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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第一章 迷宮転生の章

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14/204

14.封印解除

あらすじ


全ての魔物が息絶えていた。

皮肉にも男の望んだ知覚を得るスキルはその動乱の中で芽生え、男に魔物たちの悲痛な断末魔を届けた。

男のステータスは大きく変化し、魔物図鑑にはラット系統の魔物が新たに追加されていた。

増えたDPを使えばそれらを召喚することも出来るだろうが、その時の男にはそれをする気力はもう無かった。

男はまた静かになった世界で、己の日課を繰り返す。

ずっと、ずっと――そして時は流れて。

 〈一定期間が経過したことにより、ダンジョンの封印が解かれました。これにより封印されていたダンジョンの機能が解放されます〉

 〈グッドラック by某神〉


 そんなどこかの神からのメッセージ? が届いたのは、年齢が丁度10に到達した時だった。

 鍛えた『魔力感知』が私の周囲に、今まで存在しなかった風の流れが発生していることを教えてくれる。どうやら私というダンジョンに出入り口が出来たらしい。

 メッセージ? にある封印とやらが関係しているのは明白だ。

 長い長い間、ダンジョンと言いながら誰一人侵入者がいなかったのは封印のせいだったのか。いや、この場合はお陰と言うべきか。これまでこの封印が私を外敵から守っていてくれていたのだろうから。

 本当のところがどうであれ、事実としてそうなのだから私はそう思うことにした。

 さて、解放されたダンジョンの機能とやらが出入り口だけとは思えない。ほかに何か変化はあっただろうか?

 私は早速、メニューを調べてみた。



 ▽メニュー

  ○ステータス

  ○ダンジョンマップ

  ○ダンジョン拡張

  ○魔物図鑑

  ○宝図鑑


 名前:――――

 種族:ダンジョンコア

 年齢:10

 カルマ:+7

 ダンジョンLV:1

 DP:3992

 マスター:無し

 ダンジョン名:名も無き洞窟

 スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV7』『空想空間LV5』『信仰LV5』『地脈親和性LV2』『気配察知LV1』『魔力感知LV5』

 称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】【G級ダンジョン】



 まずは私のステータス。

 項目が二つ追加されている。

 マスターとダンジョン名。

 マスターは無し。

 ダンジョンでマスターと言えば、ダンジョンを支配する者としてその手の作品で度々扱われるダンジョンマスターの事だろうか?

 無し、となっている以上、今はそれに該当する者はいないということだろう。

 ダンジョンとは私だ。ならばこの場合、マスターに支配されるのは……私?

 私の名がそこに追加されていない以上、私以外からマスターは決定されるのだろう。

 ……出来ればこのまま無しでいきたいところだ。


 ダンジョン名は名も無き洞窟。

 これまで誰にも発見されていなかったのだから名も無き、なのは頷ける。

 洞窟というのも正しい。『魔力感知』を特訓していく上で、ここが天然の洞窟の形をしていることは既に確認済みだ。

 ただ名前は既にあるのに、ダンジョン名が別にあるというのは何なのだろう?

 ダンジョンとダンジョンコアは別というカウントなのか、もしくは別名や二つ名的な?

 もしくはハード(肉体)の名と、ソフト(精神)の名のような?

 もし私が名前を得たとき、どちらの名で名乗るべきなのか。少し悩む。

 まあ、片方は相変わらずの名無しだし、そもそも今のままでは意思疎通の手段が無いので、杞憂に終わる心配なのだが。


 次に目立つのは称号の【G級ダンジョン】だ。

 G級。魔物が持つランクと同等だとしたら、ベビーラットと同程度のダンジョンと言うことだろう。

 まあ、魔物もいなければお宝もなく、狭い洞窟一部屋のダンジョンなんて、そんなものだろう。

 まさに名も無き洞窟の名に相応しいランクと言えよう。

 あとは、地味にダンジョンレベルが1になっている。今までは0だったのに。

 ここからが始まりということだろうか。


 さて、次はダンジョンマップを見てみると、私が感じたとおり、ダンジョンにはこれまで無かった出入り口らしきものを示すように、壁の一部消失が確認された。

 ううむ。これからは侵入者も増えてくるのだろうか。私に危害が及ぶ可能性も考慮して、何かしらの対策を考えなくてはいけないだろう。

 と、出入り口に目を奪われていたが、ここにもなにやら新たな項目が存在している。

 なになに?


