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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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110.一年経過

あらすじ


私は魔王レティシアに憎悪を向けられた際、『敵意感知』なるスキルを習得していた。そのせいでこの世界には敵意が満ちていることを知る。敵はもちろん、味方の中にも敵意はあったのだ。

その中でも特に強い敵意を放つ魔物が病魔の森にはいた。Bランク不死族死霊系高位種ファントムレギオン。周囲の死霊系魔物を吸収する力を持つこの魔物は危険度こそ高いが、小さな縄張りから全く動かない。その為、ダンジョンから動けぬ私はあまり気にしていなかったが問題が起きる。

病魔の森にて育てようとしていた配下の死霊ゴーストが、これに吸収されてしまうせいで全く育てられないのだ。だが、ダンジョン内にやってくる魔物がこのまま増え続ければ、何れは病魔の森に出なくても死霊ゴーストを育てられるかもしれない。




 私のステータスに記された年齢がつい先日、また一つ動いた。私が決意を新たにし、また動き出した日から、丁度一年が過ぎたのだ。この一年は全体を通して急激な変化こそ無かったものの、振り返っていざ結果を確認してみると、着実な成長が感じられるそんな一年だった。その最たる例が、ダンジョンにやってくる魔物たちの増加だろう。現在、私の知覚範囲内には、無数の魔物たちの反応がある。これらすべてが、ダンジョン周辺に居を構えるダンジョンの常連たちだ。これだけを知るとかなり大きな変化にも思えるが、ここ一年での遷移を理解していると、ようやくといった思いの方が強い。


 初めの頃、魔物たちは森の何処からかダンジョンに通っていた。だが、暫くダンジョンに通い続けた魔物たちは、次第にダンジョンの近くへ住処を移し始めたのだ。最初は少なかったその常連たちの住処も、ダンジョンへ通う魔物たちが増えていくとともに、少しずつ増えていき、今ではかなりの数に上っている。それらはまるで、小さな縄張りのようだった。

 通常、縄張りというのは、高位の魔物が自身の住処の周辺へ魔力を満たした土地の事をいうそうだ。これには周辺に住まう魔物たちへ自身の力を誇示するという意味以外にも、魔力を環境へ馴染ませることで、その環境を自身にとって住みやすい環境へ変えていくという意味もあるらしい。高位の魔物が放つ魔力というのは、その魔物の強さが上がれば上がるほどに、強く環境へ影響を与えるそうだ。そうしてそんな縄張りの中で、縄張りの主は同種族の魔物を集めた巨大な群れを形成する。群れの数は、大抵が数十匹単位。多い所では数百匹にも上るという。

 しかし、この小さな縄張りに住まう魔物たちの数は、多くても一桁を超えない程度であり、少ない場所だと、一、二匹という場所もある。これは恐らく、小さな縄張りの主が、FランクからDランクといった弱い魔物たちであることが関係しているのだろう。

 しかし、そんな小さな縄張りが、ダンジョン周辺には無数に存在する。しかも、幾つかの小さな縄張りでは、子育てが行われているところすらあった。外から新しくやってくる魔物だけでなく、ダンジョン周辺でも常連候補となる魔物たちが生まれつつある。実際、最近ではダンジョンで一日に回収できるDPが、一万DPを超える事さえあった。きっとダンジョンへ通う魔物たちは、これからもどんどん増えていくだろう。

 私は今まで、ダンジョンにやってくる魔物たちを、出来る限り倒すことなく、成長させて返すよう動いてきた。しかし今ならば、少しくらい倒してしまっても問題は無さそうだ。であれば、そろそろ第三階層の守護者候補であるゴーストやレイスを、ダンジョン内で育ててみるのもいいかもしれない。

 そんな状況を鑑みた結果、私は少し前からゴーストやレイスを召喚し、ダンジョン内での育成を始めている。



 ところで、この一年の内に変わったのは、何もダンジョンにやってくる魔物たちの数だけではない。黒牙は相変わらず、あまりダンジョンへ帰ってこないので分からないけれど、ジェットボアの猪丸とストロングベアの熊吉に関しては、狩りを繰り返して少しずつ成長している。それに加えて、心言葉による配下間での教え合いも良いように作用していた。

