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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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113.魔力供給路の異変

あらすじ


『感覚共有』で視界を共有した黒牙が、勇王国の切り開いた道を辿り、たまに襲い掛かってくる魔物を蹴散らしつつ、すごい速度で森を抜けていく。植えたトレントの成長過程に意識を奪われつつも、

森を抜けた先にあったのは広々とした草原だった。

傍らにある廃集落を放置して進む黒牙の視界を確かめた私は、そこで視界の確認作業を『並列思考』で分けた副思考の一つに託し、別の作業へと戻っていく。




 最近、『魔力感知』のスキルレベルが上がったお蔭で、より細かく魔力の流れを追えるようになった。そこで、ダンジョン内を巡る魔力の流れである魔力供給路を調べていたら、ちょっと気になることが見つかった。

 場所は、第四階層の部屋。そこは、先の勇王国の侵攻のきっかけになったと思われるダンジョンのスタンピートの原因である、八つの部屋と七つの通路を無理やりつなぎ合わせた、あの変則的な合体部屋である。

 気になったのは、そこだけ魔力の流れが不安定になっているということだ。今のところは、表面化するほどの問題には発展していないけれど、それがこのまま先も続くとは思えない。

 もしもこれを放っておいて、またあの日の二の舞なんてことになったら、目も当てられないだろう。前回のスタンピートでは、色々な幸運が重なって被害を最小限に抑えることが出来たけど、次もまたそうなるとは限らないのだ。早い事、何とかしなければならない。そこで私は、この危険な状況を何とかすべく、手を付けて見ることにした。

 とまあ、意気込んでみたけれど、一先ずの応急処置として思いついた対策はそこまで難しい事では無い。ただ、第四階層に通路と部屋を増やすだけだ。


 そもそも何故、あの日、ダンジョンでスタンピートは起きたのか? その原因は、その後の情報収集や個人的な考察により大よそ分かっている。

 ダンジョンに流れる魔力は、ダンジョンの最深部に存在する私こと、ダンジョンコアで生成され、ダンジョン全体に張り巡らされた魔力供給路を通って、ダンジョン全体へ流れていく。そうして、各階層の施設や罠、配下たちへと供給されるのだ。

 あの日のスタンピートは、この魔力供給路が一時的に断絶されたのが原因である。魔力供給路が断絶されたことで、本来なら流れるはずの魔力が滞り、その結果としてダンジョンコアに負荷がかかり、一部の力が暴走したのだ。

 今回もスタンピートに至る可能性が一番あるとすれば、それだろう。

 では、魔力供給路というのは、何なのか? 流れる魔力は『魔力感知』で知覚できていても、魔力が流れている道そのものは流れている魔力から何となくわかる程度。実際、どのように張り巡らされているのかは、いまいちわかっていない。

 この辺りの情報は、ダンジョンコアの機能を動かす根源の力に近い情報である為か、調べてもあまり出てこないのだ。その為、私は先の事件で魔力供給路が断絶されたことから考えて、部屋や通路が魔力供給路を兼ねていると仮定した。あの時の私がやったことで、原因と考えられるのはそのくらいだからだ。そこで今回の対策に話は移る。

 魔力供給路が部屋や通路であるならば、それを増やすことで第四階層の魔力供給路を増やし、何処かが断絶してしまったとしても、他の通路を魔力が通るよう迂回路を作ることにしたのだ。多分、これで応急処置程度にはなるはず。

 とはいえ、根本的な部分は解決できていないのだから、これで完全にスタンピートを防げるとは思えない。しかし、魔力を観察した結果からしても、全く的外れということは無いだろう。

 幸い、DPはダンジョンにやってくる魔物から回収する分や、二体の配下が狩ってくる魔物の魔石を吸収した分でそれなりに貯まっている。第四階層に幾つかの迂回路を作るくらいなら簡単なことだ。


 さっそく、メニューのダンジョン拡張から通路を追加していく。とりあえず迂回路を二本分、通路としては迂回路一本分が十本の通路で足りるだろう。第四階層では通路一本が四千DPなので、全部で八万DPを使って通路を設置する。迂回路は二つの階段部屋から伸びる通路にそれぞれ繋げており、合体部屋の隣を通って階段部屋へ向かえるような形とした。

