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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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114.合体部屋の解体作業と『土魔法』

あらすじ


『魔力感知』のスキルレベルが上がったことで、私はダンジョン内に魔力の流れが不安定な部分を見つける。念のため、それを見つけた第四階層に、魔力の迂回路とすべく部屋や通路の増築を行ったが、これはあくまで応急処置であり、問題は未だ残ったままだ。その後も私は根本的な原因の解決を目指して、原因と対処法を調べ続ける。その末に私は、原因となっている合体させた部屋を、一から作り直すため、もう一度機能を使わない部屋の移動を試す決意を固めた。

だが、今すぐにそれを行うことは出来ない。一先ず、現在ダンジョンにいる魔物たちがいなくなる時間帯を待ちつつ、先にスタンピート対策として、DPの消費を行っておく。




 ダンジョンに残っている最後の魔物たちが引き上げていった。そろそろ始めてもいい頃だろう。

 一応、待っている間にダンジョンの近くへ配下たちを集め、臨戦態勢を整えさせている。これは作業中にダンジョンへ魔物を入れないためと、万が一、スタンピートが起きた際に、暴走した複製体をダンジョン外へ逃がさないためだ。猪丸と熊吉がいれば、どちらへの対処も可能だろう。

 病魔の森から人間たちがいなくなった今、スタンピートの痕跡に逃げられたとしても、前回のような事にはならないだろうが、放っておくのはちょっと怖い。あれらは私に強い敵意を向けていたような気がしたから。あの頃はまだ、『敵意感知』が無かったけれど、私に対する強い怒りと憎しみは、実体化した複製体が周囲へとまき散らしていた魔力に色濃く反映されていた。魔力に感情が混じる時は大抵、その者が強く感情を抱いている時だ。それに加えて、ダンジョンマップに記された赤い点を確認してしまえば、そこに私への強い敵意が宿っているであろうことは、想像に難くない。

 ダンジョンコアへと転生した私にとっては、ただでさえ、敵だらけの世界なのだ。これ以上、潜在的な敵を増やすのは御免こうむる。敵となる可能性のある芽は成長する前に摘み取っておくべきだ。

 さて、準備は整った。

 そろそろ、始めるとしよう。


 あくまでも、慎重に。



 あの日、行った手順をなぞるように、私は合体部屋を造り替えていく。慎重かつ迅速な作業を行うために、幾つかの作業を中断し、四つの副思考を補助用に確保した。

 まずは主思考で合体部屋の目印を確認する。目印は人間たちの使う魔術に用いられている魔法陣を数千倍、いや数万倍は複雑化したような幾何学模様で構成されていた。人間たちの扱う魔法陣すら読み解くことが出来ない私にとって、それぞれがどのような力を持った模様なのかを知る術は無い。ただし、目印全体がどのような役目を担っているのかだけは、ある程度分かっている。要はブラックボックスの扱いと同じなのだ。その機能を扱うだけであれば、入力と出力の法則さえ分かっていれば、その間にどのような作業が行われているかなど、使う側は知らずとも良い。

 思い返してみれば、私の前生の頃だって、周りに溢れている機械類がどのような理屈で動いているのかなんて、殆どの人間が知らずとも問題無く扱えていたのだから。

 勿論、私自身も含めて。


 観察と経験から私は、この目印がダンジョンの小部屋を表していると知っている。より正確に言うならば、ダンジョンの小部屋を維持するのに必要な機能と言った所だろうか。部屋という空間を生み出しているのは、恐らくこの目印で間違いない。そう思った根拠は色々とあるが、一つを上げるとすれば、あの時覚えたスキル『土魔法』だ。


 私はあれから何度か『土魔法』を使おうと試みてみたが、一度も『土魔法』を発動させることが出来なかった。やはり、魔力を操ることが出来ない私に、『土魔法』は使えないのだろう。しかし、ならばなぜ、私は『土魔法』というスキルを習得出来たのだろうか?

 私はあの時、ダンジョンコアが部屋や通路を移動させる方法を模して、力を行使していた。恐らくその過程で、『土魔法』と似たような力が使われたのだ。それを知らずに使ったことが、スキルの習得に必要な習熟度として換算されたのだろう。『伝心』のスキルを覚えた時も似たような事があったことから、その可能性は高い。

『土魔法』を使う工程として考えられるのは、部屋や通路の移動。今ではもう気にしなくなってしまったけれど、思えば初めて部屋や通路を追加した時は、何らかの力が土を掘る感覚に驚いた覚えがある。

 ダンジョンとはなんなのか。これまで分かってきた事を繋げて考えてみると、うっすらと見えてくるものがある。私の考えでは、恐らくダンジョンコアから流れる魔力と目印の機能によって特殊な環境を保っているけれど、それらを取っ払ってしまえば、実際はただの大地に空いた穴でしかない。つまり、ダンジョンに部屋や通路を追加するというのは、『土魔法』のような力で穴を掘り、形を整え、目印と流れる魔力を使って、特殊な環境を生み出していると考えられる。

 部屋や通路の追加というダンジョンコアの機能は、それらの作業をまとめて行っているのだろう。まあ、部屋追加や通路追加に消費されるDPを考えると、他にも何らかの作業がセットに含まれている可能性はあるけれど、一先ずそこは考えないようにする。