 魔力供給率:0%


 魔力供給率とな?

 魔力と供給率という単語、一つ一つの意味を考え、さらにそこへ嘗てラットたちが居た頃に『魔力感知』で感じた魔物たちへの魔力の流れをプラスすれば、これがなにを意味するかはだいたい見当がつく。

 これがあの時、ラットたちが暴走した原因なのだということも。

 ラットたちは私から供給される魔力によって生きていた。だが数が増えすぎたことによって、魔力が行き渡らない者たちが出始めた。

 彼らは魔力を得られず、然りとて当時出入り口の無かったダンジョンから外へ出ていくことも出来ずに、生きていくためのエネルギーを失いその場で餓死していったのだろう。そうして残った者たちは魔力の代わりに食料を得るため互いに殺し合った。

 想像ではあるが当時の魔物の減り方を見るに、概ね間違ってはいないのではないか。

 この項目は恐らくそう言った事態を回避するための目安なのだろう。

 もし、魔力供給率と言う項目が当初から見えていたら、何か変わっていたのか。

 ……なにも、変わらなかったかもしれない。ラットたちの繁殖力は私の想像を超えて非常に高かったし、直接召喚したキングとクイーン以外のラットたちは私から命令することが出来なかった。

 結局見ていることしかできなかっただろう。

 それは歯痒いな。

 まあ、もう既に過去のことだけれど。


 増えた機能はこれで全てのようだ。

 さて、これからどうするか。

 日課はまあ、いつものように続けるとして、外からの侵入者への対策を考えるか。

 害意を持ってやってくるもの、私を傷つけ殺そうとするもの、私を支配しようとするもの。

 どういう可能性があるのかはまだ分からないが、どれも私は望んでいない。なぜなら全てが最終的な私の死に繋がっているからだ。

 私の望みは変わっていない。私は死にたくない、私は消えたくない。私は存在し続けたい。

 防衛体制を整える必要がある。だが、ダンジョン拡張に関してはまだDPが足りていない。

 部屋数を増やしたり、階層を増やして最奥に引き籠もるというのはまだ不可能だ。

 それが出来れば安心感は増すのだが、足りないものは仕方がない。

 ならばあとは魔物の召喚か。

 あの時はベビーラットしか召喚出来る魔物がいなかったから、それを召喚することにしたが、今は召喚できる魔物が増えている。

 まあ、全てラット系なのは変わらないが(一部例外有り)。

 今急いで弱い魔物を召喚するより、もう少しDPを貯めて、強い魔物なりダンジョン拡張なりに使った方が、いざという時頼りになるのではないか?

 もしかしたら、途中でさらに強い魔物が魔物図鑑の中に増えると言う可能性もあるし。

 このダンジョンが解放された状況下でも、そういう考えが私の中に産まれたのは、今の私が不完全ながらも外の世界をある程度、知覚出来ているためと言うのが大きいだろう。

 コツコツと行ってきた日課の影響はかなり出ているのだ。

 私の心には今、かなりの余裕があった。それはスキル『精神的苦痛耐性』によってストレスを内側に押し込めた仮初めの余裕ではなく、長い時を掛けて積み上げてきたものが真の意味で私に自信を与えているのだ。

 危険はあるだろう。しかし、今までもこれからも、常に対処のための手数は用意し続けている。その事実が、私の余裕へと繋がっていた。


 これが転生10年目? の私の在り方である。


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