルだと思っていたが、今は習得出来て本当に良かったと思える。


 想定から外れて得たスキルと言えばもう一つ、『空想空間』にも新たな発見があった。

 私の通常状態であるメニュー画面の浮かぶ真っ黒な空間に、『空想空間』で想像したものを浮かべられるようになったのだ。

 ただ、自分の肉体を想像することは出来ず、またそれら想像したものも視覚以外の五感までは再現出来ていない。言わばそれは、自分の意思で生み出す幻覚のようなものだった。

 なぜ使えるようになったのかは不明だ。気が付けばいつの間にか使えるようになっていた。

 果たしてそれはスキルレベルが上がったからなのか、それとも使い方を意識したからなのか。推測は出来ても、既に出来るようになってしまった今では実証出来ない。

 ちなみに想像したものを意識から外すと消えてしまうというのは相変わらずなので、これは視覚? だけに限り、想像した空間の外でも『空想空間』が使えるようになったという、言わば従来のスキルの延長線上にある使い方なのだろうと思う。


 この『空想空間』の使い方を知ったとき、私はこれが何かに使えないかと考えた。

 例えばそう、人工的な視覚をこれで再現することも出来るのではないか。

 失われて久しい私の五感。その一つでも再現できるのなら、ぜひ試してみたい。

『空想空間』による過去の記憶の再生ではない、疑似的なものでもいい、異世界の姿を私の視界に映すのだ!

 そうして私は、その可能性を追ってみることにした。

 試行錯誤の上で考えだした疑似的な視界の確保に必要な行程は主に三つ。

 まず『魔力感知』により外部の情報を集める。

 次に、そこから得た朧げな形や大きさ、その物の位置情報から、それがなんであるかを推測する。

 最後に推測したものの姿形を前生の記憶から参照して、『空想空間』で視界に当てはめる。

 この三つの工程を『魔力感知』で知覚した全ての情報に対して行うのだ。

 当然のことながら全てを私自身が行わなければならず、結果として現実との間には大幅な遅延が発生する。これではリアルタイムの視界とはとても言い難い。一度視界から外してしまったら、もう一度最初からやり直す必要があるというのも大変だ。動き回るものが相手なら、難易度は今以上に増すこととなる。

 さらに現在の『魔力感知』では物の細かな輪郭や色などは分からないので、前生の記憶から参照した記憶と実際の景色とはかなりの齟齬があることだろう。それはまるで様々な写真から切り貼りして作ったパズルのように、歪でバラバラな景色となる。

 今後はこの疑似的な視覚を使えるものとするために、更なる試行錯誤を続けていこうと思う。

 課題としては主に二つ、情報の変換速度を高め、よりリアルタイムでの視界を確保できるようにする事と、外から得られる情報の精度を高めるべく探知系スキルを強化していくことだ。

 最終的な目標としては、行程の一番目で高精度な情報を得られるようにし、外の世界の光景を完全再現できるようにする。そして行程の二番目と三番目では練度を高めて無意識下で情報の変換と記憶の参照、配置を行えるようにする。

 ここまでできるようになれば、それを真の視界と言っても過言ではなくなるだろう。


 その時がとても楽しみだ。

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