 ふむ。通路はうまく作れたが、『魔力感知』で確認してみると、いまいちうまくいっている気がしない。魔力の流れが少しおかしいな。せっかくの迂回路だが、どうやら合体部屋を中心として流れているようで、迂回路側の魔力供給路もおかしなことになっている。

 何が原因なのだろうか? あちこち調べてみたところ、どうやら部屋が足りていないのではないかという考えに至った。どうも、魔力供給路というのは、通路が魔力を流す道の役割を持ち、部屋が流れる魔力の量を調節しているようなのだ。DPをケチったことが裏目に出てしまったな。

 そこで、片側の通路の真ん中に小部屋を一つ設置してみる。第四階層の小部屋は一つ四万DP。これを消費して、小部屋を設置してみた。そうして、改めて『魔力感知』で確かめてみる。

 うまく、流れているようだ。なるほど、こうなるのか。合体部屋が魔力の流れを乱していることで、逆に迂回路の魔力の流れがよくわかる。

 であれば、反対の迂回路にも中心に小部屋を設置しておこう。よし、しっかりと追加した迂回路を魔力が流れているな。

 もしかしたら、次の階層を追加するのに現在の最深層にある部屋の数が条件となっているのは、これが関係しているのかもしれない。

 とにかく、これで一先ず応急処置としての対策は完了だ。しかし、出来るなら根本的な問題も解決しておきたい。という訳で、第四階層に起きた問題への対策はこのまま続行とする。



 それからも私は第四階層にある魔力供給路の異常について調べ続け、様々な角度から確認した結果、一番怪しいのは部屋を部屋として定義する目印なのではないか、と考えた。この目印は部屋を合体させた後で、元からあった小部屋の目印をつけ直したものだが、あちこちの

 部屋の目印と比較してみると、どうも部屋と目印があって無い様な気がしてきたのだ。正常な部分と異常な部分を比べるのは、手がかりが少ない状況においては最も基本的な原因を探す方法である。

 しかし、部屋の大きさと目印の相違が原因だとしたら、今はどうすることも出来ない。合体部屋の大きさが変則的過ぎるのだ。小部屋の目印では小さすぎるが、中部屋の目印では少し大きすぎる。自分で丁度良い目印を作れれば良いのだが、目印は複雑すぎてとてもじゃないが自作なんて出来ない。

 以前、支配領域を生み出す目印を作ったことはあるけれど、あの時はあくまで無駄な部分をそぎ落とした結果に過ぎないのだ。それにしたって、数撃った末に偶然出来上がったという印象が強い。私自身、私のあずかり知らぬところで未知なる力が働いて、帳尻が合ったのではないかと、密かに疑っているくらいだ。

 合体部屋の大きさに合わせて丁度良い形の目印に作り変えるなんて、まず不可能だろう。


 …………ならばいっそ、消してしまおうか?

 ダンジョンの機能を使えば、作成した部屋を削除することが出来るのだ。まあ、DPは消費することになるけれど、今ならDPはまだ十分にある。後の危険な可能性も考慮すれば、その分だけ無駄にDPを消費することになるとしても、削除してもう一度、真っ当な形へ作り直すべきだろう。

 と、思って、早速試してみたのだが、残念ながらうまくいかなかった。合体部屋は機能では削除できなかったのだ。どうやら、私が直接手を加えたことで、合体部屋が一部の機能の対象範囲外となっているらしい。具体的には合体部屋を削除対象に選ぼうとすると、何かが引っかかってうまく実行が出来ない感じだった。

 まさか、このような部分にも異常が存在したとは。ついでに他の機能も試してみた所、部屋の移動も出来ない事が分かった。何とも厄介な事態だ。

 不安定とはいえ、魔力は一応通っているので、機能の範囲外になっているのは部屋の移動と削除だけだろうか。

 なんにせよ、この方法は不可能だと分かった。


 ……………………ならば、もういっそ、戻すか?