 今は現状の魔力の流れに感じる不安定さを解消することが先だ。


 私は合体部屋に貼り付けていた小部屋を示す目印を外し、意識から外すことで崩壊を促した。合体部屋に使われていた小部屋の目印は、私が観察した限りでは他の小部屋を示す目印と全く変わっていなかったけれど、万が一の可能性を考えて流用は避け、廃棄しておく。今の残りDPを考えたら、節約よりも安全が第一だ。そうしたらいよいよ、本格的に合体部屋の解体へ手を付けていく。

 合体部屋を強く意識してみると、繋げた部分の痕跡を確認できた。繋げた部分をよくよく意識してみると、そこには微妙な違和感がある。これも不調の原因の一つか? まあいい。そこを意識しながら、DPを消費して部屋を動かしていく。

 まずは小部屋を一つ分離して、第五階層に通じる階段部屋から伸びる通路と繋げる。そして、そこへ予め副思考の一つで用意していた小部屋の目印を貼り付けていく。

 うーん、これが土を移動させている感覚、か? 『土魔法』のスキルを覚えた影響か、以前よりもスムーズに動かせている気がする。ただの気のせいかもしれないが。

 副思考の一つで第四階層の魔力の流れを確認しているが、迂回路がうまく機能しているようで、今のところ問題は無さそう。通路の移動が出来たら、次は合体部屋から通路を一つ分離させ、然るべき場所に移動させ、副思考に待機させていた通路の目印を張る。それが出来たらまた、小部屋を一つ分離させて、と。

 小部屋と通路を交互に分離して移動させ、その都度、副思考で作成し、待機させていた目印を貼り付けていく。

 そんなことを繰り返していたら。


 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『土魔法』のレベルが1から2へ上がりました〉


 副思考の一つがスキルレベルの上昇を告げる通知を確認した。やはり、これが『土魔法』なのか? ただ、私がこれに使っているのは魔力では無く、DPなんだよな。以前に配下たちから聞いた魔法の使い方ともかなり違う気がするし。果たしてそれは、魔法と言えるのだろうか?

 まあ、スキルが発現し、それが成長しているのだから、言えるんだろう。きっと。

 それよりも、魔力を操れない私に『土魔法』が使えたという事の方が重要だ。ならば、次の問題はこの方法で使う『土魔法』が果たして常時使えるのか、ということだろう。機能の動きを真似ることで部屋と通路の移動を行うことは出来たが、これをそれ以外の使い方に応用できるかは分からない。それに、『土魔法』を使用するのに一々、DPを消費するのはちょっと厳しい。魔力と違って、DPは自主的に貯める必要があるのだから。しかし、単純に手札が増えるとだけ考えれば、悪くは無い。もしもの時に出来ることは、出来る限り増やしておくべきだ。ただでさえ、ダンジョンコアという種族に転生した私に出来ることは少ないのだから。そもそも、魔法が使えるというだけで私にとっては非常にうれしい。

 ふむ。やはり一度、試してみるべきだな。

 全ての作業が終わったら、この方法で『土魔法』が正常に作動するか検証してみよう。


 と、そんなことを副思考の一つで考えながらも、主思考とその他の副思考では合体部屋の解体を続けている。作業は順調に進行していた。


 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『土魔法』のレベルが2から3へ上がりました〉


 また、『土魔法』のスキルレベルが上がったようだ。

 そうこうしている内に、作業は全て終了した。



 副思考の一つが観察している範囲内では、今のところスタンピートの兆候は見られない。魔力の流れに関しても、正常に流れているような気がした。そこで私は改めて、主思考でダンジョン全体を確認してみる。

 すると、副思考では気が付かなかった異変を感じ取れた。やはり、主思考と副思考では、微妙に作業の正確性が異なる。感覚としては主思考に五割ほどの意識が費やされており、残る五割で幾つもの副思考を動かしている感じだ。その副思考側の五割にしても、主思考ほど効率的に扱えている訳では無いので、実質的に作動しているのは良くて三割ほどだろう。

 ちなみに、現状だと同時に動かせる副思考の数は八つほど。副思考というのは、それほど僅かな意識を使って、操られているのである。とはいえ、副思考であっても単純な作業や慣れた作業などは、正確性が増していく。

 そういう意味ではダンジョン内の魔力の精査は繰り返し行ってきた事だ。故に主思考と副思考での正確性の差は、そこまで広くはない。実際、主思考が感じ取った異変も、それほど大きな異変では無かった。

 元、合体部屋であった部屋と通路の魔力の不安定な動きは大分、改善されている。しかし、完全に直ったという訳では無い。両隣に配置した正常な通路や小部屋と比べてみると、まだ若干のゆがみが残っている。

 やはり、自己流で完全に修復するのは難しいようだ。表面上では通常の通路や小部屋に分けられたが、今もダンジョンコアの機能による移動や削除は出来ない。

 いっそ、今回の方法で部屋と通路を手動で削除するという手もあるが、魔力の流れがある場所を壊すというのは、ちょっと不味い気がする。それで取り返しのつかないことになってしまったら、目も当てられない。最終的にその方法を選ぶにしても、もう少し情報を集めておきたいところだ。

 仕方がない。当面の対処としては、現状でも問題は無さそうだ。

 第四階層の魔力供給路にある異変については、とりあえずこれで保留としておき、これからもダンジョンコアの機能と根源の力に関しては情報を集め続けよう。


 いつか、私だけで機能を完全に再現することを目標にして。









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