13.そして誰も……
あらすじ
ある日、男はDPの増え方に異変を感じた。通常よりも多くのDPが増えている。
その事に確信持った時、ダンジョン内の異常を知らせる文字が男の前に現れた。
スタンピート、それはよく小説などで魔物の集団暴走として使われる言葉だった。
その瞬間から、マップに表示された沢山の魔物たちがどんどん消えていく。
男は止めようとしたが、もはや男の意思で止まる時は過ぎていた。
男はそれを悟ると、己の犯した過ちから目を背けることなく、じっとマップ見つめ続けた。
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『気配察知LV1』を獲得しました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知LV1』を獲得しました〉
………。
………。
………。
私は今、自分のステータスを開いている。
名前:――――
種族:ダンジョンコア
年齢:5
カルマ:+7
ダンジョンLV:0
DP:2537
スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV7』『空想空間LV3』『信仰LV2』『地脈親和性LV1』『気配察知LV1』『魔力感知LV1』
称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】
カルマが増えている。そして、恐らくそれに関係があるであろう称号【惨劇の跡地】。
跡地とは即ち、全てが終わった後の土地を言う。
ラット達は殺し合い、そして最後の一匹まで死に絶えた。キングとクイーンも最後まで必死に抗っていたようだけど、他のラットと相打ちになって死んだ。
その光景をじっと見ていたら、次第に彼らの気配が伝わってきた。消えていく気配が。そして彼らの微かな魔力が霧散していくところが感じ取れた。それを感じた瞬間、望んでいたスキル『気配察知』と『魔力感知』を獲得していた。
初めて察知した気配は、強い生と死の気配だった。
初めて感知した魔力は、濃い絶望に彩られた魔力だった。
気落ちもするさ。死にたくない。それは私が何よりも強く願ったことなのだから。
ダンジョンマップはまた、中心に私だけが表示されている簡素な物へと戻っていた。
そしてDP。最後に確認してから399増えている。さすがに時間経過では無いだろう。恐らく、ダンジョン内で魔物が死んだことでDPが増えたものと思われる。DPの増え方からして、ラット系一匹につき1DP程か。
20DPの投資から始まったと考えれば、見事な黒字。いや、止めよう。それを喜べる気分ではないし、続けてやりたいとも思わない。
眷属との絆が切れた感触は、はっきりと思い出せる。自分の一部が無理矢理奪われたような、酷い喪失感。あれはあまり良いものではない。
それに今回のことでカルマがかなり上がっている。なんの影響があるのかは分からないが、上げない方がよいと私の勘が告げている。
この先、どうするか。
私は魔物図鑑を久し振りに開いてみた。
すると魔物図鑑に新たな魔物が追加されていた。
ベビーラット
ケーブラット
ブラックラット
スケルトンラット
追加されたのはラット系が3つ。いや最後の一つはどちらかというと不死系、俗に言うアンデッドという奴だろうか。
いつの間に増えたのだろう。
ケーブラットはまだ分かる。眷属が進化していたのでその時にでも出たとして、その他がわからん。
一つ考えられるのは称号か。
【鼠の楽園】と【惨劇の跡地】。前者がラット系の追加で後者が不死系の追加と考えれば、あり得なくもない、か?
どうなのだろう。
ただ追加されたラット系がなんだか闇っぽいのに偏っているのはどうしてだろう。考えられる理由としては、私というダンジョンが真っ暗な洞窟だったからということくらいか。惨劇の影響だとは思いたくないな。
ちなみにラット達の召喚に使用する消費DPは、
ベビーラット 10DP
ケーブラット 100DP
ブラックラット 1500DP
スケルトンラット 300DP
といった感じだ。消費DPを見るにこの中ではブラックラットが一番強そう。まあこの消費DPでは、当分は召喚するべきではないな。一度の召喚でこれまで溜めてきたDPの半分を消費するというのはさすがに高すぎる。
いや、他の者たちも暫く召喚する気にはなれないだろう。
DP的には魔物をもう一度召喚することは可能だ。今度は最初から『繁殖』のスキルを使わないように命令しておけば、今回のようなことは防げるだろう。
でも、心情的にそういう気分にはなれない。
幸いなことに『気配察知』と『魔力感知』のスキルは得た。
一人に戻った後に試してみると、『気配察知』の方は何も感じ取れなくなってしまったが、『魔力感知』の方には微かな感覚がある。
私の周りを包むような何か。それは、『魔力感知』を得る前は感じ取れなかったものだが、今ではそこにあると不確かながらも感じられる。
とても面白い。
なるほど、一度感覚を掴んでしまえば、後は何とかなりそうだ。
念願の知覚、探索系スキルだ。
今はまだ何となく感じる程度ではあるが、これをさらに特訓していけば周囲を把握することも出来るようになるかもしれない。
暫くはそちらに重点を置いていくことにしようと思う。
今はこんなところだろうか。
さて、暫くはまた静かな毎日を過ごすとしようか。
…
……
………
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『信仰』のレベルが2から3へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知』のレベルが1から2へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『空想空間』のレベルが3から4へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『信仰』のレベルが3から4へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知』のレベルが2から3へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『地脈親和性』のレベルが1から2へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『空想空間』のレベルが4から5へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『信仰』のレベルが4から5へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知』のレベルが3から4へ上がりました〉
〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『魔力感知』のレベルが4から5へ上がりました〉
名前:――――
種族:ダンジョンコア
年齢:9
カルマ:+7
ダンジョンLV:0
DP:3991
スキル:『不老』『精神的苦痛耐性LV7』『空想空間LV5』『信仰LV5』『地脈親和性LV2』『気配察知LV1』『魔力感知LV5』
称号:【異世界転生者】【□□□□神の加護】【時の呪縛より逃れしモノ】【聖邪の核】【鼠の楽園】【惨劇の跡地】
そして、時は流れ――。