 合体した部屋を小部屋と通路に戻せば、それに応じた目印をつけ直すことは出来る。他の部屋の目印を『記憶』でそっくりそのまま記録し、『空想空間』で疑似的な形を造り出した後、DPを注ぎ込めば小部屋や通路の目印の複製は比較的に容易だ。

 ただ、戻すにはどうしても以前と同じ力の使い方をする必要がある。正直、そこが一番恐ろしい。しかし、そのままにしておくのも危険な気がする。この手の問題は、先送りにすればするほど、後々から厄介になってくるものだ。出来れば、ダンジョンをさらに深くしていく前に解決しておきたい。

 応急処置として作った魔力供給路の迂回路は、正常に機能している。

 今ならば或いは、やってみる価値があるか?

 なんにせよ、今は常連の魔物たちが多くダンジョンにやってきている時間帯だ。実際に行ってみるのなら、この魔物たちが帰る頃合いを見計らってすることにしよう。


 少し時間が出来た。ならば、この間にちょっとDPを消費しておくか。

 スタンピートが起こると、ダンジョンコアに貯め込んでいたDPが強制的に消費され、複製体の魔物たちが実体化し、暴走を始める。他にも色々と問題は起こるけど、これに関しては対策が可能だ。先にDPを消費しておくのである。実際、以前も残ったDPが少なかったために、ダンジョンにいるすべての複製体が暴走することは無かった。まあ、スタンピートは起こさないのが一番だが、万が一を考えての準備だ。

 とはいえ、合体部屋の解体を行う為にもある程度のDPは必要である。機能を介さないとしても、ダンジョンコアの力を使うのに変わりは無いのだから。

 とりあえず、まずは正確な残りDPの確認からだな。


 名前:――――

 種族:ダンジョンコア

 年齢:18

 カルマ:+9

 ダンジョンLV:5

 DP:1,083,512DP

 マスター:無し

 ダンジョン名:病魔の森のダンジョン

 スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV10』『空想空間LV8』『信仰LV7』『地脈親和性LV10』『気配察知LV9』『魔力感知LV10』『伝心LV9』『読心LV10』『記憶LV9』『土魔法LV1』『加速思考LV8』『並列思考LV8』『敵意感知LV5』『感覚共有LV1』

 称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】【E級ダンジョン】


 貯まっているのは、百万DPちょっとか。これもまた一年の成果だ。しかも、定期的にトレントの種を召喚し、ダンジョンの改築を行ってなお、これである。あの頃には、たった一年でここまで貯まるとは思わなかった。今ならばわかる。ダンジョンにやってくる魔物を複製体と戦わせ、DPを回収するというのが、ダンジョンにとって最も一般的で、最も大切なDPの収入源なのだと。

 しかし、そのせいで今、かなりのDPが残ってしまっている。解体を行う為のDPを考慮しても、せめて半分くらいは消費しておきたい。となると、大きく使う必要があるな。

 ふむ。候補としては、新たなる配下の召喚と、第五階層の増築。最近、ダンジョンの増築は第一階層と第二階層にばかり行っていたから、そろそろ第六階層を追加するためにも、この機会に第五階層の増築を始めてみようかな。それに第五階層は未だ、一部屋しか存在しない。第四階層から階段を降りていくと、目の前がダンジョンコアだ。これはちょっと不用心だろう。そういう意味でも、第五階層の増築は行っておきたい。ついでに第四階層の合体部屋が無くなった場合のことも考えて、あそこに配置している魔物たちの新たな部屋を第五階層に作成しておこう。

 第五階層に通路を一つ追加して、その先に追加するのは中部屋だ。第五階層で中部屋を追加するのに消費するDPは五十万DP。そこからさらに、通路を一つと小部屋を一つ追加して、そこをダンジョンの最深部、ダンジョンコアの部屋とする。

 全て合わせて、五十六万DPの消費だ。これで大体、半分くらいか。

 合体部屋の解体にどの程度のDPを消費するかわからないし、このくらいは残しておこう。万が一のスタンピートで消費されるのも怖いが、解体作業の途中でDPが切れるのはもっと怖い。

 この辺りは、手探りで覚えていくしかないな。















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