 これが、そんな二体の現在のステータスである。


 名前:猪丸

 種族:ジェットボア ランク:C

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:37/60

 スキル:『嗅覚LV5』『爪牙術LV5』『突進LV6』『森歩きLV5』『気配察知LV5』『体術LV5』『身体強化LV3』『魔力操作LV3』

 称号:【――――の眷属】


 名前:熊吉

 種族:ストロングベア ランク:C

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:41/60

 スキル:『嗅覚LV5』『体術LV5』『怪力LV6』『森歩きLV5』『気配察知LV5』『体術LV6』『追跡LV3』『身体強化LV4』『魔力操作LV4』

 称号:【――――の眷属】


 たった一年にしては、なかなかの成長だろう。

 特に魔力を身体に巡らせることで、身体機能全般を強化する『身体強化』のスキルは、肉弾戦を主体とする猪丸や熊吉とは相性が良かったようだ。これを習得してから、二体の強さは確実に一段階上昇している。その証拠に、この二体は未だCランクであるにも関わらず、同じCランクの魔物たちと互角以上に渡り合うようになったのだ。実際、最近では何度か、Cランクの魔物の魔石を持ち帰っている。

 Cランクの魔物は病魔の森において、強者と呼ばれるランクだ。その魔物たちに余裕をもって勝てるというのは、実に頼もしい限りである。これからも、この二体には更なる上を目指して、邁進して貰いたい。



 さて、配下たちの成長を確認したならば、次は私自身の成長も確認してみよう。私だって、この一年、ただ雑務に追われていた訳では無い。副思考で地脈から情報を収集し、集めた情報をまとめながらも、時間を見つけてはコツコツと色々なことを試していたのだ。その試行錯誤の結果の一つが、『罠設置』というスキルの習得である。

 ことの始まりは、私がずっと気になっていたことの一つだった。低ランクの冒険者たちには、それなりに有効だった罠。しかし、ある程度以上のダンジョンに慣れた冒険者が相手だと、殆ど通じることは無かった。出来て、僅かな時間稼ぎ程度。それすらも出来無い相手だっていた。

 けれど、ダンジョンコアの機能に取り揃えられた罠の豊富さを見る限り、そういった相手にはもう罠が意味を成さないとも思えない。何か、探索に慣れた相手にも、罠を活用する有効な手段があるのではないか? そもそも、私は罠を仕掛けるということに関して、まだまだ素人の域を出ていない。せめて、もう少し罠を有効に使えるようになりたかった。そうすれば、何かが変わってくるかもしれない。

 そう思った私は、まず罠に慣れることが必要だと考え、魔物相手にダンジョンへ罠を設置する練習を行うことにした。対象が魔物では、色々と勝手が違う部分もあるかもしれないが、罠の初心者である私にとっては、そこまでの違いは無いだろう。

 ただ一つ。危険な罠を使うことで、せっかくダンジョンへ訪れるようになった魔物たちが死んでしまったり、ダンジョンを危険だと判断して来なくなってしまっては困る。そこで私は、手始めに副思考が読み取ったダンジョンコアの機能に記された罠の一覧の記憶を探ることにしたのだが、そこで何とも丁度良い罠たちを発見してしまった。

 それは、踏むと音の鳴る床や、通ると水滴が滴る天井、開けると人形が飛び出してくる宝箱など、子供だましのような引っかかっても大した効果の無い罠たちだ。正直、何故ダンジョンに仕掛ける罠として、機能にまとめられているのか分からないような代物である。まあ一応、どれも威力の高いものを使えば、危険な罠へと変貌するようだが、最底辺のこの辺りだと本当に危険はほとんどない。その代わり、仕掛ける際のDPも殆ど消費しないようだ。まさに、練習用として丁度よい罠たちである。

 私はこれらの罠を使って、ダンジョンにやってくる魔物相手に、罠を仕掛ける練習を始めた。その結果、『罠設置』というスキルを習得するに至ったのだ。

 そう言えば、何故かダンジョンに住まわせているゴブリンたちに、この子供だましの罠たちは大好評だった。中にはわざわざ第一階層で罠を探し、かかったりなどしているゴブリンもいたほどだ。まあ、邪魔になっている訳では無かったので、別にいいのだけれど。

 少しゴブリンについて、理解が深まる発見だった。



 そうそう。発見と言えば、最近、少し面白い発見があった。それは病魔の森中に放っている魔鼠情報網を構築しているケーブラットたちについてのことだ。

 私は今も定期的にケーブラットたちをダンジョンへ呼び戻し、トレントの種を道に植える作業を任せているのだが、その際に少し変わった個体を発見した。

 それが、これだ。


 名前:――――

 種族:フォレストラット ランク:F

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:1/10

 スキル:『早熟』『繁殖LV1』『夜目LV3』『隠伏LV3』『森歩きLV3』

 称号:【――――の配下】


 種族:フォレストラット ランク:F スキル:『早熟』『繁殖』『森歩き』

 魔獣族魔鼠系の環境種フォレストラット。森という環境に適応する進化を果たした魔鼠系魔物。『早熟』の特性により、全ての能力が少し低下する代わりに、戦闘で得られる経験値が増加する。魔鼠系魔物の特徴として繁殖能力が高く、草木の茂る森の中を自在に歩き回ることが出来る。


 この魔鼠、ステータスを確認する限り、私が召喚したケーブラットで間違いない。年齢や本来はケーブラットの持つ『夜目』のスキルからも分かるが、決定的なのは【――――の配下】の称号と、繋がっている絆だろう。このフォレストラットなる魔鼠は正しく、私が以前、召喚したケーブラットの一体なのだ。

 ならばなぜ、今は種族がフォレストラットなのか?

 私が『伝心』と『読心』で当鼠に尋ねてみると、どうやら病魔の森で生活し続けたことで、種族が変化したらしい。

 進化とは違う、変化。私はそれに似た現象を知っている。それは、人間だったレティシアが、魔物へと変わった現象。

 即ち、転化。

 気になって地脈で詳しく調べてみた所、詳しい事情を知ることが出来た。どうやら環境種と呼ばれる魔物は度々、住む環境の変化に応じて、種族をその環境へ適した種へと転化させるらしい。ケーブラットは言わずと知れた洞窟に適応した環境種。それが、森での生活に馴染んだことにより、森に適応した環境種であるフォレストラットへと転化したのだろう。

 環境種という種は、基本的に低位の魔物に多い種族であり、弱ければ弱い程に環境へ適応するまでの時間は短くなるらしい。そして、ケーブラットは幼体であるGランクを除けば、最弱のFランクだ。それを踏まえて考えるなら、大抵の環境種が環境に適応した種へと転化するのには、一年以上はかかると考えるべきだろう。まあ、全てのケーブラットが一年で転化したという訳では無いので、転化が発生するには、他にも色々と条件があるとは思うが。

 それにしても、以前のクリスタルホーンディアーとの雑談で、魔物の進化と環境には密接な関係があるということは知っていたが、まさか、進化以外にもその種族を変える魔物がいるとは思わなかった。


 森という環境に適応した魔鼠、フォレストラット。

 転化という現象に関しては、そこまで私にとって重要な発見という訳では無いけれど、フォレストラットという新たな種族を仲間に加えることが出来たのは、ちょっとした朗報だ。配下としてフォレストラットが加わったことにより、魔物図鑑にもフォレストラットが記されている。

 今度から病魔の森へ放つ魔鼠を召喚する際は、洞窟に適応したケーブラットでは無く、森に適応したフォレストラットを召喚することにしてみよう。



 とまあ、ここで出した以外にも、色々と細かな変化や発見の多い一年ではあったけれど、実はつい最近、そんな一年の変化を超えるような大きな変化が私の中で起きていた。


 それが、私の新たなスキル『感覚共有』の習得だ。













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